四十三庵

蔀の雑記帳

酒井順子「負け犬の遠吠え」

○FC2ブログについて FC2ブログの仕様が改変されて、大分すっきりした。 こっちの方が好きだな。 今まではムダな機能つきすぎててうっとうしかった。 ○女性観が変わるかも この手の本は、旬が過ぎるとものすごい価値が下がる。 なんで今更七年も前に流行った本を読んだのかには、深い理由はない。 まあ軽く、二、三時間でさーっと読めた。 「結婚できない男」の女医を思い出した。 一時期テレビなんかでも、「負け犬」という言葉はよく使われていた。 言葉っていうのは、正確な意味で伝わっていくことはほぼ皆無で、 大体は響きとか語感とかで、なんとなーく広がっていく。 僕はてっきり、「負け犬」っていうのは、結婚できない30以上の女を幅広く指すんだと 思ってたけど、どうもこの本で言う負け犬っていうのは、 「容姿は並以上なのに」 という条件がつくらしい。 この本の最初では、負け犬は狭義では、 「未婚、子ナシ、三十代以上の女性」 ということになっているが、一貫して語られるのは、 ブスだから結婚できないんじゃなくて、男性経験はそこそこあるんだけど、 結婚までに至らない三十路女。 上智にもなんかバブルの残滓みたいな女の子いっぱいいるけど、 彼女たちが将来こうなんのかなあなんて考えると、失笑してしまう。 女にうまれた方が得だったと考えることもなくはないんだけど、 やっぱこういう本読むと、ああ女にうまれなかったのは、僕の数少ない幸運なんだなと思ったり。 ○個人的な経験談 僕がはじめに付き合った彼女の母親っていうのが、あんま書くべきじゃないんだろうけど、 四十で子供産んだシングルマザーで、(夫とは出産前に離婚) なんかいいトコに建ってるマンションに住んでたらしいから、 今考えると外資系企業かなんかで働いてたんだろうなと思う。 多分彼女は負け犬から四十で抜け出した数少ない例なんだろうけど、 その娘っていうのがまた。 「私は一人でもさびしくない」って言われたんで別れたんだけど、 三十になっても四十になっても同じこと言えんのかね。 負け犬の遺伝っていうのもあんのかも。 ○少子化について この本を読んでたら、女性の精神性が、ホントにどうしようもないことがわかった。 男でも是非読むといいと思うよ。嫌な本だけど。 で、男性の精神性もろくでもないのは、僕は既に知っているので、 結局は男女ともに心が腐ってる、という結論になる。 (特にバブル経験者は救いようがない) 少子化は絶対に止まらない。無理無理。 政府が何しようと、こんな心根の腐った連中、どうしようもねーよ。 お見合いパーティ?出会いの場を増やす? 子供を育てながらでも働きやすい環境?夫の家事育児促進? そんなんで少子化がとまると本気で思うの? 少子化っていうのは、もっと構造的で、根本的な問題だと僕は思う。 政府にしてみれば、何かしないとかっこつかないんだろうけど、 けどまー数字で見ても、実感としてみても、増えない。 本気で少子化解決したいんなら、かなーり過激な政策が必要になる。 でも民主主義の限界で、あんま過激な政策は打てない。 少子化解決っていうのは、自然に少子化となった社会の出生率をあげよう、 例えれば、北に流れてる川を、南に流そうみたいな話なんだから、 ぬるい政策では、何の解決にもならない。 多少過激な人なら、フランスみたいに婚外出産を増やせみたいな話をするけど、 本気で日本に婚外出産が根付くと思うのかね。 フランスだから出来ることだと思うけど。 ○たった一つの少子化解決法 ホントに少子化を解決したいんなら、とるべき政策は一つしかない。 「子供を持たない老人は、年金を減額または給付しない」 これを実行すれば、少子化は解決する。 もちろん精子だか卵子だかに問題があって、子供ができない夫婦は、 産婦人科の診察結果があれば、ちゃんと年金をもらえるよう配慮する。 