四十三庵

蔀の雑記帳

電子媒体の文章が本に比べてちゃんと読まれない問題

ブログにしても、電子書籍にしてもそうなんだけども、 電子媒体の文章は、本に比べると真剣に読まれない。 読まれないし、僕自身も紙の本の方が熟読する。これは割と昔から指摘されていて、2003年には↓にて言及があった。 -憂鬱なプログラマによるオブジェク…

NirvanaのギターボーカルKurt Cobainの伝記「Heavier than Heaven」

洋書を読もうと思って、どうせなら興味ある本がよいなと思い、Kindleで購入。 今なんかキャンペーン中なのか、600円とかになっているが、僕が買ったときは1000円くらいだった気がする。 目次 目次 感想 気になったとこ 感想 僕のNirvanaへの知識は、「アルバ…

最近読んだ小説の感想

働きはじめてから、本を読んだり、漫画読んだりといった、 創作の世界に遊ぶ経験を全然しなくなった。 仕事はそれなりにしているけれど、死ぬほど忙しいというワケでもない。 けれども、やはり残業して疲れて家に帰ると、疲れていて、小説読むために頭切り替…

オウム真理教に学ぶ組織づくり(森達也「A3」)

森達也「A3」という本を読んだ、読書レポート。 僕はこの本を、単にオウム真理教のまとめ本だと思って読み始めたんだけど、 実際は単に事実を追ってるのではなくて、オウムがなぜサリン事件を起こしたのかとか、 メディアの報道姿勢とか、日本の司法とか、 …

「健全な精神は健全な肉体に宿る」は願望だった

「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉は、 「体を鍛えると自然と心も健康になる!」という意味で捉えられている場合が多い。 しかし、これが元々は「健全な精神が、健全な肉体に宿っていたらなあ」という、 願望の形だったというのをどこかで誰かに聞…

世界史はたった6つの飲み物で語れる

世界史はたった6つの飲み物で語れる、と言ったら暴論だろうか? そういう試みで書かれた本をたまたま図書館で見つけたので、 読んでみたら面白かった。「世界を変えた6つの飲み物」とは、 1.ビール 2.ワイン 3.蒸留酒 4.コーヒー 5.茶 6.コーラ の6つのこ…

伝説の自己啓発本「7つの習慣」を読んで人生変わった

タイトルは釣りで、自己啓発本読んだくらいで人生変わりはしない。 けれど、いい本だったし、色々思う所もあったので、簡単に要約しておきたい。 全部要約しているわけではなくて、僕が読んでいて記憶に残ったところを書き残しているだけなのに注意していた…

リーマン・ショックを起こした金融マンたちの群像劇

2000年代、アメリカの五大投資銀行はこんなランクだった。 1.ゴールドマン・サックス 2.モルガン・スタンレー 3.メリルリンチ 4.リーマン・ブラザーズ 5.ベア・スターンズ ご存知の通り、リーマン・ブラザーズという投資銀行は倒産して、リー…

「終わった会社」だったIBMを復活させる方法(ルイス・ガースナー「巨象も踊る」)

なんか本の感想メモばっかりになって申し訳ない。経営者の書いた本というのはたくさんあるけれども、創業期のものが多くて、 一時代を築いた大企業だけれども、最近は低迷していたところを立て直した「中興の祖」が書いた本というのはあまりない。 ジャック…

猪瀬直樹「ミカドの肖像」を読んだメモ

リンクはめんどくさいので貼らない。 猪瀬直樹「ミカドの肖像」を読んだ。 簡単なメモだけを残す。 東京の巨大な空虚 東京の中心には皇居がある。 天皇は戦後、「象徴」となったが、経済や政治に与える隠然たる影響は大きい。 本書ではその例として東京海上…

ピーター・バーンスタイン「リスク」はいい経済学のまとめだった

この本、以前からほうぼうで薦められていた本で、テーマ的にも非常に興味深かったのに、なかなか積んだまま手が出なかった。 その理由は、あまりに書き方が歴史的過ぎたからだ。 「リスク」というタイトル(原題はAGAINST THE GODS)からして、リスクに対し…

小熊英二著・編「平成史」

を読んだので、メモ的に。 魅力がなくなった先進国に移民が来る理由 貧しい途上国から、発展し続ける先進国に移り住んで、頑張って働いて豊かな生活を掴むという、 アメリカンドリーム的な移民の幻想を、先進国に生まれた人間は未だに抱いている。 しかし冷…

