四十三庵

蔀の雑記帳

クオンツは優秀なんだろうけども

有力クオンツファンドの幕引き
米州総局編集委員 藤田和明
(2/2ページ)2011/9/17 14:34

ウォール街からまた1つ、象徴的な存在が姿を消すことになった。米ゴールドマン・サックス傘下の「グローバル・アルファ・ファンド」。コンピューターを駆使した運用で、いかなる市場環境にも対応できるとうたい、一時は一世を風靡したファンドだ。しかし金融危機を境に運用成績が急速に悪化。投資家からの解約が最後まで止まらなかった。10月でファンドを閉鎖すると顧客に伝えた。

 統計や計量的な手法を用い、株式や債券、通貨など多様な投資対象を機動的に入れ替えるモデル運用で、いわゆる「クオンツファンド」の代表的な存在だった。金融危機前の2007年には、運用資産が120億ドルを誇った。

 その規模の大きさに、ゴールドマンは投資銀行というより、ヘッジファンドと呼ぶ方がいいといわれるほどの存在だった。同社のトレーディング部門の収益が急拡大していく時期とも重なり合った。

 ファンドはゴールドマンの有名トレーダー、クリフ・アスネス氏のもとで運用を開始。彼が独立後、マーク・カーハート氏に運用が引き継がれた。2005年には年率30%を超える好成績を上げ、世界の投資家から注目を浴び、ファンドの拡大ペースが加速。しかし、2007年8月に金融市場が急変すると、一気に成績が悪化。クオンツ・モデルの脆弱さを露呈することになる。

 グローバル・アルファは、運用のリスク管理に市場の変動性(ボラティリティー)に重きを置いていた。市場全体が安定し、変動性が下がるともっとレバレッジをかけ、よりリスクをとり、リターンを底上げするよう指示が出た。2006年から07年前半までは、レバレッジをより高める時期だった。その原資には、コストの安い円が使われた。いわゆる円キャリートレードだ。

しかし2007年に欧州金融機関の損失問題が浮上し、市場が不安定化、つまり変動性が上昇すると、モデルは逆回転を始める。レバレッジの引き下げを指示。顧客の解約も重なって、強制的に資産を処分しなければならなくなった。「売れば売るほど市場の変動性が高まり、さらに売りを増やさなければならなくなり、またいっそう市場の変動性を高めることになった」(スコット・パタースン著『ザ・クオンツ』)。自らの売りが自分のクビをさらに締めるワナにはまってしまった。

 ファンドの成績は、わずか1カ月で2割強も落ちる惨憺たる結果に。2009年から成績は持ち直しつつあったものの、今年に入ってまた10%強のマイナスになっていた。直近の資産規模はピークの10分の1もない10億ドルまで減っていた。2009年から運用を担っていたカティンカ・ドモトーフィ氏も、年末には退社をする。

 資産運用の世界に絶対はなく、過去と著しく市場環境が変わったとき、対応できずに著しく運用損益が悪化する例が必ず出てくる。グローバル・アルファは、危機前の過剰流動性によりかかり、レバレッジを過剰にとったことが裏目に出た。そして投資家の信頼を回復することは二度となかった。

 もちろん、全てのヘッジファンドではない。グローバル・アルファと競合していた有力クォンツ・ファンドルネサス・テクノロジーズは今年、好成績を上げている。

 リーマン・ショックから丸3年。ヘッジファンドの価値とは何か。その問いかけを残しながら、ウォール街投資銀行が率いた旗艦ファンドが幕を引く。

LTCMと似たようなことやったんですね。。。
クオンツは優秀なんでしょうが、なかなか勝ち続ける訳にもいかないようです。
資金集めにはエリート集団で固めるは最適なんでしょうが。