四十三庵

蔀の雑記帳

少子高齢化の根本原因、そして対策不可能であること、更にどういう影響があるか

少子高齢化が当面の日本最大の問題であること
で、少子高齢化が割とものすごいペースで進行していくというのがおわかりいただけたと思う。
素直な人であれば、「ああもう日本はダメなんだー。終わりだー」という気持ちになるだろうし、
文句の多い人であれば、「いやそれでも少子高齢化は大した問題じゃない」と思うだろう。
何を信じるかは自由。

少子高齢化の原因は、当たり前だけど、寿命が伸びて、出生率が落ちたことである。
寿命が伸びた原因は明らかだけれど、出生率がなぜ落ちたのかは少しだけ議論の余地がある。
「女性の社会進出が原因だ」
「女性のキャリアのために出産が障壁になっているからだ」
「子供の教育費が高くなったからだ」
などなど、色々言われるけれど、根本的には
「今の日本人は子供を産まないような社会構造になっている」
ということだと思う。

日本は結婚しづらい国になった。
これは統計を見ても、日々生活していても歴然たる事実だろう。
そして結婚と出産は日本において強く結びついているから、当然少子化になる。

日本は戦後、経済成長と共に個人の自由というものをひどく重んじる国になった。
君が代を歌いたくなければ教師でも椅子に座りっぱなしだったり、
とにかく「したくないことはしなくてもよい」「させてはいけない」という空気は蔓延している。
結婚も同じように、
「いい相手がいなければしなくてもいい」
という風な「白馬の王子様」的結婚観を結構真面目に持ってる人だとか、
玉の輿狙いな専業主婦志望の人だとか、単純に異性との付き合いが苦手で一生結婚出来ない人とか、
仮にそういう人がいても、
「それもあなたの人生だから・・・」
と否定できない。
一昔前の価値観であれば、「行き遅れ」がいたら、
親や近所のばあさんかなんかが、見合いでもなんでも組んで、無理やり「片付けた」のだ。
NHKがドキュメンタリーで使った「無縁社会」という言葉は賛否両論らしいけれど、僕は言い得て妙だと思う。
「あなたの人生だから何をしてもいい。でも人に迷惑だけはかけちゃダメ」
というのが今の日本人の行動原理である。
これが精神面に関しての、未婚化の原因。

経済面でも大きく構造は変化している。
70年代の前くらいまで、女性が経済的に自立するのは至難の業だった。
女性向けの職は、外国語関係や水商売など、特定の分野でちょっと雇用があるだけで、
仮に企業に勤めてもお茶くみやらされて、「職場の花」としての存在で、
キャリアアップなんっつーものは存在しなかった。
ゴールは有望な社員との結婚で寿退社することであった。
当時の女にとって、「結婚」というのは、世間体や愛だ恋だという部分もあったろうけど、
一番結婚につき動かした動機は経済的必要であった。
夫の収入がなければ、いつまでも実家の家事手伝いでもしていなければいけなかった。
ところが現代では、女でも定年まで働いて、男と変わらない収入が得られる。
だから結婚する切迫した経済的必要がない。

70年代以前というのは、ぼーっと生きてても、普通に生きていれば結婚する世の中だった。
それが個人の自由意志を重んじる風潮から、「結婚も個人の選択」という世の中になった。
ぼーっと生きてる奴は幸運に恵まれない限り結婚出来ない。

