四十三庵

蔀の雑記帳

永井荷風「濹東綺譚」(墨東綺譚。文字化け対策)

川越から仙台へ向かう片道七時間の退屈極まりない車内だと、普段は読む気になれない小説も、 さながら無人島にものすごいブスと二人きりで漂流したかの如く、精力的に読むことができる。 僕にとって読書というのはそういうものでしかないので、読書によって…

三浦佑之「口語訳 古事記」

僕は経済学部だったんで、あんま古典は必要なかったけれど、成績はよかった。 センター試験の古典では、本番で50点満点をとった。 センター試験は最低限の文法事項と、内容の読み取りが出来れば、 選択肢は大味につくってあるので、実は結構点数とりやすい…

ショウペンハウエル「自殺について」

哲学者の文章というのは、ムダに長い上に単にわかりづらい文章が多くて辟易するんだけども、 ショウペンハウエルさんの文章は簡潔で、その上文学的でなかなか素敵である。 私の知っている限り、自殺を犯罪と考えているのは、一神教の即ちユダヤ系の宗教の信…

アダム・スミス「国富論」

謝罪 トップページが激重で、申し訳ありません。 このような場末の穴蔵のようなブログに折角来ていただいたのに、 記事の内容だけでなく、サイトの仕様でまで不快感を与えてしまうとは。 関係者各位には誠に申し訳ないと思っています。割と「四十三庵」はシ…

真山仁「ハゲタカ2」

経済小説にしては馬鹿売れした「ハゲタカ」の続編。 アラン君が冒頭でいきなりぶち殺されたのには笑った。 面白かったけど、話がどんどんご都合主義的になっていくのはご愛嬌。

坂口安吾「堕落論」

「堕落論」(青空文庫) ●文章 坂口安吾の文章というのは淡々とした、悪い意味で昔の人らしくない文章で、正直言って好みではない。 好みではないが、嫌いでもない。 内容次第ではまあ読んでもいいけれど、文章自体の味はあまりない。そういう文章だろう。 …

可児滋「デリバティブの落とし穴―破局に学ぶリスクマネジメント」

単なる失敗エピソードを集めた本だろうと思って読んだが、いい意味で裏切られた。 超絶良著。 金融論の教科書は都合五冊ほど読んでいるけど、 これほどデリバティブに関してしっかりした理解が持てる本はなかった。 ●第一章 ベアリング銀行破綻 ニック・リー…

ローレンス E. リフソン他「投資の心理学―「損は切って利は伸ばせ」が実践できない理由 」

訳がなかなか酷いが、まあ別に文学作品ではないのでこんなもんでもええんでないか? 第一章〜五章、十一章辺りが有益。 1、投資家の過剰反応 2,リスクに対する感情 3,なぜ売りが難しいか 4,銘柄選択の心理学 5,日々の投資の精神病理学 11,株式市…

西島章次他「現代ラテンアメリカ経済論」

このシリーズは知らない国・地域の方が読んでて面白いらしい。 「ラテンアメリカ」というと、有名所はアルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ辺りで、 ややマイナー所ではエルサルバドル、ボリビア、ハイチ、コロンビア等々。 (名前は知ってるけど、あれど…

藻谷浩介「デフレの正体」

少子高齢化が日本のデフレの根本的な原因なのですぞという主張の本。 著者は「この結論だけをきいて非難するのではなく、この結論に至るまでの、 私の示す客観的な数字を読んでから判断してもらいたいですな」みたいなことを書いているが、 ぶっちゃけ結論は…

ジョセフ・E. スティグリッツ「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」

タイトルだけ見るとどこの山師が書いたんだと思うが、 スティグリッツ教授というノーベル経済学賞受賞経験もある経済学の大先生でびっくりした。 内容はちょっと古くて、アジア通貨危機とかソ連崩壊後のロシアの市場経済移行とかを扱っている。 タイトルだけ…

久保広正他「現代ヨーロッパ経済論」

世界経済シリーズ3冊目。 違うんだよな。 若干僕の知りたいと思っている情報からズレてるんだよな。 「中国経済論」もそうだったけど、制度的な枠組みをまとめてくれてるのはうれしいけど、それが若干ズレてる。 僕の知りたいのは中国経済やヨーロッパ経済…

加藤 弘之「現代中国経済論」

中国経済がアメリカ経済や日本経済と違ってイマイチ理解しづらいのは、 民族・文化の多様性にあるのだと思う。 本来一つになるべきでない民族が「中華人民共和国」という巨大な国家に押し込められている。 一つ発見だったのは、中国の人口問題が既に変化して…

井手 正介「ビジネス・ゼミナール 証券投資入門」

小泉政権の頃に日経はちょっと回復したんだなあというのを再発見して驚いた。 まあこの本に煽られて株買った方々は3・11で地の底を見たでしょう。 あんまりちゃんと読んでないんだけど、 古典的な投資のスタンダードな考え方はまとまってると思う。

ダレル・ダフィー「巨大銀行はなぜ破綻したのか ―プロセスとその対策」

スタンフォード大学の教授が書いた本。 リーマンショックをうけて、金融を今後どうすべきかを書いている。 けど内容が難解すぎてわからんというのが正直な感想。 ・ディーラーバンクの役割 ・破綻に至った経緯(経営危機の噂が広まると翌日にはすぐに現金調…

