四十三庵

蔀の雑記帳

芥川賞3 鶴田知也「コシャマイン記」、小田嶽夫「城外」

○第二回芥川賞は受賞作なし 第二回芥川賞は受賞作なしです。 二回目からいきなりかよ、と思ったが、何か二・二六事件の影響らしい。 ○第三回芥川賞受賞作 第三回はダブル受賞。 鶴田知也コシャマイン記」 ○あらすじ 勇猛果敢で知られたタナケシが、蠣崎義広に酒宴の席でだまし討ちにあい、殺された。 アイヌの漁場で、日本人の跳梁を許すことになった。 タナケシの甥のヘナウケは、日本人の跳梁跋扈に対し、蜂起した。 そして妻のシラリカに、子のコシャマインをつれて、逃げるように指示した後、殺された。 コシャマインが逃げこんだ部族、イワナイの首長シクフは、信義に厚く、二人を保護したが、 彼が死に、息子が首長となると状勢は一変し、二人は逃げることになる。 忠実な部下、キロロアンの奮闘もあって、二人は何とか部族の追っ手から逃げ、 ユーラップの酋長イコトイのもとに身を寄せる。 そこでコシャマインは、イコトイの末の娘、ムビナを嫁にもらう。 コシャマインの生活はひとまず安定したが、日本人のアイヌ人迫害は日々強くなり、 場所請負人の跳梁はすさまじかった。 コシャマインは、日本人が使う弦のない弓(鉄砲)を見て、絶望を感じる。 やがてコシャマインの失意は深まり、日本人への反乱は不可能だと悟る。 イコトイが死に、その息子の代になると、日本人の支配はますます強まり、 アイヌ人にも日本的な生活を楽しむ者が出はじめた。 コシャマインの住居の近くにも日本人が住みはじめた。 コシャマインはその日本人と話すようになり、酒を酌み交わす仲となるが、 ある日酒に酔ったところを、殺され、死体は川に流され、 その日本人たちはムビナを強姦するため、コシャマインの家へ向かった。 ○感想 紛らわしいけど、日本史の授業で出てくるコシャマインとこの小説のコシャマインは同名の別人。 アイヌ人の英雄譚の形式で書かれた小説。所々アイヌ語が出てくる。 あらすじ書いてて思ったけど、暗い小説だねえ。 まあでも現代も似たような状況はあちこちである訳で、 たとえば日本とアイヌの関係は、そのまま日本と東南アジアにあてはまるだろうし。 ただやり方がもうちょっと洗練されているだけで。 今は、銃や暴力は使わずに、金を使っているという風に、暴力的な文化侵略から平和的な文化侵略になった訳だ。 小田嶽夫「城外」 ○あらすじ 外交官として中国に赴任した主人公は、 現地で世話人として雇っていた中国人女性と恋愛関係に陥る。 やがて権力抗争の中で、主人国は帰国することが決まり、二人の関係は終わりを迎える。 ○感想 中国人の台詞が、漢文の書き下し文になってるのが笑えるw 大体日本で人種を超えたラブロマンスの相手って、日本人対白人の場合が多いんだけど、これは日本人男対中国人女。 中国人にせよ、韓国人にせよ、近いようで全然違う人種だからねえ。 当時の中国人って言うと、現代の東南アジア人みたいな印象なんだろうね。 よく考えたらこの小説七十年以上前の小説なんだね。 やっぱ同じ文章読んでるようでも、当時とは大分感覚的な面とか、共通認識とか変わってるから、 ジェネレーションギャップってあるんだろうね。 そもそも戦前の話だしなあこれ。