三島由紀夫「豊饒の海」

大した冊数読んでるわけじゃないんだけど、僕が日本文学最高傑作だと推してるのがこの「豊饒の海」。 三島由紀夫がこれ書いた後に死んだっていうことが、後光効果になってるような気もしないではない。 三島由紀夫の最高傑作がどれかっていうのは、人の好み…

証券会社とはなんだったのか(「会社が何故消滅したか 山一證券役員たちの背信」を読んで考えたこと)

この本、ずっと積んだままにしてたけど、読み始めたら面白くて、一日で読んでしまった。 読売新聞が取材して書いた本だけども、証券の知識がなくてもわかりやすく解説してある。 事実関係を整理しただけなんだけども、その分読み手の方が色々考えさせられた…

失われた20年における日銀のスタンスの変遷

アベノミクスの効果を見極めるために、とりあえず岩田規久男「まずデフレをとめよ」という本を読んだ。今はもう日銀副総裁になった岩田規久男さんが編集して、執筆者にリフレ派の大物経済学者を集めた本だ。 この中の第三章で、日銀の金融政策論争をまとめら…

ITが人間の雇用を奪うのか

E・ブリンニョルソン(Brynjolfsson。なんて読むんだ)の著作。 アメリカで失業率が高止まりしている原因は、実は「IT失業」なのだ、ということを述べている本。 僕はゼミでITと経済学で論文を書いたりしてたんだけど、参考文献探すとこの分野だとBrynjolfsson…

「寝ながら学べる構造主義」内田樹

内田樹というとネット上では的外れな発言を結構してるので、評価が低いけれど、この本はよかった。僕は現代思想あんまり詳しくないので、構造主義とかレヴィ=ストロースとか名前だけは知ってたけど、 結局それが何を示しているのかよくわかっていなかったん…

「盲目の時計職人」リチャード・ドーキンス(翻訳 日高 敏隆)

「利己的な遺伝子」が図書館で借りられたまま返されないので、先にこちらから読むことにした。 ドーキンスは人気のある生物学者で、多分「利己的な遺伝子」が一番売れてるみたいで、 そのヒットの後に出した本がこの「盲目の時計職人」らしい。 生物学者であ…

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」とは

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」 とは有名な福沢諭吉「学問のすすめ」の書き出しです。 確かにいい言葉ですが、迂闊に引用するのは避けた方がいい言葉でもあります。 この言葉を引用して、 「一万円札に載ってる福沢諭吉さんは人は平等だと・…

原子力を正しく恐れるための放射線・放射能基礎知識

2007年に出版された図解雑学シリーズの「放射線と放射能」のまえがきにはこう書かれている。 人間が放射線や放射能を意識下にとらえてから100年以上が経った。以来、放射線や放射能は人間生活の多くの場面で多面的に利用され、とりわけ医療の面では欠くこと…

ポール・ウィリス(Paul Willis)「ハマータウンの野郎ども」(Learning to Labour)と所謂DQN文化

1977年に出版されたイギリスの教育の現状を、生活誌と分析にわけて書いた本だ。 分析はやや「ありがち」な社会学っぽい散漫な文章になっていて、 学術的にどうなのかは知らないが、個人的にはあまり感心しなかった。77年執筆ということもあり、状況は古い…

シュンペーター「資本主義・社会主義・民主主義」

「資本主義はクソだから別の経済システムに移行しよう」という考えは古くからあった。 社会主義と共産主義がその代表格だろう。*1「資本主義か共産主義か」という経済システム上の問題の核心は、次のようにすっきり書ける。 「生産」→富→「分配」 富は生産活…

蔀(st43)様の薦める今年の十冊

「今年発売された本」ではなく、「今年わたくし蔀様が読んだ本」を紹介する今年の十冊。 全く出版業界の流行に乗れていない感は否めないのですが、頑張って書きます。 1.鮮やかな破滅 三島由紀夫の「鏡子の家」は、鏡子というバツ1子持ちの女性の家に集まる…

「もしドラ」と「うすらバカの時代」

「ぼくたちは知識レベルをひどく下げられた時代を生きているんだよ。すべてのメディアが、ニュース・メディア、音楽、音楽誌における情報の提示の仕方は、受け手がただのうすらバカであるという前提に立っているんだね」 モリッシー、現代とは人々が薄らバカ…

佐藤優「国家の罠」は鈴木宗男=後醍醐天皇の「神皇正統記」か?

