四十三庵

蔀の雑記帳

オリンパスで何が起こってるのか、まとめ(日本の経営の旧態依然っぷりの露呈)


知ってる方も多いと思いますがオリンパス株が急落しています。
僕の予想ではそろそろ反発が来るんじゃないかとは思うんですが、
今後のウッドフォードの動き次第ではもっと低迷する可能性もありますね。

この記事を書いたのは10月20日なんですが、引用しているyahooファイナンスの画像は
ちゃんと時間がたつと動くようになっているので、「今の株価」が表示されています。

新聞報道なんかでも、かなり情報が込み入っていて、
一体どういう事件なのか僕自身も下の記事を読んではじめて整理できました。
僕自身の勉強がてら、今回の騒動についてまとめ記事を書こうと思います。

オリンパスは日本を代表する優良企業の一つで、特にカメラが有名ですね。
僕のデジカメも確かオリンパスだった気がします。*1
ただ実はカメラ分野ではニコン・キャノンの下で、トップシェアを誇っているのはICレコーダーのようです。
電気機器に高い技術を持っています。
後、内視鏡もトップで、これがかなりの利益になっているようです。
オリンパス株は日経225銘柄の中にも選ばれている、優良株です。

  • 簡単な要約

今回の問題をν速風にまとめるとこういうことです。

ウッドフォード「イギリスから来ました。オリンパスの社長になります。よろしく」
ウッドフォード「さて、財務状況を調べてみるか」
ウッドフォード「あれこのM&Aって大損出してるな」
ウッドフォード「なんでこんなクソ会社に700億も出したんだ!? しかも案の定大損こいてるし」
ウッドフォード「うわ、これ投資家に公表されてないのかよ」
ウッドフォード「フィナンシャルアドバイザー*2にも報酬高すぎ」
ウッドフォード「これはおかしいだろ!」
菊川「うるせえ!これが日本企業だ!なんか文句あんのか」
ウッドフォード「菊川会長、あなたは辞めるべきだ」
菊川「お前がクビだ!」

ウッドフォード社長クビ&内部告発

株価暴落

以下もう少し詳細に書きます。

  • 2011年10月14日、ウッドフォード社長解任

今回の騒動がマスコミに大きく報じられたのは、このウッドフォード社長の電撃解任です。

(菊川会長と握手するウッドフォード氏)
2011年4月にイギリス現地法人から本社社長に迎えられたイギリス人のマイケル・ウッドフォードですが、
社長就任とともに、社内の財務状況をチェックしたところ、
明らかに不正な取引が行われているのを発見しました。
その不正取引を主導していたのが、前社長、現会長の菊川剛。

その内容というのが、こちら。

①2008年3月期にほとんど価値がない零細企業を3社まとめて約700億円で買収し、わずか1年後に買収額のほぼ全額を損失処理した
②そうした買収が行われたことも、それによって発生した巨額損失の詳細もほとんど投資家に開示されていない
③英医療機器メーカーのジャイラス社を買収したときに法外な手数料が優先株を買い取る形でファイナンシャル・アドバイザーに支払われた
(下記(関連)の「現代ビジネス」より引用)

会長の主張とウッドフォード氏の主張はかなり食い違っていますが、
しかし会長の独断専行で水面下で「黒い取引」が行われていたのは否定しがたい事実です。
最初僕がニュースきいた印象では、
「たかが外人社長がクビになったくらいで株価落ちすぎだろ」
と思ってたんですが、問題は社長の解任というより、オリンパス経営陣の経営姿勢にあるようです。

特に海外の大手投資銀行は「コンプライアンス上、問題があるのでオリンパスとは付き合えなくなった」と言い出しているという。不可解な資金流出が続いたオリンパスは、すでに財務内容の傷みが激しい。

 そのエクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で引き受けシンジケート団入りすれば手数料収入が期待できるからと下心を抱き、ごく最近までアナリストに大甘なレポートを書かせていた国内外の証券会社が手のひらを返すように冷淡になった。もはや資本市場からの資金調達は不可能に近い。

