四十三庵

蔀の雑記帳

三島由紀夫「青の時代」

やっぱゆっきーなはええわ。一日で読んじゃった。ちょっと真面目に書こうかな。


○あらすじ
主人公の川崎誠は、千葉県のK市(柏市?と思ったが、どうも木更津らしい)の名家にうまれる。
一高→東大法学部という、典型的なエリートコースに進んだ誠だったが、
その裏には厳格な父親への憎しみがあった。
誠の青春は、日本が戦争へ向かって、生活や教育の中にまで軍事性が入ってきた時代であった。


一高で、彼は愛宕(おたぎ)という友人と出会う。
彼はまごうかたなき都会人で、千葉出身の誠は少々コンプレックスを感じた。
やがて誠は父親から十五万円を相続し、そのうち十万円を、詐欺で失う。
これを機に、彼は愛宕と一緒に、「太陽カンパニイ」を設立。
出資を募り、毎月いくらかの利子を払う、という業務は、
広告の甲斐もあり上手く軌道に乗り、「太陽カンパニイ」は巨利を得た。


輝子(ホントは櫂の木へんが光になった字)という女性と、誠は親しくなる。
誠にとって、恋愛というのは一種の捏造であって、彼は輝子に対して、こう思っていた。


「僕は彼女を愛しているという素振りを全力で示そう。
そして彼女が僕を愛し始めた時、その時僕は彼女を捨てる」


彼女は、誠の資産が五十万円になったら、結婚してもいい、と言った。
「私は金しか信じない。男とか愛とかは、信じないわ」
とも。
誠の成功後、彼女はたびたび彼から何千円という金を無心した。
はじめ、彼女は誠の前で、この金を牛の飼葉につっこんだ。
結局彼は彼女を自分のアパートに呼び、強姦する。
彼女はまるで、処女であるかのように振舞った。
しかし実際は、彼女には男がいた。
税務署の下っ端で、誠からせびった金を貢いでいた。
誠が探偵を雇って調べた所では、妊娠三ヶ月であった。
「太陽カンパニイ」の経理を調べて、その情報を税務署に流すことで、その男を出世させようとしていたのだ。
誠は強姦の後、その調査書を彼女に渡した。
彼の当初の思いは、ある意味では成功したのだった。


再従兄(またいとこ)の易(やすし)は、戦時中は軍隊にあこがれていた。
頭はよくなかったが、正義感が強く、体格も良かった。
しかし彼は兵学校を落第する。結局戦争になると、彼は一兵卒で、誠は主計少尉であった。
戦後、易は共産党員となった。
誠は彼の人間性は嫌いではなかったが、彼の低脳を哀れんでいて、言うなれば暖かい軽蔑を持っていた。
しかしこの小説の終わりは、その易が、貧乏臭い少女と、店で楽しげに話しているシーンで終わる。


○解釈
全体的に構成は粗いのかな。
本人もあんまり完成度が高くないって言ってたそうだけど、
確かに輝子の扱いとかも、テーマの追い方とかもブレてる気がする。


ただゆっきーなが積極的に経済について書いているのがなかなか面白い。

インフレーションとは、貨幣が空想過剰に陥って、夢みがちになる現象である」


全編に渡って鋭い警句性がちりばめられた文章は非常に心地よいが、
それが故にかえって主題はぼやけてしまっている。
三島由紀夫の小説は、駄作になればなるほど、警句が増える気がする。