同性愛者は、養子もらうなり、何なりしてもらえば、年金もらるようにする。 今政府が行ってる政策は、「北風と太陽」で言えば、「太陽政策」。 優しい政策を打ち出して、人々を何となく結婚させようとしている。 対して、この年金額によって、子供産ませる誘因をつくるのは、「北風政策」。 日本の風土を考えたら、まずフランス流は無理。 これしか少子化を解決できる政策はない。 政府の社会保障費の抑制にもなるしね。 この政策の問題は、 ・年金の当初の目的が損なわれる ・この政策を実行する前の世代と、後の世代の不平等 という二つの問題がある。 年金っつーのは、何で払ってるかっていえば、 「今までがんばって働いてきた国民に、お年寄りになってからは、 働かないで食っていけるように、経済的に援助しまっせ」 という趣旨であって、別に子供持ってようと、持ってまいと関係ない。 そもそも未婚であっても、年金は払っているはずなのに、 子供の有無で国民を差別していいのか、という問題。 「確かに関係ないけど、少子化対策として有効なので、実施します。 ガタガタ言わないで、子供作ってね^^」 というのが僕の解答。 施行されると、確実に子供できる見込みのない連中は、 年金払わなくなりそうだけど、仮に払わなかったとしても、 その分将来の社会保障費は浮くから、それで穴埋めできる。 多分だけど、「私はもう100%子供つくることはないんで、払いません」って 言いきれる程、積極的に子供持たない負け犬って、あんまいないと思うんだ。 「もしかしたら」っていう思いを秘めながら、 ただ漫然と年を重ねてきたのが多いだろうから、なんだかんだで払うんじゃないかな。 どっちかっつーと後者の問題の方が重い問題で、 仮にこの政策が実施されたとすると、 その実施前に30とか40になってる未婚連中の扱いをどうするか。 今更結婚相手もいないし、遡及的に年金減額/廃止を適用されるのはいかがなものか。 ただ何歳までは適用免除とすると、一番深刻な、バブル期に大量生産された 「独身貴族」「負け犬」の連中が無視されることになって、それはそれで問題あるよね。 この配慮はどうしようね。 ○絶対に少子化は解決しません 散々書いてきたけど、こんな政策絶対に実現しない。 実現したら、僕は日本の政治家大好きになると思うけど、まずないだろうな。 審議すらされないと思う。 まず国民の支持が得られないのは目に見えてる。 皆、本音を言えば、少子化なんてどうでもいいんだ。 「将来を割引くのは倫理的に許されない」なんて思ってないんすよ。 そりゃ、口では皆、少子化は解決すべき問題だ、と言うし、 ホントにそう思ってんのかもしんないけどさ、 「自分に不利益にならない程度に」少子化が解決すればいいなーってのが本音でしょ。 「少子化が解決する」よりも、「自分の年金を守る」のを優先するのが、 人間の自然な感情でね。 「太陽政策」では、現代日本人の精神性からして、未婚率に歯止めはかからない。 未婚率を上げないで、出生率だけ上げるフランス流は、日本に根付かない。 「北風政策」は、そもそも実行できない。 じゃあ、結論は一つですよね。 少子化はとまらない。 賢明なる諸君は、少子化解決は無理だと、さっさと諦めて、 「もし少子化するなら、どういう世の中になるか。何が必要になるか」を考えた方がいいっすよ。 少子化が進んでも、日本が爆発する訳じゃないんで、 何とでもなると思うんだけど。 ○少子化は大した問題じゃない ぶっちゃけ、少子化って大した問題じゃないと思うんだ。 っていう風に言うと、いや少子化は大問題だよ、という声が必ず出てきて、 そういう人の主張は、大体、少子化が進むと、 1、年金制度(賦課方式)の破綻 2、学校制度の破綻 3、労働力不足、経済停滞、国力低下 4、人口減少 5、活力のない社会になる ということが起こって、日本は破滅するみたいなことを言い出すんだけど。 