四十三庵

蔀の雑記帳

妊娠中絶の実情

○手直し むかーしに書いた、「妊娠中絶の実情」という記事が、 なぜか僕のブログで英語スパムの標的になっていたので、 最近は非公開にしてたんだけど、好きな内容なんで、 ちょっと書き直して、改めて記事にすることにした。 最近Excelの使い方なんかも習って、それを使ってみると、格段に見やすくなった。 ○導入 Dir en greyという、楽曲はかなりメタル色の強い、ヴィジュアル系バンドが居ます。 日本のテレビでは見ませんが、海外では大いに人気があるようなことをききます。 YouTubeで最近のライブ動画を見たら、ボーカルが普通のさわやかな兄ちゃんになっていて、 「後ろー!」とか言っていて、笑い転げました。そんなキャラなのかお前!と。 1stアルバムの「GAUZE」に「mazohyst of decadence」という中絶をテーマにした、 かったるい曲があります。 途中でドラマ仕立てになったり、ボーカルがうめき声しか出さなくなったりする曲なんです。 はじめてきいたときはくらくらしたんですけど、今きくとただ単に退屈ですね。 その次の「予感」という曲がめちゃくちゃいい曲なのです。 ○統計 人口統計資料集(2008)より 年度 人工妊娠中絶数 (年)  (件)  1949 101,601 (中略) 1955 1,170,143(最多) (中略) 1960 1,063,256 (中略) 1970 732,033 (中略) 1980 598,084 (中略) 1990 456,797 (中略) 2000 341,146 (中略) 2006 276,352 NTZ1.jpg NTZ2.jpg ○年寄批判(余談なので読み飛ばしても本筋には影響なし) 最近僕が何かと調べていると、 戦後育ち、戦後うまれはろくなもんじゃないなあと思わずにはいられません。 僕も、同じ穴の狢なんでしょうが、でもなあ。 よくこんな奴らが、若者批判とかよく偉そうできるよなあと感心してしまいます。 彼らの幸いなことは、彼ら自身の記憶力が悪く、都合の悪いことはどんどん忘れられることと、 若者が不勉強な馬鹿ばかりなので、先祖のことを調べようと思わないことでしょう。 自分の親や祖父母がいかにろくでもない存在なのかを知って、 その上でどの程度彼らに孝行をつくせるか、というのも興味深い問題ですね。 よく、頭悪そうな日本語ラッパーが、 「俺をうんでくれた父ちゃん、母ちゃんにマジ感謝」 とかぬかして、僕なんかは内心複雑なものを感じるんですが、 でも言ってることは間違ってないですよね。これだけ堕胎してる奴がいるんだから。 産み、育てるってだけでも立派っちゃあ立派です。 僕はそこまで単純ではないので、自分の親に産んでくれてマジ感謝なんて、 死んでも言わないとは思いますが、そう言えることは、いいことなんじゃないかなあと思いますよ。 ○統計分析 件数だけ見ると、 ・50年代に中絶数が急増 ・その後61年まで100万件単位で推移 ・1955年をピークに、ゆるやかな減少傾向 ・1970年には70万件まで減少 ・1980年には60万件を割る ・1990年には50万件を割る ・2000年には30万件へ というのが、大まかな傾向です。 ただ、件数だけをみて、「50?60年代の親はけしからん!」というのは早計です。 なぜなら、出生率が今と昔では全然違うからです。 200人の子供ができて、10人堕胎するのと、 10人の子供ができて、10人堕胎するのでは、同じ件数でも全く意味が違いますから。 ○対出生比を見てみてみよう! というわけで、対出生比で見ていきたいと思います。 出生を100とした場合の比だそうなので、つまり、 100人の赤子に対して、何人堕胎されたか、という話になるのでしょう。 年度 人工妊娠中絶対出生比 (年) (%) 1949 3.8 (中略) 1955 67.6 (中略) 1957 71.6(最高) (中略) 1960 66.2 (中略) 1970 37.8 (中略) 1980 37.9 (中略) 1990 37.4 (中略) 2000 28.7 (中略) 2006 25.3 NTZ3.jpg NTZ4.jpg これより、以下のことがわかります。 ・やっぱり50?60年代の堕胎は多かった。 ・年々堕胎の件数は減少傾向にある。 ・少子化による影響も多少ある。 ○要因分析 堕胎というのは、日本では江戸時代からある風習です。 おそらくは大昔にも、子供を産んだけれど、 育てられないから殺すという風なことはあったと思われます。 「細雪」のどこだったかに、 戦前の習慣では妊娠中絶への抵抗が強かった、という注が出ていたと思います。 戦前は、富国強兵の国策から、人口を増やすことが奨励されたようです。 堕胎罪は、戦前のそういう習慣の、なごりとして、今でもあります。 すっかり形骸化していて、実際は母体保護法の方が強く機能しているそうで、 妊娠中絶に対して、堕胎罪が適応されることは、まずありません。 戦後、ベビーブームが起こって、出生率は急増します。 そのため、人口急増が問題視され、中絶もさほど白い目では見られなくなったようです。 石原慎太郎の「太陽の季節」(1955年発表)も、女を妊娠させた挙句、 堕胎させて、その手術が失敗して女が死ぬという結末ですしね。 ゆっきーな(三島)の小説も、やたら中絶してますし。(「豊饒の海」と「美徳のよろめき」) 最近になって堕胎が減っているのは、経済的余裕と、倫理的な問題なんでしょうね。 「恋空」(2006年書籍化)の主人公も、頭からっぽの女子高生なんですけど、 妊娠したら産みたい、おろしたくはない、という感覚で書かれていました。 ああいう層の人間って、さっさとおろしちゃいそうな固定観念がありますけど、 最近は結構男の方が高校辞めて働くわー、みたいな場合が多いのでしょうか。 ○堕胎について 1、快楽目的に性交に至り、避妊を怠ったために、妊娠→堕胎 2、妊娠したが、発育状況が思わしくなく、母子ともに危険→堕胎 3、強姦され、誰の子かわからない子を妊娠してしまった→堕胎 ある漫画家は、妻に堕胎させるのが趣味だなんていう噂が、 ネット上でまことしやかに流れていますが、本当なんでしょうか。 それはそうと、まともな人間であれば、誰だって、堕胎なんかしようとは思いません。 費用だって結構高くつきますしね。後味も悪い。いいことなんて何一つありません。 堕胎に至る過程を、大別すると、上記の三つくらいになるのではないでしょうか。 「堕胎はしない方がいい」というのは当たり前ですが、 2、3の例では、堕胎もやむなし、という感じがします。 ところが、1の例での堕胎というのが、現実的には多い訳です。 この割合治安がいいことで有名な日本において、戦後の一時期じゃあるまいし、 そうそう強姦事件は発生しませんし、 出産は確かに危険が伴う作業ではありますが、 妊娠中は安静にして、栄養をより、産婦人科の医師が適切に指導すれば、 かなり高い確率で、無事、成功することができます。 となるとやっぱり、1の例が増える訳です。 堕胎は合法的な殺人であるといわれます。 しかし、いくら堕胎に倫理的問題があるからといって、 2、3の状況に陥った妊婦に、それでも産め、というのはいくらなんでも残酷です。 (まぁ、中絶しろというのも十分に残酷ですが) 2、3の例のために、中絶を容認すると、実際に中絶を主に行うのは、1の例の妊婦になるのです。 ○補足 この手の話をすると、日本人の性倫理ってダメだとか、日本人の女はビッチとか、 日本人は無宗教だからダメだとか、海外から笑われているとか、 自分の猫の額のような狭い価値観で決め付ける馬鹿がいるので、一応。 (人工妊娠中絶の国際比較より引用) こうした前提をおいた上ではあるが、1950年代には100万件以上の中絶大国であった日本は、いまや、この点に関してことさら世界に対して恥ずかしいと考えることはないといってよかろう。 詳しくはリンクを見てみてください。ロシアはおそろしやという感じがします。 寒いと人とくっつきたくなるんでしょうか。 ○余談 青少年にコンドームを売らない自治体があったような話をききました。 「青少年にはコンドームを使うような行為をして欲しくない」そうです。 コンドームも使わずに、ばんばん中出しして、 どしどし堕胎していた連中の言うことって素敵です。