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四十三庵

蔀の雑記帳

「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」

ライフ

○概略
"Enron: The Smartest Guys in the Room"。
エンロンというアメリカの会社は、もともと天然ガス・電力などを扱ってるそんなに大きくない会社だったが、
ケネス・リー・"ケン"・レイ(Kenneth Lee "Ken" Lay)会長のもと、
積極的な経営戦略のもとで、ぐんぐん成長していき、90年代のアメリカ経済復活の旗印となったような企業だ。
デリバティブを積極的にとりいれたり、規制緩和を声高に叫んだり、
従業員の年金をエンロンの株券で支払ったり、まあ革新的なイメージをつくることには成功していて、株価はうなぎのぼりであった。


しかし実際は、事業の収益は全く上がっておらず、エンロンの株価は実態とかけ離れたものであった。
エンロンの唯一収益が上がってた事業が、カリフォルニアの発電事業
送電を意図的にやめ、停電状態にし、電力の値段を吊り上げた。
知っての通り、電力の需要は非弾力的で、限りなく価格弾力性は0(つまり0円だろうと馬鹿高い値段だろうと買う)であるから、
供給側がちょっと値段を吊り上げてやると、莫大な収益になる。
そしてもっと深刻な問題は、時価主義会計の導入と、負債の子会社への移転だ。
この会計上のトリックを行うと、
仮に100万ドルの赤字が出ていても、会計上は何ら問題がなくなり、黒字経営に見せることすら出来る。
もちろんこんなことをさせないために公認会計士が存在して、監査という仕事をしているのだが、
実際エンロンの監査担当は、巨額の資金エンロンから支払われていて、骨抜き状態であった。
アーサー・アンダーセン(Arthur Andersen)という、アメリカ有数の監査法人は、このエンロン粉飾決算発覚で
信用を失墜させ、倒産に追い込まれた。
モルガン、メリルリンチシティバンクドイツ銀行など有名投資銀行もこの粉飾に消極的な形で関わっていた。
結局2001年10月17日、ウォールストリート・ジャーナルに不正会計疑惑の記事が出た後、
エンロンの簿外債務、粉飾決済が明るみに出る前に、倒産する訳なんだけど、
その前に会長、CEOは自らの保有していた株を売り抜けている。
90年代以降、ITバブル・投資バブルで湧いていたアメリカに、「金儲けとは何か」
「アメリカンドリームとは何だったのか」を問う大事件となった。
(ちなみに2001年は9.11同時多発テロの起こった年でもある)


同社のCMキャッチコピーであった、”Ask why”が今となってはこの上ない皮肉である。


○金儲けについて
経済学をやりはじめてから、ある程度金儲けに関して肯定的にとらえる視点というのを身につけた訳だけども、
エンロンの話なんかきくと、やはり「金に色はない」とは言え、やり方は選ばなければいけない。
綺麗に、巨万の富を得る方法。
そんな都合のいい方法があるのか。
そう考えると、「才能で大金を稼ぐ」(プロ野球選手、小説・漫画家、学者などなど)は、
なかなかすっきりしているのかもしれない。