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四十三庵

蔀の雑記帳

成長産業なのに儲からない介護

論考 仕事

今、教職課程のアレで介護等体験というのをやっている。
介護施設に五日間、特別養護学校に二日間行く。
で、月曜日から金曜日まで某施設の厄介者になっている。
体験談とかは書かない。
悪口をたくさん書きたい訳なんだけども、守秘義務というものがある。
散々炎上の記事書いてきたのに、自分が炎上したら完全なギャグだ。

ネット検索してみても介護等体験体験談を詳細に書いてるブログも、2chでさえもあんまり出てない。
(探し方が悪いせいかもわからないけど)
教育実習は結構ザクザク出てくる。
全部で七日しかないから、大抵は慣れてきた頃に体験終了となってしまって、
あんまり実のある体験が出来ていない証拠なのかもしれない(僕もそうなりそう)。

我慢出来ないから一つだけ書くとすると、実習メンバーが僕一人しかいなかった。
これがデフォなのか? と思ったら、普通数人でやるものらしい。

  • 医療・介護は現代の日本に残された唯一の成長産業

少子高齢化は99%とまることはない。
そうなると、デフレ傾向はずっと続いてゆく。
モノが売れない時代になる。
日本の標準産業分類はこのようになっている。

大分類A−農業,林業
大分類B−漁業
大分類C−鉱業,採石業,砂利採取業
大分類D−建設業
大分類E−製造業
大分類F−電気・ガス・熱供給・水道業
大分類G−情報通信業
大分類H−運輸業,郵便業
大分類I−卸売業,小売業
大分類J−金融業,保険業
大分類K−不動産業, 物品賃貸業
大分類L−学術研究,専門・技術サービス業
大分類M−宿泊業,飲食サービス業
大分類N−生活関連サービス業,娯楽業
大分類O−教育,学習支援業
大分類P−医療、福祉
大分類Q−複合サービス業
大分類R−サービス業(他に分類されないもの)
大分類S−公務(他に分類されるものを除く)
大分類T−分類不能の産業

これからの日本で、ほとんどの産業が、産業全体ではパイを縮小させている。
この中で唯一成長している産業、そしてこれからも確実に成長していく産業がある。
医療・福祉である。
何がどうなったって伸びる。
将来のことで、確実なことなんて数えられるほどしかないが、
医療・福祉が伸びるのはその一つだ。


(グラフはこちらから拝借)
2000年代に最も雇用者数が伸びた分野が医療・介護の分野です。
このグラフはぶっちゃけパートタイマーの労働時間を考慮してないので、
正確な比較ではないんですが、*1労働者×労働時間で考えても医療・介護の分野は飛躍的に伸びています。

「これから医療・介護は伸びるぞ」
なんて言う人は完全なる誤解をしていて、もうすでに大分伸びています。これからも伸びるでしょう。

  • それなのになぜ介護ビジネスは?

そんな成長産業であれば、「意識の高い学生」が介護に殺到してもおかしくない。
けれど現実問題、介護というのは、基本的に本来家族がやってたものを、
やりたくないから金払って押し付けてる面があって、仕事内容自体がかなり辛い。
その上、給料はおっそろしく安い、かなり敬遠される仕事である。
なぜか。
根本的な理由は二つある。

1.介護という仕事そのものが持つ問題(倫理面)
2.介護が恐ろしく儲からない構造になっている問題(ビジネス面)

今日は2について詳述する。
1は書くかどうか不明。
要するに、生々しい言い方になってしまうけれど、
「後は死ぬだけ」の人間を、これから未来のある人間が世話する/させることが正しいのか、ということだ。
ただこの問題は結論はほぼ出ている。
倫理的には正しくない。
けど現実として、あなたは自分の父母が介護必要になったら、
「これは倫理的に正当だから」
「俺はジジババの世話なんざごめんだぜ」
と言って、ぶち殺すことが出来る人間がいるだろうか。
倫理問題では介護なんて間違っている。
けど現実問題介護の必要性はある。
日本は世界でも最も早く直面することになるが、遅かれ早かれ先進国はどこもこの状況に追い込まれる。

  • 介護が儲からない理由

実は介護が儲からない一番の理由は、大学のある講義で、話にはきいていた。
介護と保育園は非常に似ている。
どちらもニーズが高いのに、全然儲からないから、規制緩和したところで誰もビジネスとして成功できない。
その理由も同じ。
一人の労働者に対して、受け持てる児童・高齢者の数が少なすぎるから。
だから人件費がかさんでしまって、とても利潤がでない構造になっている。


今回行った施設では、デイサービスを行っている所で、
普段は家で生活している人が日中通う施設だった。
大体一日三〜四十人程の利用者がいるらしい。
重症の人が入院していて、そういう人は僕のような実習生との接触はない。
多目に見積もっても二十人くらいだろうか?
それに対して職員が僕を含めずに四人。
リハビリを担当している理学療法士の人も数人いる。
食事をつくっている栄養士の人も何人かいる。
事務の人や、施設長をいれると、多分十〜二十人程度になるんじゃないか。


正確に何人いるのかはわからない。
(入所定員は結構な数あるから、入院の人がもっといるのかも?)
仮に利用者が全部で六十名で、職員が二十人だったとしよう。
この数字が一番僕の実感に近い。
これはもう恐ろしい。
たった六十名のために、二十名の労働者を雇っているのだ。
三十人のクラスに、十人の教師がいたら誰だってクレイジーだと思う。
介護・保育という仕事は、経営的に見たら、そんなクレイジーなことをやらないと回って行かない仕事なのだ。
ちなみに「どっか人削れるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれないけど
この人数でも結構バタバタしている。本当はもっと増やしたいくらいだ。


介護でなく、保育園も状況としては似たような感じ。


いやね、これが風俗やホスト・キャバクラだったら、一人三人の客とれば十分働いたって思えるでしょう。
そりゃ一人の客から一時間で数万円という法外な金額を請求できるから。
介護でも、風俗並の金額がとれればビジネスとして成り立つのでは、
という発想まで行くと、高級老人ホームの存在意義が少しは見えてくるだろうか。

  • まとめ

以上書いてきたように、介護ビジネスで稼ぐのは非常に厳しい。
介護が薄給で、慢性的人手不足なのは、今後も続くだろう。

ホントは病院みたいにどばどば国税投入した方がいい産業だと思う。
もっとも今の債務残高でそんなこと言ってられないし、国民のコンセンサスもないからまず不可能だけど。

*1:たとえばパートタイマーが10人、1人1時間ずつ働く産業と、正社員が1人10時間働いている産業が、この比較だとパートタイマー労働が多い産業が10倍雇用を抱えている計算になるが、雇用の受け皿としての機能は実質同じ