四十三庵

蔀の雑記帳

株の利益はどこから来るのか

○株初心者の人へ このブログは文学と経済の架け橋となることを目的に書かれてる訳ですが、(嘘) いよいよ僕も株についての記事を書こうと思います。 本当はさっさと株式投資をはじめたいんですが、 未成年は口座つくるのに何かと制限があって、証券会社も結構限られ、 ひどいとこだと親まで口座開かないと口座開けないとこまでありますから、二十歳になるまで待とうと思います。 まあ他にもやることはいっぱいありますから。 記念すべき最初の経済記事は、 「どうして株は儲かるのか?」 ということについてです。 もちろん、株は絶対に儲かる訳じゃなくて、損を出すこともある訳なんですが、 この記事のテーマは、 「どうして株は利益が出るのか?」 「どこから株の儲けは出てくるのか?」 という話。 蔀先生が、株のしくみをやさしく解説しましょう。 ○株の誕生 そもそも株なんていうシステムが、どうして誕生したのかからはじめましょう。 昔々、大航海時代というのがありました。 ヨーロッパでは、たくさんの冒険家が新大陸目指して船出していました。 また絹や香辛料求めて、アジア向けの船もたくさん出ていました。 絹だの香辛料だのは、当時のヨーロッパにはほとんどなかったので、持ち帰ってくれば大儲けできました。 しかし当時の船旅は、危険に満ちていました。 嵐、難破、海賊…… もし無事にアジアから絹や香辛料をしこたま買いこんでも、 ヨーロッパに帰る途中で沈んでしまえば大損です。 そこで、船への融資というのは、ハイリスクハイリターンなものでした。 大航海時代初期は、船への融資ができるのは、大富豪に限られていました。 しかし段々と規模が拡大していくと、大富豪からの融資だけでは足りなくなります。 今も昔も、大富豪なんてそうそうたくさんはいませんから。 となると、どうしてもたくさんの人々から、小額の金を集めるしかありません。 日本人なら誰でも一度は、日本国民全員から10円募金を集めたら、 10億円になるなーと考えたことがあるでしょうが、それと似たことを船乗りどもはしなければいけなかった訳です。 大富豪から100万ポンド借りるのは無理なので、 100人の商人から1万ポンドの借金をしたのです。 そこで誕生したのが、株式会社です。 世界で最初の株式会社は、東インド会社だと言われていますが、 彼らは、株券を買わせることで、投資者のリスクを減らしたのです。 どういうことかというと、普通に船乗りに融資して、 船が難破したり、海賊に襲われたりして、大損害を出したとしましょう。 普通の融資だと、もし船乗りどもが自分達が支払える以上の大損害を出した場合、 出資者どもは自分の資産が差し押さえられる可能性がありました。 その点、株というシステムは、「出資した分だけ」損をするシステムでした。 株式会社に投資して、もし船が難破して大損害を出し、会社が倒産しても、 出資者の損害は、株券が紙くずになるだけですみます。 これを、有限責任、と言います。 更に株のいいところは、有限責任だけでなく、投資者の間で、リスクを分散できることです。 普通の融資だったら、一人一人融資をとりつけなければいけないので、 どうしても出資者の人数は限られてきますよね。 株だったら、株式会社の人間がかけずりまわらなくても、出資者が大勢集められる訳です。 で、株主がたくさんいると、大損害が出ても、損害が分散できます。 つまり100万ポンドの借金を10人で背負うのと、1000人で背負うのと、どっちが楽かという話ですよ。 1000人で背負えば、一人の損はたった1000ポンド。 しかも株だったら、持ち株の量でリスクを調整できます。 金持ちはたくさん株を買って、得する時はたくさん得して、損する時はたくさん損する。 貧乏なら、すこしだけ株を買って、少なく得して、少なく損する。 この有限責任とリスクの分散によって、 出資者は安心して金が貸せるし、 船乗りは楽に金を集められた訳です。 このシステムはあまりに優れていたので、現代では船のみならず、様々な商業分野で使われています。 何事もそうですけど、「両方とも得をする」システムって言うのは、結局一番長生きしますね。 ○株の利益はどこから発生するの? まず、基本の基本から説明すると、 あなた個人が儲かったり損したりするのは、買った時と売った時の差額によるものです。 