鈴木宗男元議員を仮釈放へ 収監1年、6日にも 鈴木宗男元衆院議員 受託収賄やあっせん収賄など四つの罪で懲役2年、追徴金1100万円の刑が確定し服役中の新党大地の代表鈴木宗男元衆院議員が、12月6日にも仮釈放されることが、複数の関係者への取材で…

「社会学をつかむ」より僕も考えと合致する社会学の概念

本読んでると、「あ、これ俺も考えてたことだ」ということは結構あるんだけども、 「社会学をつかむ」を読んでいて、結構社会学の概念と自分の考えが合致することが多かった。本そのものは大学の教科書として使うのは甚だ不適で、厳密でない感じがした。 (…

現代の認識(グレゴリー・クラーク「10万年の世界経済史」)

人類の歴史を「富」という観点から見るのであれば、実はものすごく簡単に歴史は説明できる。 1.産業革命以前 2.産業革命以降 この二つの区分しか人類の歴史には存在しない。 江戸時代や鎌倉時代、古代や中世などというくくりは必要ない。産業革命以前の…

「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門」(橘玲)を読んでもお金持ちになれない訳

「金持ち父さん」が流行った時期があったんですが、その流れの中で書かれた本です。 「金持ち父さん」よりはずっと中身のある本だと思いますが、 やや難しい内容を浅く広く扱っているので、数字に不慣れな人は眠くなるかもしれません。 でも中身のない「金持…

ジョージ・ソロス著「ソロスは警告する」の再帰性理論について

ソロスは経済学を専門に深く学んだ、というよりは、哲学の方に関心が深かったようだ。 数学が苦手なのに経済学部に入ってしまい、均衡理論に強い反発を持った、と正直に書いてある。 結局経済学に関しては家の事情もあり大成しなかったが、むしろ投資の世界…

プラトン「国家」の中の理想政治

夏休みに時間あるしたまには哲学書でも読むぜー、と借りてきたプラトンの「国家」だけど、 案の定夏休み中には全然読まず、いまさら読みました。 (大体大学に行ってる時の方が本読むんですよね・・・) 一橋受けた時に要約の問題が「国家」の洞窟の中で人々…

永井荷風「濹東綺譚」(墨東綺譚。文字化け対策)

川越から仙台へ向かう片道七時間の退屈極まりない車内だと、普段は読む気になれない小説も、 さながら無人島にものすごいブスと二人きりで漂流したかの如く、精力的に読むことができる。 僕にとって読書というのはそういうものでしかないので、読書によって…

三浦佑之「口語訳 古事記」

僕は経済学部だったんで、あんま古典は必要なかったけれど、成績はよかった。 センター試験の古典では、本番で50点満点をとった。 センター試験は最低限の文法事項と、内容の読み取りが出来れば、 選択肢は大味につくってあるので、実は結構点数とりやすい…

ショウペンハウエル「自殺について」

哲学者の文章というのは、ムダに長い上に単にわかりづらい文章が多くて辟易するんだけども、 ショウペンハウエルさんの文章は簡潔で、その上文学的でなかなか素敵である。 私の知っている限り、自殺を犯罪と考えているのは、一神教の即ちユダヤ系の宗教の信…

アダム・スミス「国富論」

謝罪 トップページが激重で、申し訳ありません。 このような場末の穴蔵のようなブログに折角来ていただいたのに、 記事の内容だけでなく、サイトの仕様でまで不快感を与えてしまうとは。 関係者各位には誠に申し訳ないと思っています。割と「四十三庵」はシ…

真山仁「ハゲタカ2」

経済小説にしては馬鹿売れした「ハゲタカ」の続編。 アラン君が冒頭でいきなりぶち殺されたのには笑った。 面白かったけど、話がどんどんご都合主義的になっていくのはご愛嬌。

坂口安吾「堕落論」

「堕落論」(青空文庫) ●文章 坂口安吾の文章というのは淡々とした、悪い意味で昔の人らしくない文章で、正直言って好みではない。 好みではないが、嫌いでもない。 内容次第ではまあ読んでもいいけれど、文章自体の味はあまりない。そういう文章だろう。 …

可児滋「デリバティブの落とし穴―破局に学ぶリスクマネジメント」

単なる失敗エピソードを集めた本だろうと思って読んだが、いい意味で裏切られた。 超絶良著。 金融論の教科書は都合五冊ほど読んでいるけど、 これほどデリバティブに関してしっかりした理解が持てる本はなかった。 ●第一章 ベアリング銀行破綻 ニック・リー…

