四十三庵

蔀の雑記帳

「ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち」著、ラルフ、トゥルーブ 訳三川 基好

原題”Monkey Business: Swinging Through the Wall Street Jungle" Peter Troob, John Rolfe (リンクは米アマゾン。) 英語でも読んでみたいなー。 ○内容 時はまさに金融バブルの頃。 ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、リーマンブラザーズ(今は破綻)が隆盛となった時代。 筆者二人は、有名ビジネススクールでMBA取得後、 DLJ(Donaldson, Lufkin & Jenrette)に入社。 そこでとんでもない地獄を見る。 人格が破綻した上司のケツにキスして、 無意味な訂正によって睡眠時間は削られ、プライベートな時間は一切なし。 出張で朝にはパリ、次の朝にはロンドンなんていうのはザラ。 廃人寸前の状況で、ひたすら金ばかり溜まっていく生活。 著者二人は、一年目で、すでに20万ドル以上の年収を稼ぎ出す。 しかし彼らはそこで、ふと悩む。 ラルフは深夜のオフィスで自慰行為に励んだ時、自分の人生これでいいのかと悩む。 トゥルーブはぶくぶく太り、ガールフレンドとのデートは何度もドタキャンにするハメに。 ニューヨークに一人上京してきた右も左もわからない彼女を迎えに行く筈が、 残業を押し付けられ、かわりの者に行かせる。 ギリシャ出張のついでに、デートしようと彼女を旅行させたら、 急遽上司の都合で出張先が変更に。 確かに投資銀行は、同世代の若者の十倍程の、破格の収入を得られる。 しかし若い時間は、全て無残に失われる。全て絞り尽くされる。 「金がそんなに大事か?」という問いは、普段ならすごく軽い。 「そりゃ大事だよ!アホか!」と答える。 しかしこんな一種の極限状態におかれた人物にとって、同じ問いは、もんのすごく重い。 結局二人はDLJを辞めて、新たな仕事に就く。 この本は、二人が、いかにしてDLJに入社して、 DLJでどんな仕事をして、どうして辞めたのかが書かれている。 二人とも心身ともにズタボロになって辞める訳だけど、 全編に渡って、軽妙で下品極まりないアメリカンなノリで書かれてるんで、楽しく読める。 実際にアソシエイトとして、彼らが手がけた仕事の例として、 「客にある企業買収を薦める文章」の草案を書くと、それをまず上司Aに見せる。 (なんかバイスプレジデントとか、マネージング・ディレクターとか、そんな感じの いかにもアメリカンな役職名があったんだけど、忘れた) 上司Aはずたずたに修正をいれて、返してくるので、それをワープロ室に持っていく。 ワープロ室でもまた一悶着あるんだけど、とりあえずワープロで打ってもらうと、 それを上司Aの上司である、上司Bに最終チェックしてもらう。 そいつもずたずたに修正をいれられる。 実際に修正が入れられた文章が載せられてる。 この修正が、最高にどうでもよくて笑える。息がとまるかと思うくらい笑った。 上司Aが、原稿の中の「million」というのを、「MM」と直す。 その後上司Bが、この「MM」を、「million」に直す。 ワープロ室→上司→ワープロ室→上司の無限ループ。 こうしてアソシエイトの夜は更けていく。 出張や会議の内情の酷さも笑える。 ○初任給一千万超えはあこがれるが 外資系金融は正直少し考えてて、上智経済からじゃ厳しいだろうなーとか思ってたんだけど、 まあでもこれ読んだら、外資系金融はやめようと思った。 絶対あんな上司いたら、僕だったら殴り殺してる。 金稼ぐってやっぱ大変なんだな。 大金を稼ぐとなると、何かを犠牲にしないといけないらしい。 (参考) 外資系への道標?ハイレベル就活生へ贈るブログ? こんなんもあるよ。 ○日本企業の初任給 人気企業30社 ゆとり教育第一世代の「初任給」物語 「一流企業」でも、初任給って大体20万前後が相場なんだね。 新入社員のコメント見ると、感動してるみたいなんだけど、 普通に春休みにバイトいれれば、そんぐらい稼げるからなー。 搾取されてるよなー。 まあ新入社員なんて、ほぼ研修だけで、業績への貢献なんてほとんどないんだろうから、 当然の金額なのかもしんないけど。 夏冬のボーナスがそれぞれ月収三ヶ月分として、20万×18で、年収360万円。 世知辛いねえ。 年収360万程度で、定期昇給、終身雇用の望みもほとんどない若者に、 消費しろと、車買え、家買え、バイク買え、遊びに行け、あれしろ、これしろと、 年収一千万超えの年寄りどもがけしかけてるのが、今の日本の現状なんだろうね。 そりゃあ経済成長も停まりまっせ。