2chとかで、「カーチャン俺の代で血が途絶えてごめんよ」とか、女叩きに勤しむような連中とかは、
その99%が本当にそいつの代で血が途絶える
いやね、非正規雇用で自分でも自分の職場が「底辺」だと思ってるような所へ、
毎日黙々と給料のためだけに働いて、終われば家に直帰して、パソコンやって飯食ってって生活のどこで出会いがあるのか?
経済成長の中で日本人は豊かになった。
そして自分の欲望の大半は満たせるようになった。
自分の嫌なことはしないですむようになった。
皆、人とコミュニケーションとるなんて基本的にはめんどくさいし、気をつかうし、嫌なもので、極力避けたい。
日本が貧しかった頃は、それでも人と人が助け合わないと生きていけなかったから、助け合った。
「困った時はお互い様」精神だ。
隣の家の母親が妊娠すれば、なんか栄養のある食べ物送ったり、
子供が生まれたらお返しにお菓子送ったり、職に困ってれば知り合いにあたって紹介してやったり。
コミュニケーション能力なんて、最低限あればよかった。
しかしそんな人間関係は、豊かになれば、煩わしいだけである。
日本人は豊かになって、「人と話さなくてもいい権利」みたいなものを手に入れた。
話しかけるときは、何かそれだけ面白いネタがあるんだろうな、とハードルが上がるので、昔よりもコミュ力が求められる。
人と人との関係は希薄になって、当然結婚相手探すのにも苦労する。
これが社会的な原因と言っていいのかな。

●○○すれば出生率は上がる!系統
・「日本は結婚=出産だからダメなのだ。フランスを見習って、どんどん婚外子を認めろ」
仮に認めたとしても、ぽんぽん婚外子をつくるような文化は日本にはないから、
出生率の上昇は微々たるもので、少子化の解決策には到底ならない。
そもそもフランスの文化と日本の文化は全然違う訳で、
六十超えた次期大統領候補がホテルで女襲って失脚するような国と日本が同じ制度にしてもね。

・「中絶を禁止しろ」
僕も一時考えたことがあるんだけど、これもあまりよろしくない。


詳しくは、(参考)の記事を読んで欲しいんだけれど、
数字にあらわれているだけでも、30万人くらいの胎児が中絶で掻爬されている。
こいつらがもし全員産まれていれば、出生率はかなり上向く、と考えるのは、たしかに自然なことだと思う。
ただし中絶禁止にするとまずいのは、犯罪率が上昇すると思われること。
人口妊娠中絶−犯罪率の謎
「ヤバい経済学」という本でも読んで欲しいけれど、とにかくそういう相関関係がある。
恐らく中絶された胎児というのは、経済的に育てられないとか、
産まれてきたら相当苦しい環境で育つことになる赤ん坊である。
これが仮に中絶禁止で、やむをえず出産ということになると、
かなり悲惨な教育を受けることになり、結果犯罪に走ることになるのではないか、というのが、一応の説明となる。
日本の環境で中絶を選択する奴らというのは、まあほぼほぼドクズだろうから、
産まれてきた子供もろくなものにならないのは容易に想像がつく。

これに関しては、確かに出生率は上向くけど、別の問題が出てきて、
それはそれで社会的問題が発生するから、中絶禁止はあまり賢明ではない、というのが反論となる。
(参考)
妊娠中絶の実情
古い記事なので、色々読みづらい。

・「子育ての費用が上がっているから、政府は子持ち世帯に経済的援助をすれば、出生率も上向くだろ」
実は地方自治体とか、結構色々やってる。
僕の姉は狭山市に住んでるけど、確か小学生くらいまで医療費無料だったと思う。
意外と知らないだけで、結構細かい所で昔に比べると、経済的援助はやっている。
子ども手当なんかもあった。

けど経済的援助で出生率を上向かせろ、という人は、子育て費用の上昇を舐めすぎている。
本気で子育ての費用を穴埋めするほど国が支援していくとなると、相当な財政負担を覚悟せんとあかん。
(情報元;子育て費用のシュミレーション

こども1人あたりの養育費の総額は2,370万円

大学まで行かせる計算だから、22歳まで金がかかるという計算。
これを本気で穴埋めするなら、単純計算で、一年で100万円くらい子育て世帯に給付することになる。
子ども手当は満額支給で一年31万2000円なので、半分にも満たない。
もっとも満額支給すら頓挫していて、半額の支給だから、一年15万6000円。
もし、本気で子育て費用を給付するとなると、
人口ピラミッドを見て数えた丼勘定では、2010年時点で二十歳以下は2200万人くらいいる。
彼らの親全員に一年100万円を給付するとなると、単純計算で22兆円必要となります。
(100万円×2200万人で計算)
ちなみに国家予算の内訳。
22兆捻出なんてことになったら、国債発行しまくるか、大規模増税しかないですねえ。