この中で本当に問題があるのは、1と5。 2は、各地で廃校が出るとか、教師が余るとか、そんな問題だけど、 そもそも今の学校って、敗戦後のベビーブームの中で筍みたいにぽんぽん建てた名残りであって、 数が多すぎるから、廃校が出るんであって。 教師が余るっていうのもねぇ。たとえば少人数教育とか1クラス教師2人とかが進めば、 今と同じくらいの数の教師がいるだろうし。少子化=教師需要低下とは限らないだろうけど。 3なんかは、もう。現状、職は足りないし、 機械化でどんどん単純労働者は要らなくなってきて、人手は要らなくなってるし。 そもそもバブル期と違って、若者は金ないから、消費の中心になってないし。 経済に関して言えば、新しい家があんま建たなくなるんで、 建築関係は少子化で大ダメージ受けるかもしれないけど、他は、そこまで大した問題じゃないのでは。 4は、今の日本の人口は、むしろ多すぎるので、減っていいと思う。 ネット右翼なんかは、「日本人の人口が減ると中国人や朝鮮人が日本を侵略する!」 なんてわめくけれど、韓国もすごい速さで少子化してるんだけど、 どうして韓国は中国や北朝鮮に侵略されないのか、おじさん不思議。 1と5は、少子化で実際に起こる問題。 でもなあ。 「こういう問題が起こるから、少子化は解決しなきゃダメだ」 っていう論理になるんだろうけど、視点がちょっとずれてると思うな。 「少子化が不可避である」っていう前提に立てば、 上の五つの問題も、将来ほぼ確実に起こるであろう問題であってね。 五つの問題に対して、少子化解決以外の方法で、個別に対策しなきゃダメだと思うよ。 ○そもそも 人類の20世紀の進歩っていうのは、 個々人が好きなように動いてきたから、可能だった進歩だと思う。 物理が好きな奴は、ひたすら物理を研究して、その結果新発明が色々できて。 金が好きな奴は、金融業に就いて、株だの為替だのを発達させて。 個人が自分の欲望の赴くまま行動することが、結局社会全体の進歩をうんだ。 自然が一番。個人のしたいようにするのが一番。 となれば、少子化も、「個人の自由な選択」の結果な訳で。 もし少子化が、本当に深刻な問題で、人口減少がとんでもない速さで進んで、 このままだと日本人が滅ぶ!っていう状況になったんなら、 また「個人の自由な選択」によって、たくさん子供つくるようになって、 人口は増加するだろうと思う。 まあだから、あんま真剣に心配する必要もないと思うんだけど。 人類は、戦争や貧困を、ある程度克服して、現代に来た訳だけど、 (発展途上国や一部のアホ国家は例外として) これを一歩引いて、俯瞰的な視点から見てみると、 ある世代が抱えていた問題を、次の世代が解決してゆく 次の世代が抱えていた問題を、その次の世代が解決してゆく という歴史をたどっている。 一般化して言えば、 t世代の抱えていた問題を、t+1世代が解決 →t+1世代の抱えていた問題を、t+2世代が解決 となる。 大体の場合、ある世代は、ある問題を解決するけど、その裏で新しい問題をつくりだす。 なかなかなんでもかんでも上手くいくということは少ない。 敗戦後の貧困の中から、高度経済成長を達成して、日本の貧困を解決した世代は、 後にバブル加熱の原因を作り出して、平成生まれの我々に多大な迷惑をかけている訳で。 バブル世代は、前の世代の、 日本特有の「家」制度の残滓だとか、相互監視文化だとかを、解決していった訳だけど、 その裏では、この本みたいな「負け犬」を作り出されていた訳。 戦争とか貧困とかが解決された日本で、 我々は少子化だとか、地球温暖化だとかに悩まされている。 いつの時代も、何かしら問題がある訳だ。 そんなに悩むことはない。 ○最後に 何とか僕も結婚しないと。 バブル世代のクソどもの二の舞はごめんだ。