四十三庵

蔀の雑記帳

養老孟司「唯脳論」

脳について書いてある本。
養老孟司は医学部(解剖学者)なので、うさんくさい、脳科学ブーム便乗本とはちょっと違い、
脳の構造であるとか、人間以外の生物との比較であるとか、そういった記述が中心となるので、
茂木健一郎みたいなイメージで読むと面食らう。

現代社会は脳の産物であること。
そしてその脳とは何か。
脳が知っているのは脳のことだけである。
我々は「そこにモノがある」と思っているが、実際は脳にトレースされた位置情報を感じ取っているだけである。
そして脳と身体は、支配者-被支配者の関係であるように思われているが、
実際は身体の死によって、脳は死ぬ。その意味では脳は身体に支配されている。
脳がいくら世界を支配していっても、最後に向き合うのは自分の身体である。
というのが大まかな趣旨。


細かいトピックスとしては、
・「心」の問題
・「もの」としての脳
・計算能力
・位置の把握(→脳は脳のことしか知らない)
・意識の問題
・言語の問題
・時間の問題
・目的論、進化論
が主なもの。


文章としては短く簡潔に書かれてるんだけど、なかなか読みがいがある。