四十三庵

蔀の雑記帳

日本経済新聞社編「検証バブル犯意なき過ち」

バブル経済の生成、膨張、崩壊、反省を、
日本銀行、民間銀行、証券、大蔵省(当時)、政治面から分析した本。


前に読んだ「真説 バブル―宴はまだ、終わっていない」が、
割とバブル時代の「ものすごい話」を取り扱っていて、個人の思惑・動きに焦点をあてた、
言わばミクロ的なバブル分析だったとすれば、こちらの本はマクロ的。
たとえば日銀が国内で株・土地が高騰している中でも、
為替レートを円安誘導にするために、利下げをしたという金融政策の失敗。
また、その後利上げのタイミングが来ても、アメリカで「ブラック・マンデー」という、株価の急落があり、
ここでも利上げのタイミングを逃してしまう。


また、バブル崩壊の場面では、高騰しすぎた地価に世間の批判が集まり、
バブルを潰すことは一種の見せしめになっていた。
そんな「空気」の中で、政府の景気冷却政策は明らかに行き過ぎのものとなった。
消費税増税、土地への課税、所得税優遇制度の廃止。


全編を通じて語られるのは、日本の「空気」というものが、いかに恐ろしいものであるか。
また、政官の中では、「国益」を優先できず、全体を見通す視野に欠け、
各立場ごとの利益を優先する姿勢。責任の所在が曖昧で、なあなあのプロセスで決定が行われる組織。
そして外側から見ると、非常に不透明であること。
企業の会計制度さえも、損害を隠すために変更されるような始末。


そんな「日本的な決定プロセス」が槍玉にあげられている。
まあ高度経済成長期みたいな、何でも上手く行く時は日本的な決定プロセスって案外合理的なんだと思う。
余計な問題が起こらないからね。
ただいったん、バブル崩壊みたいな、既存の枠組みでは対処できないような大問題が起きた時に、
日本的な決定プロセスは非常に脆弱である。
今もあんま決定プロセスは変わってないよね。