四十三庵

蔀の雑記帳

秋元英一「世界大恐慌――1929年に何がおこったか」

著者・秋元英一氏は長年にわたり大恐慌期の米国経済史を研究してきた経済学者。だがこの本にはアカデミズムにありがちな難解な専門用語や数式は一切出て来ない。その代わりに著者は当時の新聞記事やエピソードなど豊富な史料を駆使して,庶民の目に映った大恐慌期の米国を生き生きと再現する。この描写力が今日の日本と当時の米国のあいだにある国情の違いや時代のへだたりを超えて,読者を「この史実から何を学ぶべきか」「われわれの議論に欠落しているものは何か」という考察に向かわせる。

学生時代に受けた経済学の講義に退屈した読者の中には,経済学とはこんなに刺激的で面白い学問だったのかと驚く人もあろう。本書の中身を推察するのに役立つと思われる目次の大項目を以下に紹介しておく。

プロローグ/大恐慌はくりかえされるか,第1章/暗黒の木曜日,第2章/市民たちの大恐慌,第3章/市場崩壊のメカニズム,第4章/ニューディールの景気刺激策,第5章/ケインズ理論への道,エピローグ/1929年のアメリカと平成不況下の日本。

amazonより引用)


大恐慌について書いた本。
アメリカ八割、欧州一割、日本一割というバランス。
適切なデータはちゃんと載せていて、それでいて経済理論に偏ることもなく
政治から、市民目線まで幅広い視野で記述されている。
第二章では、あまり他の本では詳述されない「不況下での労働者のみじめな生活」が克明に描かれている。

絶望が高じると、夜が耐えがたくなる。アリゾナの男がこういった。
「先月は私は十二・五ポンドも体重を減らしちゃった。ただ考えているだけで。
眠れないんだよ、なあ。朝二時ごろ目が覚めちゃう。それで横になったままでただ考えるんだ」
(Robert S.McElvaine,The Great Depression:America)

飢えの問題も深刻になってきた。市立図書館では空腹のために気絶する市民が目撃された。

(本文より抜粋)


「経済」と「人間」の関係は興味深い。
たとえば今日僕が朝七時十五分頃に起床して、
二十分頃に飯を食ってると、(三十五分には家を出なければいけない)NHKが
若者の内向き志向の特集をしていて、ハーバード大の留学生数減少→若者の内向き志向と、
短絡的に決め付けた後、インターンかなんか行くと五年間フリーパスの入社証がもらえて、
もらった学生は五年間の猶予期間でMBAとったり、ボランティアに勤しんだり、
とにかく海外で視野を広げて、企業に入社し、企業の利益に貢献するらしい。
(何の業種のベンチャーだったか忘れてしまった)
まとめが、「若者が外向き志向になれば、日本の経済も上向くかもしれませんね」で、失笑してしまった。
あの番組をつくるにも相当数の人間が関わってる訳だけども、誰も反対しなかったのか。
今にせよ昔にせよ、学生運動の昔から、
大学生がアホばっかで、クソどもの集まりなのは大して変わんないし、
まるで同じ人間でも、バブル期に大学生やってんのと、2010年に大学生やってんじゃ、
外向いたり、内向いたりすることになる。
いくら自由意思だ人間の尊厳だと叫んだって、衣食足らざれば礼節を知らざるなりという具合に、
人間は経済にころころ動かされる場合がある。


大恐慌前のアメリカ経済の繁栄だとか、女性進出だとか、
減反政策(実はアメリカ発の農業政策だったのには驚いた)だとか、
ニューディールに至るまでの政治の流れだとかが、簡潔に書かれている。
ニューディールといえば公共事業のイメージだけど、実際はその前に価格を上昇させるために、
様々な組織がつくられたり、とにかく公共事業に至るまでには様々な試行錯誤があったのだ。


素晴らしい内容で、是非アウトプットしたいんだけど、
この内容を全部アウトプットするとなると、相当な時間がかかる。
それだけの社会的価値はあると思うけど、ちょっとかったるい。
この本は地元の図書館で借りたんだけど、買ってもいいかもしれない。
昔は本棚に馬鹿みたいに本をストックする奴って大嫌いだったし、理解できなかったんだけど、
必要となった時にまた読み返せるために本棚をつくるとすごく有用だろうなと最近思う。