四十三庵

蔀の雑記帳

ポール・クルーグマン「世界大不況からの脱出」訳三上義一

○感想 原題"The Return of Depression Economics and the Crisis of 2008"。 クルーグマンばっか読みすぎた。 結構内容重複してるんで、こんなに読む必要はなかったんだけど。 (ベビーシッターの話とか、競争力という幻想についての話とか、耳たこ) まずポルトガル、メキシコの経済危機について触れ、 そこから日本の景気停滞、アジア通貨危機に進み、 ヘッジファンド、銀行の役割の話になって、 元FRBのボス、アラン・グリーンスパンの批判、 最後の二章でリーマン・ショックサブプライム問題による金融危機の話。 ケインズ的政策をとるしかない、という結論。 ○需要サイド これ読んで考えたのは、需要サイドの経済学。 ベビーシッターの話をちょっと書いとく。 子持ち夫婦何百組がいました。 この夫婦たちに、こんなクーポンが与えられました。 自分がベビーシッターをやると、クーポンが一枚手に入る、 そしてこのクーポンを使うと、他の人にベビーシッターをしてもらえる。 その間、夫婦は子育てから離れて、外出できる訳だ。 これで、金融政策とかが説明できる。 いつの間にか夫婦たちは、ベビーシッターやって、クーポンを貯めるばっかりで、 全然このシステムが機能しなくなってしまった。 そういう場合の有効な対処法は、クーポンの増刷。 クーポンが増えると、皆安心して、クーポンを使うようになる。 今日本の置かれてる、あるいは置かれていた「流動性の罠」状態は、 貨幣需要が無限大になって、金融政策が効かなくなる状態。 ベビーシッターの例で言えば、厳冬の時期が訪れて、人々は外出しなくなったので、 クーポンの消費が行われなくなったような状態。 需要そのものがないんだから、財政政策、金融政策もお手上げ。 日本にとっての「冬」っていうのは、何なのかって言うと、 この日本全体を覆っている、将来への悲観的な見方。 「経済学なのに心理学?」と言われてしまいそうだけど、それ以外に原因ねーもん。 解決法なんてあんのかね。 僕の貧弱な頭脳では、政府がマスコミを動かして、 「将来なんて何の心配も要らないよ!」という雰囲気を作り出すというのが思い浮かぶけど。 現実的じゃない。 ○日本経済のお話 僕が生まれたのは1990年なんですけど、 なんでこんな急に停滞したんだろうか。 日本の経済成長率の推移 高度経済成長の頃、56-73年の平均成長率は9.1%。 74-90年の平均成長率は4.2%。 これが急に、バブル崩壊以降は高くてもせいぜい2%ちょいくらいになってしまう。 91-2009年度の平均は0.8%。泣ける。 経済成長はホントに必要なのかっていう議論はおおいにされて然るべきなんだけど、 成長できるんならした方がいい。 なんだかんだ言っても、極東の島国が世界二位の経済規模を持ってるのはすごいことだ。 中国に抜かれるとは言え、中国がすげーんであって、日本が格別ダメになったという訳でもない。 (停滞してるんであって、別に経済規模が縮小してる訳じゃない) でも極東アジアに世界二位、三位の経済大国があるっていう状況はイイですよね。 ○労働生産性低っ 日本の労働生産性 この労働生産性の低さはちょっと。 ○結局 輸出と輸入がGDPに占める比率 貿易立国のイメージから、日本の輸出はすごく多そうな感じがするけど、 実際は上のブログにあるとおり、たかだかGDPの13%分でしかない。後は全部国内販売。 「どこが貿易立国やねん!」と思うかもしれないですけど、 平成21年の貿易総額は、 輸出総額(確定値) 54兆1706億円 輸入総額(確定値) 51兆4994億円 だそうで、貿易立国と言って差し支えない規模じゃないでしょうか。 (ただGDP比にすると、大したことないという話で。 日本のGDPは実質にせよ名目にせよ500兆円くらいあるんで^^;) そういう訳で、不況脱出には、中国、BRICSでのシェア拡大もいいけども、 結局は国内需要の盛り上がりが必要なんだと思う。 賃金増やすのが一番だと思うんだけど、不況だと賃金って削られてくしねー。 民主党みたいに、最低賃金千円なんてやると、かえってマクロで見た賃金は減ってくだろうし。 わからん。 どうすればいいんだ。