だから、子育ての費用を賄えたなら、確かに出生率向上に大きく寄与すると思うんだけど、
そのためには消費税率が80%くらいに設定して、債務残高をGDP比300%くらいにしなきゃダメだと思われる。
なんか、出生率が上がる前に大規模デモが起こりそうですね。

○子供を産んだ人にだけ年金を払うシステムに
昔僕もこれ考えてたんだけども、年金システムってよく調べてみると、
単に若い頃払った金を、年取ってから受け取るっていう、国家によるおせっかいな貯金プロジェクトみたいなものであって、
けして年寄りが若者の生き血をすすってるっていう訳でもない。
(現状だとそういうふうに見えるのは無理も無いが)

だからこれは年金のコンセプト的に、無理だと思われる。

○昔みたいに男性優位に戻ろうぜ
無理。
国際条約で決まってるし、男女雇用機会均等法もある。
男女平等を積極的に擁護する気もあまりないけど、不可逆的に進行しているのは事実。

○女性が子供を生みやすい環境づくりを!
1.保育園を増やして、待機児童を減少させる
特に都内では全然待機児童が減らんので、保育園増やそうとがんばってるんだけど、これが全然増えない。
規制緩和をやって、かなり保育園を建てやすくしたにも関わらず、全然増えていない。
これは介護と同様の原因で保育園が全然儲からないためである。
(児童の安全のために、職員が減らせないので、人件費が高くつく)
(参考)
成長産業なのに儲からない介護

保育園ビジネスも茨の道なんで、本当に増やしたいなら、国か地方政府が動かないといけないんだけど、恐らくそんな財政的余裕はない。
それに待機児童が大きな出産の障壁、ということでもないだろう。
むしろ子供をつくってから、入れる保育園がないことに気づいて愕然とする方が多いのではないだろうか。
(よく知らないけど、出産前から保育園の予約とってから「よっしゃ準備万端! 受精っすぞ!」というキャリアウーマンがいるのか?)

もちろん待機児童は減らすべきなんだけど、まあ減らない。
しかも出生率を上向ける手段としては弱いから、ついつい後回しにされがち。
個人的にはアメリカみたいに、もっとベビーシッターが一般的になれば、
専業主婦で子育て終わって暇ぶっこきながら、「日本社会は女の力を活用できてないワ」とかブツブツ言いながら韓流ドラマ見てる人でも
サイドビジネスとしてベビーシッターで小金稼いだりできるんじゃないだろうか。
ただベビーシッターがあんまり流行らないのは、信用出来る相手じゃないと預けたくない、という所が大きいのだろう。
近所に親が住んでりゃ何も問題ないんだけど、地方から上京してきた連中だと頼る親戚すらいない。
無縁社会の悲しい所。

2.出産休暇・育児休暇をとりやすく、とってもキャリアアップの障壁にならないような制度に!
働く女性でしかも恋人もいるような人にとっては、出産の一番のネックが出世に響くことらしいんだけども、
理想を言えば、ワークライフバランス向上のために、こういう制度は望ましいんだろうけど、
企業もどんな綺麗事を言っても、結局は金儲けのために組織だからね。

出生率は上向かないから、少子高齢化に対応して色々やろうぜ路線
○外国人移民を大量にとろう!
発展途上国からの外国人移民で、若年労働人口不足を補おうという発想。
外国人参政権を認めるなり、制度的な改革が必要だけれど、
ネット上の反対運動がよく示す通り、あんまりコンセンサスが得られない。
しかも外国人労働者がいつまでも奴隷的な地位に甘んじている訳もないし、
労働力不足を解決させたら、また別の問題が出てくる、乱暴なアイデアだと思われる。

少子高齢化に対応した社会づくりを
これが一番現実的というオチ。

●じゃあどうしたらいいんだ!
長々書いてきたんだけど、言わんとしていることは、
少子高齢化は不可避」
ということ。
対策は色々あるけれど、どれも決定打にはならない。

だから対策とか考えないで、もうそういう未来が来る、と思ったほうがいい。

(影響については後で追記)