四十三庵

蔀の雑記帳

ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」訳伊藤真

○原題
Robert Guest The Shackled Continent: Africa's Past, Present and Future


○目次
第1章 吸血国家―エリートによる、エリートのための独裁主義
第2章 ダイヤを掘る、墓穴を掘る
第3章 「眠れる資産」が繁栄へ道を拓く
第4章 セックスは死と隣り合わせ
第5章 宿怨の三つの温床―部族主義、派閥主義、人種主義
第6章 どうする?援助と自由貿易
第7章 でこぼこ道と盗人警官
第8章 ハイテク技術は「貧困」を救えるか?
第9章 南アフリカは「希望の星」になれるか?
結論 一歩ずつ確実に―「豊かな」未来へ向けて


○内容
Economistの編集員で、スタンフォード大学出身で、
日本でサラリーマンやってたこともある著者。
ジャーナリストとして妻ともどもアフリカにわたり、現地で生活してきただけに、
内容は単なる上辺だけの情報ではなく、実体験にもとづいている。
「どうして先進国から寄付もらいまくってるアフリカはいつまでたっても貧困国なの?」
という素朴な疑問が解消される本。
結論を言うと、先進国の寄付は全部ムダになってるから。


我々はアフリカ人というと、いっしょくたにしがちだが、黒人にも富裕層はいる。
誰もが貧困に苦しんでいる訳ではない。
黒人富裕層というのは、大体権力者と、その一族だ。
アフリカの気候は厳しいが、その分地下資源には恵まれている。
その資源で成長できればいいが、採掘する技術はないので、外資を入れなければいけない。
おまけにその資源の利権をめぐって争いが起こる。
少数派の利得が、社会的厚生よりも重視されてしまう。
政府は腐敗していて、警察もまともに機能していない。


つまりまとめると、アフリカの貧困の原因は、
1、国家の腐敗
 →財産権が保護されない→国民の経済活動が阻害される
 →警察→賄賂を求めたり、リンチしたり、国家に逆らう者を拉致・拷問→安全が確保されない
 →エイズ・疫病の蔓延
 →援助を受けても政府は黒人富裕層だけに分配するので、国全体が潤うことはない
 →インフラストラクチャーの未整備→これも経済活動の阻害に
2、アフリカの伝統
 →部族主義→政治は部族の利益で行うため、国益が損なわれる
 →民族紛争(ただし1の問題から、権力者が自分の悪政から目をそらさせるために煽ることも)
 →ただこれが難しいのは、伝統にはいい部分もあって、
  たとえば孤児なんかがいても親戚のジジババが(金はないが)面倒みてやったりする、
  素晴らしい大家族文化もあるので、一概に伝統を憎めばいいという話でもない
3、現実を直視しない
 →アフリカが貧しいのは「先進国の搾取のせい」「植民地支配のせい」「白人のせい」と人のせいにする
  (実際はこの手の責任転嫁を、権力者が自分の悪政をごまかすために行われる)
 →「HIVエイズの原因ではない」
4、教育が成り立っていない
 →識字率は多少あがっているらしいが、専門技能を持った人間は少ない
 →RAPE IS COOL!
ただ順調に発展してる国家も(少ないけど)存在する。
ザンビア南アフリカなどがそう。


僕が常々考えていたことなんだけども、
アフリカはクソヨーロピアンどもの植民地支配のせいで、健全な歴史の発展が阻害されているのではないかと思う。
飢餓に苦しんだり、紛争で殺しあったりする経験も、民族の発展には必要で、
そういう苦しみから、どうすれば抜け出せるかという思いが、結果的に経済成長の原動力になるはずだ。
まあだから、アフリカはほっとけばいいと思う。
日本なんか特に。
結局アフリカを富ますことが出来るのは、アフリカ人だけなんだから。