四十三庵

蔀の雑記帳

一億総白痴化という現象その2

一億総白痴化という現象
まさかの続きです。

前回の記事で、「一億総白痴化」がどんなものか説明した。
要するに教養主義の放棄の結果、馬鹿になったように見える我々が、
本当に馬鹿になったという現象。
今回の記事は、白痴化が起こると、どういう問題が起こるのかについて。

歴史を通じて、ある国の国民の大部分が賢かった国はない。
室町後期にやってきた宣教師が、農民に布教してたら、
「なんで全知全能の神様が、我々には長い間知られてなかったんですか?」
と鋭い質問をして、その知的レベルに驚いたという記録が残っているそうだけれど、
国民の20%以上がそれなりの知能水準にあった時代とまでは言えないだろう。
そんな時代が存在したかどうかすら疑わしい。

知能が継承されていくように、愚昧もまた継承されていくのだと思われる。

と書くと、「じゃあそもそも今に限った話じゃないんだから、問題にする必要もないだろ」という反論が出てきて、
めんどくさいので書かなかったけれど、続きを書く気になったので、そのことも触れる。
教養主義の見掛け倒しの知性の良い所は、「底上げ効果」みたいなものがある所だと思う。
谷崎潤一郎の何かの著作(多分「文章読本」かな)によれば、
戦前の小学生は「教育勅語」を暗唱させられたらしい。

朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ紱ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此
レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ
兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ
修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ紱器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開
キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無
窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス
又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所
之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々
服膺シテ咸其紱ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二十三年十月三十日
  御名御璽

小学生には意味なんか理解できないだろうし、当然言葉の響きだけで覚えたのだろうが、
これが軍国主義を植えつけるとともに、日本人の国語力向上に一役買っていたとも思われる。
現代の平易明瞭を旨とする教育方針ではこんなこと否定されるんだろうけど、
容易に理解可能に設計された教材を扱って、その教材の理解で挫折して、
50%程度の人間が大学進学を選択せず、大学進学した人間でも基礎学力すら怪しい者も相当数いる。
統計上は、戦前よりも高学歴者数は格段に増えているのだけど、
実情を鑑みれば、本当に知的階級と呼ぶのにふさわしいような人間というのは、戦前と同じ比率でしか存在しないように思われる。
(減っているとも増えているとも思われない。日本人の人口が増えているので、絶対数は増えたかもしれない)

  • 白痴化の要因

高度経済成長で日本が豊かになり、大学闘争で教養主義も打破されて、
「別に馬鹿でもいいじゃん。馬鹿でも食べていけるし。無理に頭使って疲れなくても」
という空気が日本に蔓延した。
それだけ日本は豊かだし、平和だということの証左でもある。

  • 白痴化の一例

僕が散々連呼している白痴化は「自分でものを考えない」ことを言っている。
「自分でものを考えているけどそれがことごとく的外れ」という場合も結構多く、
その的外れの方向性によっては実質的に何も考えていないのと同じように見えるから、白痴化に含めてしまっていいと思う。
実際本当に何を考えていない人間というのは少ない。
重度に白痴化した人間が影響をうけるのは、「正しい知識」ではない。
学校の教科書よりも、「ONE PIECE」のルフィの仲間を思う気持ちから友情を学んで、J-POPの歌詞から愛を学ぶ。
医学知識はよくわからないけど、テレビの健康番組の情報は鵜呑みにする。
あるある大事典という酷い番組があった。

「○○を食べると、☓☓がよくなる!」

「これは、△△(名前は医学用語っぽい)という体内の細胞が活性化して云々かんぬん」
(無論この説明は、わかりやすいアニメを使って、視覚的に説明される)

「そこで被験者に一週間○○を食べてもらいました!」

「驚きの効果が!」

これだけで本当に○○が翌日売れたから、いかに主婦が思考停止しているかということが推察できる。

上地雄輔のファンがどう見ても宗教にしか見えないのも、思考停止しているからだ。
上地雄輔がシャレで済まされないくらいヤバイ

助かろうとしてる人も、助けたい人も、助かった人も、助けようとしてる人も

一回だけでいいから、

深呼吸しよう。

深呼吸してからのヨッシャ!!が一番パワーがあるから!

優しさ、温もり、繋がり、絆、友情、感謝、愛情、と一緒に、負の連鎖も増やさないで

人に優しくされて気付く前に、与える側の人や情報がどんどん増えますように!!

みんな、ここに生きてる奇跡に感謝。

まあかといって、これらの白痴は、日本の豊かさが持続する限りは「いい市民」であり続ける。
ヘタに高度な知能を持ってるつもりで、他人見下して生きている人間より、
こういう白痴でJ-POPみたいな愛が現実に存在すると思ってるような奴の方が、
よほどまっとうな人間であったりするのは、知能というものの皮肉なところである。
(「白痴化」というと否定的なニュアンスが強いけど、必ずしもそればかりでもない)

  • 選挙制度は有名無実に

いよいよ白痴化が起こると、どういう問題が起こるのかという話に入る。
一番困るのが、選挙制度が成り立たなくなる。
公明党が普通に政教分離シカトして、一定の勢力を保ち続けてるけど、そういうことも起こる訳だ。
なぜ公明党が当選できるのかというと、テレビが創価学会をそんなに問題にしないから。
テレビはほとんど政治の知識なんてない国民に普段はゴシップだけを流して、選挙の時だけちょっと政治情報を与えて、
うまい具合に操る。それで大体選挙の結果も操れる。

民主主義の敗北やね。

  • 文化への破壊的影響

まあでも正直選挙をテレビが支配しても、そこそこ弊害の大きい政策が通っちゃうだけで、平和な時期なら何も問題はない。
世界が急変しているような事態になったとき、多分現代の民主主義国家はほとんど対応できないだろうけど、
対応できる国家の方が少ないだろうね。

白痴化が起こって、一番困るのが文化活動だったりする。
戦後、三島由紀夫の小説がベストセラーになった。
その一方で、「もしドラ」とか「KAGEROU」とかがベストセラーの国があるそうですよ。恥ずかしいですね。

漫画や音楽も、どんどん「皆にわかりやすい」ものだけが受け入れられていく。
一見奇抜なものに見えても、本当に奇抜なものは、巧妙に排除されている。
どんどん文化は低劣になっていって、価値を失っていく。

  • 今後の展望

少しでも世の中に関心のある方なら肌身で感じると思うけれど、
高学歴高所得の階層の人間というのは結婚してもあまり子供をつくらない。
低学歴低所得の階層の人間の方が、子供をたくさんつくる。
その傾向は戦後自由恋愛が一般的になって、見合い結婚が駆逐されるに伴って、すごい勢いで進んでいった。
「日本人の頭がテレビ・教育・文化によって悪くなっている」という以外にも、
「そもそも頭の悪い人間が子を産んで、いい人間が産まない」ために、元々頭の悪い人間が増えていくという
地殻変動みたいな動きもある。
そしてこの動きは今後も続いていく。

  • 反省

全体的に大雑把な主張なのは否めない。
ただ主張そのものには同意してくれる人も少なくないのではと思う。

(参考)
知的労働の今後(「平井俊顕ブログ」)