株も、FX(円と他の国の通貨の変動を利用して、儲けよう!Foreign eXchange)も、 安く買って、高く売って儲けるのが基本です。 でもここで問題としてるのが、あなたが儲けたとして、その儲けってどこから来ているの?という話です。 株の勉強をはじめた頃は、不思議でしょうがなかったんですけど。 結論から言うと、株で出た利益って言うのは、他の人の損害になっていて、 株取引全体で見ると、プラスマイナスは0になっているんですよ。 つまり、あなたが株で10万得したとしましょう。 この儲けの裏では、誰か株で10万損してる、ということが起こっているのです。 A社の株を、10万円出して買ったaさんを考えて見ましょう。 aさんがその株を上手くbさんに20万円で買わせたとします。そうすればaさんの儲けは10万円ですね。 次はbさんがどうなるか。 20万円は大分高いので、bさんがcさんに売る時は、大分値下げして、10万円で売ることになってしまいました。 これでbさんの損は10万円になります。そしてcさんが…… ということが延々と続く訳です。 もちろんこの場合はわかりやすくするため、かなり単純化してますけど。 もし、bさんがcさんにうまーく株を30万円で売りつけたとしたら、bさんも10万円儲けることになりますね。 これがもし、cさんもdさんもeさんも……と続けていったら? 「そしたら得する奴ばっかじゃないか!!誰が損するんだ!!」と思うかもしれません。     A社 株券↓    ↑+100円(A社の利益)     aさん 200円↓   ↑+100円(aさんの利益)     bさん 300円↓   ↑+100円(bさんの利益)     ・     ・     ・ 皆100円の利益をあげている、こういう状況を考えます。 もしこれが永遠に続くなら、株式投資はまさにうちでの小槌。 経済の生み出した魔法ですが、そうは上手くいきません。 大体、永遠には続きません。なぜなら、 1,バブル崩壊 2,倒産 という2つの終わりがあるからです。 ・1,バブル崩壊 日本でも90年代の株や土地への資産バブル、つい最近ではアメリカの資産バブルがありました。 バブルはいつか崩壊します。 人間がもし完璧にアホだったら、どんどん株価が上がっていって、 トヨタが一株2兆になっても、「トヨタならこのぐらい行くだろ」とか言って平気で投資し続けるかもしれませんが、 実際はあんま高くなりすぎると、「これはおかしい。異常だ」と思う訳です。 そうなると後はチキンランと一緒です。 皆、どこでこのゲームからおりるかを考えながら、高い株価の上で競争する訳です。 一番いいのは、バブル崩壊の直前で、すっと株から手を引いて、大儲けすることですが、 一歩タイミングを間違えれば大損害ですから、まさにチキンラン。 A社の株に話を戻すと、まあいくらかはわかりませんが、適当に10000円くらいにしましょうか。 元々100円のしょぼい株だったA社の株が、10000円で売られている。 賢明な投資家たちは、「あぁそろそろやばいな」と思うわけです。 そこで、A社の株価バブル崩壊前に不幸にもA社株を買ってしまったのはzさんとします。 A社の株は一回の取引ごとに100円ずつ値上がりしていきましたんで、 zさんが株を買ったのが、ちょうど100回目の取引(A社からaさんの取引も含む)だったようです。 zさんの購入直後、突如としてバブルが崩壊、誰もA社株を買ってくれなくなってしまいました。 株価はみるみる下落。ついにzさんがようやく売れた時には、元の100円に戻っていました。 zさんの損害は、10000-100=9900円。 zさんより前に取引をした人々の利益が、100×100=10000円。 みんなの利益を、zさんの損害がほとんど担っている訳ですね。 でも完全に損益が1対1、トントンにはなってないですね。 実は、ちゃんと「最後まで」取引を進めてゆくと、損益が完全にトントンになるのです。 ・2,倒産 倒産したら、株券は紙くずとなって、株価は0です。 ここでの損害があってはじめて、損益がトントンとなるのです。 さっきの例を使って考えると、まぬけなzさんが10000円でA社株を買った際、 バブル崩壊ではなくて、A社の倒産が起こったとしましょう。 (もちろん株価が高止まりしている時に突然倒産するのは非現実的ですが) すると、zさんの損害は10000円ですね。 そしたら、みんなの利益10000円は、完全にzさんに背負われたことになりますね!zさんお疲れーっす! ○株取引は「最後まで」行われていない 実際問題、企業が倒産するということは、ないわけじゃないですけど、あんまりないんですね。 だから株での利益というのは、損益がトントンにはなってないんです。 そういう訳で、初心者が株取引を覗いてみると、天から金がふってきてるように見えるんですね。 ○株券そのものの価値 個人投資家だったら、大体は売買目的で株を買いますけど、 実は株券そのものにも価値があります。 もしその株式会社の業績がよければ、配当金がもらえます。 ただ日本企業はあんま配当金出さない傾向があるので、配当金欲しさに株券を持つ人はあんまいません。 日本の株で特徴的なのは、株主優待というのがあって、 株券を持ってると色々おいしい思いができます。 スーパーの株券を持ってると、何%割引とかあるみたいですね。 また、もっと大きな株券の使い道があります。 株主総会というのがあって、株を持っている人には出席する権利があります。 そして、その株主総会での発言権は、持株の量に比例します。 一応理念として、株式会社は株主の利益を最大にするように行動しないといけないことになっています。 そこで、企業乗っ取りを目論む時は、その会社の株を何十%だが買い込むんですねえ。 堀江貴文がテレビ局買収しようとして失敗しましたよね。 株にはそういう使い方もあるんです。 ○株価はどうやって決まるの? もう一つ、僕が初心者だった頃に大いに疑問だったのが、 株価は、誰が、もしくは何が、決めているのだろうということでした。 そりゃあ、 「株価は買いたい人が多ければ上がるし、売りたい人が多ければ下がる」 という理屈は知っていましたが、実際問題、 そんなに簡単に人の希望が反映されるのかな、ということですよ。不思議だったのは。 たとえば、トヨタの株が一株2000円だったとしますよね。 これが翌日には2100円になってる。その翌日には2000円になる。 これって2100円の日は買いたい人が多かったけど、 翌日になると買いたい人が減って、2000円台くらいまで戻ったってことですよね。 視点を変えたら、2100円の日は、1000人の投資家が買いたいと言っていて、 2000円の日は900人の投資家が買いたいって言っていたのかもしれないし、 指値のことも考えると、1000人の投資家も値段の付け方が違うし、 おまけに買い手の側の問題まで考えると、問題はめちゃくちゃ複雑な訳ですよ。 そんな複雑な条件が、ホントに株価に反映できてるのか。 不思議でしょ? 結論から言うと、完璧ではないかもしれませんが、かなりの精度で出来てるんです。 どうしているかというと、それは「市場の力」を使っているんですね。 経済学部の人なら、「ああなるほど」と思うんでしょうが、 そうでない人にはまだピンとこないかもしれませんね。詳しく説明しましょう。 ○市場の力 市場というのは、買い手と売り手が出会う場所です。 必ずしも物理的な場所は必要なくて、要は売買が成立する所なら、そこが市場になります。 市場では、需要側(買い手)と供給側(売り手)がいます。 ある商品の売買を成立させるのは大変です。 だって、供給側としては、一円でも高い方がいいし、需要側としては一円でも安い方がいい訳です。 もし叶うのなら、供給側は価格を無限大に、需要側は0円にしたいと思っています。 そりゃあそんなこと言ってたら売買が成立する訳はないですよね。 実際は、供給側は「最低この値段なら売っていいだろう」という妥協点を示すし、 需要側も「最高でもこの値段なら買っていいだろう」という妥協点を示します。 需要と供給、両サイドの妥協によって売買は成立して、価格も決定します。 この妥協を極めて効率的にさせるのが市場なんですね。 売買が成立した時を、需給の均衡と言って、その時の価格を均衡価格と言いますが、 まあ名前はどうでもいいです。概念を理解することが大切です。 均衡価格こそ、売り手の利益と買い手の利益の和を、最大にする値段なんですね。 だからきちんと市場均衡していれば、馬鹿みたいに高かったり安かったりする価格というのはつかないんですよ。 