四十三庵

蔀の雑記帳

日経記事「[FT]スイス中銀の無制限介入は得策か」と日本

(FT)スイス中銀の無制限介入は得策か(社説)
(2011年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は、どんな買い手にもどんな量でも、対ユーロの固定レートでスイスフランを売ると約束し、絶え間ない自国通貨上昇を食い止めるための最後の切り札を切った。

■徹底して相場目標を達成へ



テレビ放送を通じて声明を発表するスイス国立銀行のヒルデブランド総裁(9月6日、ベルン)=ロイター
 中規模の開放経済であるスイスは、自国の手の及ばない出来事と政策選択の犠牲者だ。たとえスイスの対策が通貨戦争を引き起こすことになろうとも、SNBには、断固たる態度で徹底的に行動する以外に選択肢はほとんどなかった。

 米国と欧州の金融刺激策は投資家の懐を現金であふれかえらせた。投資家がその資金避難通貨か金以外のものに回すことを恐れた結果、スイスフランは20〜25%高騰し、輸出業者は音を上げるまで圧迫されることになった。

 SNBはしばらくの間、国内の金融政策を統制しつつスイスフラン相場を抑制しようとした。金融が移動できる世界では、それはよくても短命な結果に終わる。

 日銀の為替介入と同様に、過去1年間にわたって二兎(にと)を追おうとするSNBの試みは失敗した。また、スイスフランが上昇し続けて中銀の外貨購入が評価損を出すと、政治問題を生むことにもなった。

 SNBは今、二兎を追うことをやめ、徹底した相場目標を導入した。中銀は1ユーロ=1.20スイスフランという上限(ユーロ/スイスフラン相場の下限)を守るために、無制限に紙幣を刷る。これは確かに達成可能だ。下げ圧力にさらされる通貨の防衛には十分な外貨準備が必要になるが、問題が通貨の上昇である場合、そうした制限はないからだ。

■遠からずインフレや資産バブルが

 これが得策かどうかは別問題だ。スイスの通貨供給量は今後、グローバルな投資家の意欲によって決まることになる。資本流入の不胎化は単にスイスフランの魅力を一層高める結果になりかねず、スイスほど金融に依存している国にとっては、資本規制は検討したくない手段だろう。

 対ユーロのペッグ(固定)が続けば、スイス人は遠からず、通貨供給量増加の影響をインフレか資産バブル、あるいはその両方に感じ取ることになる。

 今のところ、インフレや資産バブルはスイス人が甘んじて受け入れる問題かもしれない。やはり資本流入に苦しむ中南米の原材料輸出国と異なり、スイスにとってより差し迫った脅威は、インフレではなくデフレだからだ。

 だが、インフレ高進はいずれ、ペッグ制が守るはずの輸出競争力を損ねる恐れがある。そして資産バブルはいまだかつて、どの経済にも良い結果をもたらしたことはない。

■他国を触発する可能性も

 それ以上に懸念されるのは世界的な影響だ。スイスは中国と異なり、マクロ経済の不均衡を直接引き起こすには規模が小さすぎる。だが、他国がスイスの動きに刺激されて、スイスに追随し、資本規制という究極の選択を採用する動きが出てくる可能性がある。

この他国っていうのは、明らかに日本も含まれている。
経済規模から考えて、スイスに倣った円高対策を日銀がやるとはとても思わないけれど、
万が一スイスの為替無制限介入が成功したとしたら、(絶対に考えられないけど)
日本国内でも「スイスに倣え」という声が高まると思う。

日本でもインタゲ論だとかリフレ論とかは流行った。
ゼロ金利政策量的緩和の二つをやってもデフレ傾向を維持した日本経済のデフレ圧力というのはすさまじいものがある。
先進国でも日本くらいなもんだ。
(アメリカがリーマン以降、日本化してると言われてるけど、アメリカの物価はインフレ傾向にある。
普通デフレというのは、すさまじい恐慌の時に短期的に起こる現象であって、
日本みたいに緩やかに長期的に続くデフレは歴史を見てもそうそうない)

「デフレで困ってるなら、インフレになってもいいから、とにかく金刷ればええやん」
という主張はまま見られるけど、
多分現状の日本で金いくら刷っても、銀行でとまってしまって、インフレ起きないのではないかな。
一番いい政策が、雇用を安定させて、医療福祉も保障して、
その上で各世帯に往年の麻生政権よろしく、現金給付の形で金撒いて、
消費を高める政策を続けるのが、デフレ退治には一番いいと思う。
その上で国債不安もこれ以上広げないことも絶対条件。
まあ無理。

デフレ対策か財政均衡か、というトレードオフ(あちらが立てばこちらが立たず状態)に日本経済はある。
両立はできない。