四十三庵

蔀の雑記帳

「「坊っちゃん」の時代」関川夏央・谷口ジロー

面白かったです。
第一部が夏目漱石が主人公。
ビール飲んで暴れる漱石先生が素敵。
西洋嫌いなのに、ロンドン留学して、精神ズタボロになる漱石さん素敵。
平塚らいてふがレストランでベロチューするシーンがあるんだけど、明治人あんなことせんやろw
第二部が森鴎外
舞姫」の話。
鴎外先生のストイックなインテリっぷりがカッコいいけど、戦前の家長制の中で、
エリスとの結婚を諦める所が何とも言えない。
第三部は石川啄木
これが一番笑った。
給料前借しなきゃいけないくらい切羽詰まってるのに、
金が出来た瞬間に映画館行って、料亭行って、女買って、ほとんど金使い果たして、
「ああ貧乏は辛い」とか抜かしてるからホントに笑える。
でも多分これかなり石川啄木の実像に近いと思うな。
第四部はなぜか大逆事件
これもでも面白い。
管野須賀子(スガ)のヤリマンっぷりがすごい。
第五部は再び漱石で「修善寺の大患」を描く。


とにかくこれでもかってぐらい歴史上の有名人がからんでくるんで、ちゃんと知ってると楽しい。
明治の文豪はほとんど出るし、ジロー君が絵上手いので、かなり顔も似てるw
安重根東条英機まで出て来る。
(強引にねじこみすぎだろっていう人も多いが)


明治時代の東京の街並は、貧しくも綺麗だ。
明治で問題とされていた、貧困は東京から一掃されてたけれども、
日本人はまた別種の問題を抱えているような気がするね。
明治の社会主義者達の問題意識は、自分たちでは資本家階級が富を独占していると考えていたようだけど、
現代の経済学部生の立場から言わせてもらえば、明らかに「富の量」の問題であって、
問題は所得分配ではなくて、経済成長の問題だった。
現代の日本では、明らかに経済成長は十分すぎる程達成していて、
ベーシックインカムじゃないけれど、やろうと思えば、国民全員が「人間らしい生活」を送ることが出来る。
今までこんなに豊かになったことは人類史上なかったので、どうするのが最善なのか、その歴史がない。


人間も刻一刻と変わっていく。
社会も、生活も、文化も、習慣も。
明治知識人が悩んだことなんていうのは、もはや現代の我々の悩みとはかけ離れている。
かけ離れているからこそ、こんな風に娯楽として読めるのだろう。