売り手買い手ともに、「まあそのぐらいだろうな」と思えるような、極めて妥当な価格になるはずです。 で、この均衡の考えから、 価格が上がる時というのは、需要が多いか供給が少なくなる時で、 価格が下がる時というのは、需要が少ないか供給が多くなる時ですね。 スーパーで誰も買わない刺身が、賞味期限が切れそうになると半額になったりしますね。 あれは供給側が思っているより、刺身の需要が少なかったので、価格が下がったのです。 その結果、大して収入のないあなたの家庭でも刺身が食べられる、と。 この均衡が、「ホントに成り立ってんのかよ」と疑問に思う人もたくさんいると思います。 100円に戻せばいいのに、缶ジュースの値段が、 いつまでも120円でとまってるのを苦々しく思う人もいっぱいいると思います。 これはなぜかと言うと、市場が完全に効率的でないからです。 情報の非対称性というのがあって、どうしても供給側の方が商品を作ってるんで、 その商品について、本当の価値が、需要側よりもより正確にわかっていますよね。 その上で、自分の利益になるような価格設定をして、需要側に示すので、 往々にして需要側としては、正しい知識がないことから、不当に高い価格で買わされている場合があります。 あるいは寡占とか独占とかいう原因も考えられますが、長くなるのでここでは触れません。 要するに、現代の市場では、(昔からそうですけど)供給側の方が若干強いんですね。 でも市場が完全に効率的になっても、今度は供給側が困るんですよね。 完全に効率的になった市場を、完全競争市場って言うんですけど、 そこだと色んな値段設定、色んな品質の商品が売られているんで、120円の缶ジュースなんて誰も買わないんです。 需要側が、自分の本当に欲しい商品を、本当に納得できる値段で買えばいいんです。 けど、そうなると今度は供給側の利益がほとんどなくなるって言う問題があって、 供給側の利益がなくなると当然賃金が下がるので、需要側の購買力もさがって……という流れになるんで、 必ずしも完全競争市場がいいって訳でもないんですよね。 とは言え、今の市場だって、それなりの効率性は発揮しています。 もし自動販売機で缶ジュースの価格が1000円になったと考えてくださいよ。 だーれも買わないでしょ。 どんどん賞味期限切れして、廃棄される缶ジュースが増えて、 ついでに自動販売機の持ち主の損害も増えていって、 供給側も「これは高すぎたな」と思う訳です。 そこで渋々値下げして、大体100円前後くらいに価格を抑える訳です。 違う考え方をすれば、市場は適正な価格づけをしている商品は売買を成立させるのですが、 高すぎる価格づけがされた商品ははじいてる、ということになるますよね。 複雑な個人の欲求を、市場というのは、完璧ではないですが、実に見事に、価格に反映しているんですね。 市場の話はたくさんありますけど、株価に話を戻すと、株の市場もこれと一緒です。 株の取引には、指値というやり方があって、指値を使うと売買の際に、 「この値段以上なら売ってもいいよ!」「この値段以下なら買ってもいいよ!」という意思表示が可能です。 この指値機能で、株価が100円の株も、200円で売りに出すことが可能です。 やってみるとわかりますが、もちろん売れません。 実際の取引では、株価が100円で売りたかったら、 あなたががめつい奴なら、101?103円くらいで売りに出すでしょうし、 確実に売りを成立させたいんなら、98?100円と、株価よりちょっと低めの指値をいれるでしょう。 株には「流動性」という概念があって、売り手買い手がたくさんいる株は流動性が高くて、 すこししかいない株は流動性低いということになって、 流動性が低い株だと、売りたい時に売れず、買いたい時に買えずに損を出すという事態が生じます。 株を勉強し始めた頃は、 「売りたい時に都合よく買い手がいるんだろうか」 と疑問でしたが、実際問題、買い手がいない時もままあるようです。 株価決定のしくみですけど、結局の所、 「株価は買いたい人が多ければ上がるし、売りたい人が多ければ下がる」 というだけの話なんですね。ホントに。 ある程度効率的な市場の力で、株価が決定するんです。 高すぎる売値や、低すぎる買値は市場がはじきますから、 結局はある程度個人個人の意思を反映して、株価が決定する訳です。