野村克也「野村の見立て」

十二球団の現状・これからの課題を指摘した本。 よく見ているなという感じだ。 十年、二十年後の野球界まで考えている所は、 本当にただ野球の話だけにとどまらず、もっと色んな分野に敷衍できそうな、 含蓄を感じて、ちょっと感動した。

吉井 昌彦 / 溝端 佐登史「現代ロシア経済論 」

このシリーズは素晴らしくいいですね。 全部読みたい。 シリーズまだ全部出てないかもしれないけど、 かなり最新のロシア経済事情から、ソ連時代のあれやこれやまで網羅してある。 資源バブルでうはうはのロシア経済の姿が知れる。

カイザー・ファング「ヤバい統計学」

「ヤバい○○学」というシリーズは、別にそういうシリーズがある訳でなくて、 日本の訳者が商売繁盛のためにアホで知的コンプレックスを持った社会人とかにでも 手をとりやすいようにするためにそういうタイトルにしてるだけであって、 どうなんかとは思うんだ…

川上未映子「乳と卵」

女が三人出てくる話で、 ホステスでバツイチ子持ちの妹と東京で一人暮らししてる未婚の姉、 その妹の子供が子供を話さないでノートで筆談する子で、 姉のもとにその妹が豊胸手術のために上京してくる話。 全編頭悪そうな関西弁で書かれてる。 思ってたよりは…

大村敦志「生活民法:暮らしを支える法」

昔「法律学」という講義をとったときに教授が薦めてた本を、 今さらながら読んだ訳だけれど、面白かった。 東大法学部で民法の入門書として扱われているらしいけれど、 僕のような法学に何の興味も知識もない人間でも楽しめる、良質な知的娯楽本だと思う。 …

MURAKAMI HARUKI"AFTER DARK"Jay Rubin訳

英語版が図書館にあったので、読んでみた。 元の文章が翻訳調なので、英語に訳しても大して齟齬がないように感じた。 (ネイテイブが読むとどうなのかわからんけど) 当然日本語と英語じゃ同じことが書いてあっても全然印象が違う訳で、 会話シーンなんかか…

小松章「基礎コース 経営学」

経済学の理論で、「企業」をどう考えるか。 経済学を学べば、企業経営に何か寄与するか、というと、そうは思えない。 生産関数をおいて、利潤最大化問題を解いて、 じゃあいざ企業のCEOに出世して、 「よしこの会社の生産関数はこうだから・・・利潤を最大化…

城山三郎「男子の本懐」

つい二、三年前に、最愛の妻に先立たれ、痴呆の症状著しいまま亡くなった城山三郎。 彼は一橋大学(東京商科大学時代だっけ?)を卒業して、経済小説のパイオニア的存在な訳だけれども、 城山三郎の文章はいかにも経済学部出身らしい文をしている。 どの学部…

新保恵志「デリバティブ―リスク・ヘッジが生み出すリスク (中公新書)」

クソだった。 例がムダにわかりにくい。 説明が下手。 ありえないレベル。 編集何やってんだ。

谷岡一郎「確率・統計であばくギャンブルのからくり」

確率論と統計学を使って、ギャンブルを考えようというブルーバックス。 数学的にそんなにエグいものは出てこないんで、高校数学レベルでなんとか読めると思います。 個人的に興味があるテーマに、 「パチンコが数学的に見てどのぐらい損をするのか」 という…

村松剛「醒めた炎」

木戸孝允が主人公の小説というのは意外と少ない。 この小説(と言っていいのかどうか。後述)は、昔日経で連載していた新聞小説をまとめたもので、 上巻・下巻それぞれ800頁程、あわせて1600頁くらいの長さなので、非常に大変だった。 一度根性据えて…

「「坊っちゃん」の時代」関川夏央・谷口ジロー

面白かったです。 第一部が夏目漱石が主人公。 ビール飲んで暴れる漱石先生が素敵。 西洋嫌いなのに、ロンドン留学して、精神ズタボロになる漱石さん素敵。 平塚らいてふがレストランでベロチューするシーンがあるんだけど、明治人あんなことせんやろw 第二…

秋山駿「信長」

さてこのような本を語る時、どのような体裁をとるべきなのか、私はわからない。 スタンダールがナポレオンを描こうとしたように、秋山という著者は信長を描こうとした。 それはamazonレビューを見るまでもなく、本文を読めば自明である。 しかしその試みが成…

養老孟司「唯脳論」

脳について書いてある本。 養老孟司は医学部(解剖学者)なので、うさんくさい、脳科学ブーム便乗本とはちょっと違い、 脳の構造であるとか、人間以外の生物との比較であるとか、そういった記述が中心となるので、 茂木健一郎みたいなイメージで読むと面食ら…

「金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式―微分の初歩からやさしく学べてよくわかる」石村貞夫、石村園子

熱伝導方程式を考えた奴は頭どうかしてるんじゃないか。 ファイナンス(特にアセットプライシング)の分野は、理系の独壇場で、 経済学の領域でありながら、文系の経済学者ではとても入っていけない世界になっています。 本書は高校数学の数'VCレベルの微分…