四十三庵

蔀の雑記帳

私立中学に関する統計が欲しい

僕は公立小中→私立高校大学という進路をたどっている訳なんだけど、最近中学受験に関心を抱いている。


中学受験こそ日本のエリート教育の本流、東大なんてクソ(「金融日記」)
天才小学生たちはどこに消えた?
(個人的に下の記事のオチが好き)


僕は高三になるまでまともに勉強した記憶がないので(公文くらいはやってたけど)、
そういうの見ると素直に偉いなあと思うんだけど、
ただ勉強内容を見ると、訳のわかんない問題が多い。
たとえば、算数。
なにせ「小学生」という制約があるので、方程式とか関数とかが使えない。
そのため、訳のわっかんねー問題がいっぱい出てくる。
社会・理科もそう。
二十歳の僕が知らないような知識っていうのを、彼らは一生懸命覚えるんだけど、この知識意味あんの?
国語は、まあまあこんなもんかなって感じ。
それは率直な疑問なんだけど、入試の問題なんていうのは、大概不毛なものなので、あまりつっこんでもしょうがない。
早期教育が人格をゆがめるとか、落ちて公立中学行った奴がどうとか、
そういう社会学者が好きそうな問題はどうでもいい。
自分の中の問題意識をまとめておく。


○所得格差が教育に反映されていないか?
僕の考えでは、所得格差が教育の格差に反映されている。
これは、日本ではあまり自明ではない。
アメリカ・イギリス・中国・韓国などの国々では、所得格差→教育格差→更なる所得格差→更なる教育格差というプロセスが
統計を持ち出すまでもなく自明なんだけど、日本だとあんま自明じゃない。
これはもちろん大学の学費が安いから。
軽くぐぐってみたら、どうやら日本が「学歴社会」で「格差社会」だと考えてる人はそこそこいるみたいなんだけど、
これは日本人の正確な海外知識のなさが如実にあらわれている。
先進国の中で日本ほど「学歴」が問題にならない社会もない。
というか「学歴差別」という言葉によって、学歴で人を差別してはならないという不文律がまかりとおっている、優しい国は珍しい。
ただ表面的にいくら「人は学歴じゃ測れないよ」という態度をとったって、
就職活動に至れば、履歴書に学歴を書く訳で、大抵の企業は学歴を基準に書類選考を行う。
今まで学歴に関しては温室で育ってきた日本人は衝撃を受けて、
「ああ日本はなんて学歴社会なんだ!もしここがアメリカだったら、僕の実力を見てくれただろうに!」
などという滑稽な叫びを発する。
(アメリカの一流企業は完全に高学歴しかとらないのですが……)
そんな日本社会も、僕の考えでは、所得格差が教育格差になっているはずで、
恐らく統計をきちんととれば、(英米中韓に比べて)緩い正の相関が見られると思うんだけども、その統計がなかなか見つからない。
中学受験に成功する層の親の所得、卒業後の本人の所得なんかがわかると、すごく面白いデータになると思うんだけどなー。


この手の問題に関して、2chとかで議論しようとなると、
「○○という人は極貧の家庭から、東大行って年収何千万だよ」とか
「××は、金持ちだけどクソ大学に行ってNEETだ」とか
的外れなエピソードを語ってくださるありがたい人がいるけど、そういう話じゃない。
それは個人の問題であって、当然そういう人もいるでしょう。すごいです。
けど社会の問題になると、「貧乏人は甘え。全員○○さんを目指せ」という訳にもいかない。


○教育システムとして中高一貫は優れているのか?
これは大きな疑問。
高校の内容を視野にいれながら、六年間学習できるのは一見好ましいようだけど、
中学生の論理的思考能力を考えると、必ずしも高度なことが勉強できるからよい、とも言えまい。
巷で指摘されるのは、学習効果よりも、人格的な発達に悪影響を与えるのではないか、という話。
この辺りは統計データの重要性もさることながら、実際の教師・生徒の意見、実態なども調べなければならないので、
なかなか難しい問題である。


○受験制度として中学受験は望ましいのか?
小6なんて、ほとんど論理的思考力はゼロに近い(というとガキどもに失礼だけど)訳であって、
そういう連中を選別するとなると、記憶力勝負になる。
もちろん稀に小6にして卓越した論理的思考力が発達していて、
アメリカや中国だったら飛び級で進学してるだろうなという子供もおるだろうが、
大半はまだぽよんぽよんのお坊ちゃんどもだ。
(論理的思考力って点では中学生もあんまり変わんないけどね)
中学受験と高校受験、どっちが好ましいのだろうか。


○社会的に見て中高一貫は望ましいか?
これも非常に主観的な問題になるけど。
中高一貫校というのは、かなりエリート培養機関としての役割を持ってる訳だけど、それが社会的に見てどうなのか。
ちゃんといい人材を供給できてますか。


○統計が全然使えない……
厚生労働省のページだと、学歴別の年収とかが見れるんですが、
それはあくまで大卒高卒中卒というくくりで、大雑把なものでしかない。
大学内、高校内、中学内の格差というものが見たい場合、使い物にならない。
文部科学省に行って見ると、更に統計はクソになる。
親の年収と子供の学歴のデータなんてまるでない。
どうすればええんや。


○一応
東大の学内広報が、親の年収を公開していた。
さすが東大様やで。


第2部 学生生活の背景
注目すべきは一番下の図10。
2008年度は、年収450万未満の層が約18%いる。
これは日本の格差社会が、米英中韓に比べていかに緩いかを示している。
「努力すれば東大に入れる」というのは、必ずしも嘘ではない。
でも多分もっと細かく統計とると、留学生が含まれていたり、
理Ⅲは高所得者ばかりなどという結果が出るのではないかなー。
それに750万円未満の低所得者層は全体の約30%に過ぎない。
950万円未満までだと、50%届かないくらい。
年収1050万円以上の連中は約35%程。
ちなみに僕の家庭の年収は約700〜800万円(母のパート収入含む)。
仮に
低所得者 750万円未満
中流家庭 750万円〜1050万
高所得者 1050万円以上
と定義すると、2008年度の東大入学者は、
低所得者 30%
中流家庭 35%
高所得者 35%
という感じ。
まあ割と平等な結果だったから自信満々に公表したんだろうけども。
実際問題、日本の優れた教育環境(発展途上国と比較しての話ということに留意)を考えれば、
学力の決定因子は、親の年収というよりも、家庭環境にあると僕は考えている。
親の学歴、親の年収が高いと、自然とそういう家庭環境になるので、
統計的には親の学歴・年収に相関が出るけれど、厳密にそれらが子供に作用する訳ではない。
(当たり前っちゃ当たり前だけど)
親が大学教授で、そいつにオムツ替えてもらった結果、子供の脳が勝手に微分のやり方を会得したり、
親の二千万円の年収が、子供に何らかの形で作用して、英語ペラペラになった訳ではない。
「見せかけの相関」という奴だ。
だから別に貧乏人のガキどもも、家庭環境によってはマーベラスな成績をとれたり、
高所得のお坊ちゃんでも、親が離婚寸前でひでー家庭環境だったり、
兄弟と比較されてがみがみ叱られまくって無能感植えつけられたりすると、落ちぶれていったり。


しかしね、東大のこんな%だけで、サンプル数もわからないようなグラフだけじゃあ、社会全体はわからない訳ですよ。
どうしたもんかな。うーん。


○おまけ
「早生まれ」が学力に関して不利になることは、統計的に証明されている。
「小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響」