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四十三庵

蔀の雑記帳

ノート;ミクロ経済学2(家計の効用最大化問題1)

●「効用」とは
経済学で、「人が何故消費活動を行うか」というのは、「効用を高めるため」と説明される。
平たく言えば、「効用」は缶ジュースを飲んだ時に、感じる「満足度」のことである。
どうして我々がわざわざ身銭切って何か商品を買うのかといったら、
それはその商品から何らかの便益を得るからに他ならない。
その便益が何なのかはケースバイケースで、
たとえばヴィトンのバックだったら、別にバック持ってたら腹が膨れる訳ではないけれど、
7〜8万する高いバック持ってるだけでなんとなく自分の地位が高まったような錯覚は抱ける。
嵐やAKBのCDを買えば、聴いて楽しむ。
家を買う。飯を買う。車を買う。
そういった多用な家計の消費活動の誘因(incentive)に、経済学では効用(utility)を想定する。
「現実問題どうやって測るんだ」というのは難しい問題だが、とにかくそういったものを想定する。
人によって同じ商品でもどのくらい効用を得るかというのは異なる。
選好(preference)の違いである。
握手券欲しさにAKBのCD何十枚も買うタコがいる一方で、
僕のようにテレビに出てるブスどもを見るだけで不効用を感じる人間もいる。
これもpreferenceの違いで説明できる。
つまり前者のタコがAKBのCDから得る効用を100とすると、僕の効用は-50くらいになる。


●基数的効用と序数的効用
ここで一つ問題が起きる。
「100とかー50とか言うけど、何か基準はあるのか」という問題だ。
実は科学的な基準はない。
アンケート調査か何かして、
「あなたはAKBのCDからどのぐらい効用を得ていますか?」
とたずねてみたとして、そのAさんとBさんの答えを単純に比較するのは危険だ。
Aさんは過大評価する傾向があって、「10000くらいの効用を得てます!」と言うかもしれない。
Bさんはかなり過小評価気味で、「10くらいかな」と言うかもしれない。
しかしそれは二人の性格の違いであって、実際は二人とも同程度AKBが好きで、
単に評価基準が違うから、効用の数値が異なっているだけかもしれない。


この効用の数値そのものを比較するのが、基数的効用である。
基数的に考えれば、AさんはBさんの1000倍AKBが好きである。
しかしこれはいかにも雑な議論で、科学的ではない。
そこで「人の効用はそのまま単純比較することができない」とするのが、
序数的効用の考え方で、これによればそもそも効用の値にはあまり意味が無いことになる。


●効用関数
効用を関数で表してみよう。

転載元
効用をuとおく。
そして効用関数をu(x)と設定しよう。


u=u(x)


xというある財の消費量に応じて、効用が増える。
もちろん効用関数の形状は人によって違っていて、それが前述の選好を反映してる。
○限界効用逓減の法則
ところがX1の消費量が増えていくと、効用の増加量は段々減っていく。
これは単純に缶ジュースがぶがぶ飲んで、一杯目と十杯目の効用を比較してもらえばわかる。
これを限界効用逓減の法則という。
「限界」という言葉にひっかかるだろうけれど、これはMarginalの訳語で、あまり適切な訳とは思えない。
ただ頻出する言葉なので、早めに慣れてほしい。
「逓減」は段々減っていく程度の意味。
限界効用とはつまり、効用関数の傾きが減少していくということである。
これは効用関数の微分u'(x)が負になる、ということでもある。


●無差別曲線
さっきは一財の効用関数だったが、普通経済学で使われるのは二財分析である。


u=u(x1,x2)


x1とx2という二財と、効用がどう関係しているのかを考える。
りんごとみかんというのがよく使われる例だけれど、別に何でもいい。
ビールと焼き鳥を考えても、大沢佑香(晶エリー)と吉沢明歩を考えても、
嵐とSMAPでも、GLAYラルクでも、windowsMACでも、なんでもいい。
もう少し真面目な経済学っぽい例なら、
公共経済学ではx1を消費財、x2公共財として考えたり、
労働経済学では余暇と消費として考えたりします。
二財だとちょっとグラフは厄介なことになる。
高校で三次元の関数というのはやったのを思い出して欲しいが、
xyz平面の三次元のグラフというのは、非常に書くのに苦労したと思う。
u=u(x1,x2)という効用関数を真面目に書こうとすると、三次元のグラフになる。


転載元
地図の等高線に似たようなグラフになる。
「高さ」が効用となっている。
しかし三次元じゃちょっと我々の貧弱な知能では考えづらいので、平面で考えたい。
そこで、無差別曲線(Indifference curve)というやつを使う。

(転載元)
これは何かというと、たとえば効用が100となるような、(X1,X2)の点をとったもの。
だから書こうと思えば、効用が0から、∞までいくらでも書くことが出来る。
無差別曲線の重要な性質として、
1、原点に対して凸
2、無差別曲線同士は交差しない
という2つがある。
1は何故かというと、りんごとみかんを考えて、バランスよく消費した方が、効用水準は高くなるからだ。
みかん100個、りんご0個から得る効用が100。
りんご100個、みかん0個から得る効用も100。、
みかん40個、りんご40個の効用が多分100くらいになるんじゃないか、という感じ。
ただ選好が極端に偏っていたら、この限りではないですが。
2は絶対に成り立つ性質。
地図の等高線が交わってるのって見たことありますかね?
ないですよね。
だから無差別曲線も交わらないんです。


●資源制約・予算制約
もし単に効用関数だけを考えて、効用最大化を行えばどうだろう。
最適なx1、x2の消費量はどうなるだろうか。
というと、当然たくさん消費する方がいいに決まってる。
三次元の方の効用関数を見てもらえば、右上にどこまでも高くなっていっているのがわかるとおもう。
よってx1=∞、x2=∞が効用を最大とする消費量ということだ。


しかし現実問題、そんなことは出来ない。
何故だろうか。
二つの制約があるからだ。
一つは資源制約。
りんごとみかんを無限に消費しようとしても、必ずそれはどこかで限界にぶちあたる。
りんごとみかんが尽きるというのもそうだけど、そもそもそれを生産する土地が足らない。
ミクロ経済学では資源制約はさほど考えないけど、マクロ経済学では重要になる。
ミクロで重要になるのは、予算制約の方である。
資源問題も大事だけど、我々庶民が現実的に「なぜ無限にみかんとりんごが食えないか」って言ったら、
そらあ金がないから、ということになる。
x1の価格がp1,x2の価格がp2、家計の所得がIとすると、予算制約式は次の通り。


p1X1+p2x2≦I


もしこれが仮にx1とx2の二財だけに、所得を全部使うのであれば、


p1x1+p2x2=I …式1


となる。


●家計の効用最大化問題
以上長々と書いてきたが、要するに家計の効用最大化問題は、
数学的にはたったこれだけの話である。

max u(x1,x2)
s.t p1X1+p2x2=I

式1という制約条件のもと、u=u(x1,x2)を最大化するという、ただそれだけの問題。
思ったより長くなってしまったので、次回その解法。