四十三庵

蔀の雑記帳

芥川賞1 石川達三「蒼氓」

○あらすじ 日本政府は二十世紀前半、国家をあげてブラジル移民を奨励していた。 (参考) ブラジルへの移民船、らぷらた丸には、全国から様々な日本人が集まる。 様々な方言を話す人々が、一つの船に集う。 その人間模様が、簡潔でむだのない文体で、多面的に描かれる。 「蒼氓」とは、「すべての国民」の意。 ○感想 第一回芥川賞受賞作の名に恥じない立派な作品。 東北や九州や四国の方言が出てきて、テレビのない時代の日本語というのは、 ホントに地域ごとに意志疎通とりづらかったんだろうなあと思った。 お夏の描写に、当時の日本人女性の典型的な姿がある。 ほとんど結婚する寸前だった男と離別する際に、手紙すら送れない、 見ず知らずの男に夜這いをかけられても、全く抵抗しないという、極めて受動的な態度。 調べてみたら、芥川賞を受賞したのは第一部で、実は続編があるらしい。 続編では実際にブラジル生活が描かれているようだ。 まあでも、第一部だけで終わりにしても、小説の構成としては、すっきりしてると思うんだけど。 ○第二回芥川賞は受賞作なし 第二回芥川賞は受賞作なしです。 二回目からいきなりかよ、と思ったが、何か二・二六事件の影響らしい。