ローレンス E. リフソン他「投資の心理学―「損は切って利は伸ばせ」が実践できない理由 」

訳がなかなか酷いが、まあ別に文学作品ではないのでこんなもんでもええんでないか? 第一章〜五章、十一章辺りが有益。 1、投資家の過剰反応 2,リスクに対する感情 3,なぜ売りが難しいか 4,銘柄選択の心理学 5,日々の投資の精神病理学 11,株式市…

西島章次他「現代ラテンアメリカ経済論」

このシリーズは知らない国・地域の方が読んでて面白いらしい。 「ラテンアメリカ」というと、有名所はアルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ辺りで、 ややマイナー所ではエルサルバドル、ボリビア、ハイチ、コロンビア等々。 (名前は知ってるけど、あれど…

藻谷浩介「デフレの正体」

少子高齢化が日本のデフレの根本的な原因なのですぞという主張の本。 著者は「この結論だけをきいて非難するのではなく、この結論に至るまでの、 私の示す客観的な数字を読んでから判断してもらいたいですな」みたいなことを書いているが、 ぶっちゃけ結論は…

ジョセフ・E. スティグリッツ「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」

タイトルだけ見るとどこの山師が書いたんだと思うが、 スティグリッツ教授というノーベル経済学賞受賞経験もある経済学の大先生でびっくりした。 内容はちょっと古くて、アジア通貨危機とかソ連崩壊後のロシアの市場経済移行とかを扱っている。 タイトルだけ…

久保広正他「現代ヨーロッパ経済論」

世界経済シリーズ3冊目。 違うんだよな。 若干僕の知りたいと思っている情報からズレてるんだよな。 「中国経済論」もそうだったけど、制度的な枠組みをまとめてくれてるのはうれしいけど、それが若干ズレてる。 僕の知りたいのは中国経済やヨーロッパ経済…

加藤 弘之「現代中国経済論」

中国経済がアメリカ経済や日本経済と違ってイマイチ理解しづらいのは、 民族・文化の多様性にあるのだと思う。 本来一つになるべきでない民族が「中華人民共和国」という巨大な国家に押し込められている。 一つ発見だったのは、中国の人口問題が既に変化して…

井手 正介「ビジネス・ゼミナール 証券投資入門」

小泉政権の頃に日経はちょっと回復したんだなあというのを再発見して驚いた。 まあこの本に煽られて株買った方々は3・11で地の底を見たでしょう。 あんまりちゃんと読んでないんだけど、 古典的な投資のスタンダードな考え方はまとまってると思う。

ダレル・ダフィー「巨大銀行はなぜ破綻したのか ―プロセスとその対策」

スタンフォード大学の教授が書いた本。 リーマンショックをうけて、金融を今後どうすべきかを書いている。 けど内容が難解すぎてわからんというのが正直な感想。 ・ディーラーバンクの役割 ・破綻に至った経緯(経営危機の噂が広まると翌日にはすぐに現金調…

野村克也「野村の見立て」

十二球団の現状・これからの課題を指摘した本。 よく見ているなという感じだ。 十年、二十年後の野球界まで考えている所は、 本当にただ野球の話だけにとどまらず、もっと色んな分野に敷衍できそうな、 含蓄を感じて、ちょっと感動した。

吉井 昌彦 / 溝端 佐登史「現代ロシア経済論 」

このシリーズは素晴らしくいいですね。 全部読みたい。 シリーズまだ全部出てないかもしれないけど、 かなり最新のロシア経済事情から、ソ連時代のあれやこれやまで網羅してある。 資源バブルでうはうはのロシア経済の姿が知れる。

カイザー・ファング「ヤバい統計学」

「ヤバい○○学」というシリーズは、別にそういうシリーズがある訳でなくて、 日本の訳者が商売繁盛のためにアホで知的コンプレックスを持った社会人とかにでも 手をとりやすいようにするためにそういうタイトルにしてるだけであって、 どうなんかとは思うんだ…

川上未映子「乳と卵」

女が三人出てくる話で、 ホステスでバツイチ子持ちの妹と東京で一人暮らししてる未婚の姉、 その妹の子供が子供を話さないでノートで筆談する子で、 姉のもとにその妹が豊胸手術のために上京してくる話。 全編頭悪そうな関西弁で書かれてる。 思ってたよりは…

大村敦志「生活民法:暮らしを支える法」

昔「法律学」という講義をとったときに教授が薦めてた本を、 今さらながら読んだ訳だけれど、面白かった。 東大法学部で民法の入門書として扱われているらしいけれど、 僕のような法学に何の興味も知識もない人間でも楽しめる、良質な知的娯楽本だと思う。 …