 こうなった以上、オリンパス資金を供給してきた国内の取引銀行が、どのような融資姿勢をみせるかも今後の焦点のひとつになる。第1四半期の時点でオリンパスの有利子負債はすでに7000億円を超えている。国内金融機関にまで見放されて借り換えが十分にできなければ、名門オリンパスと言えど資金面でクビが締まりかねない。
(同上)

菊川会長はウッドフォード解任について
「企業風土、理念、経営スタイル、日本の文化を理解してもらえなかった」
とコメントしているそうですが、
取締役会や法律家への相談もなく、投資家への情報公開もない、不透明な金の流れが、
「日本の文化」ということでしょうか。

この問題については、むしろ日本のメディアよりも海外メディアの方が注目しているようです。
僕がたまたま見た今週火曜日(10月18日)の「Wall Street Journal」でもかなり大々的に特集されていました。
ウッドフォードさんはイギリス人なんで、「Financial Times」なんかが特に詳しいようです。
Battered Olympus Seen Luring Bidders(「bloomberg」)
Olympus admits to $687m fee for adviser(「FT」)
Olympus Confirms Price for Purchases(「WSJ」)

菊川vsウッドフォードという構図になっとる訳ですね。
このまま和解しなければ、訴訟になる可能性大です。
裁判になれば、ほぼほぼ菊川会長に勝ち目はないと思うんですが……

失敗といっても、さぼっていたわけではなく、一生懸命やった結果なんです。だからその過程を経営者が見ていて、これ以上続けてはだめだと思ったらスパッと止めるのは当然です。見極めを付けられないでいると、どんどん傷口は大きくなってしまう。あのとき、早く止めてよかったとつくづく思います。
((関連)の名言集より)

今回の失敗も一生懸命やった結果なんでしょうかね。
(関連)
菊川剛の名言格言
これが杜撰経営の核心だ!ほとんど価値のない会社を700億円で買収したオリンパス「疑惑の取締役会資料」をスクープ公開

オリンパスショックのわかりやすいまとめ(「ハム速」)
うむむ。完全に僕の記事が食われてしまった。
悔しいですがこの記事の方が詳しいしよくまとまってるので、この記事も参照しましょう。

(追記)
菊川会長はこんな事件を起こした人間ですが、
名言格言があることからもわかる通り、以前はかなりマスコミ上で好意的に取り上げられていた人だったようです。

「通勤電車に子連れ専用車両を」 菊川剛オリンパス社長
2010/11/22

きくかわ・つよし 1941年愛媛県生まれ。慶応大学卒。64年オリンパス光学工業(現オリンパス)入社。広報宣伝部長などを経て98年常務、2001年から現職。筋金入りの巨人ファン。最近は健康のため週2回ほどジムに通う

 ――通勤電車に子連れ専用車両をつくれと主張されているそうですね。

 「少子化労働力人口が減り、企業にとって女性活用は不可欠です。我が社でも女性採用を増やしており、ここ5年では大卒・大学院卒の新入社員の2割強が女性です。ところが子育てしながら働く環境が整っていないために、せっかく教育投資して一人前になった女性がやめてしまう。本人、企業双方にとってこんなもったいない話はない」

 「社内で子育て中の女性社員との懇談中に出てきたのが専用車両のアイデアです。オフィス街で行政と企業何社かが共同で保育所をつくる。そこに子どもを預ければ、社員は休憩時間や昼休みに様子を見に行ける。問題は通勤ラッシュです。専用車両があればベビーカー通勤も可能です。日本女性の年齢別の労働力率をグラフにすると、結婚・出産時の年齢で谷を作る『M字型』を描く。改善が必要です」

 ――鉄道会社にとってはコスト増が大変そうですが。

 「いくつかの会社にあたってみたのですが色よい返事がもらえない。しかし日本の将来にかかわる重大事なんです。働く女性が安心して出産・子育てできれば、少子化問題の解決にもつながる。女性専用車両があるんだから子連れ専用があってもいい」

 「子どもが病気になっても対応できるように、保育所の近くには小児科と内科もつくる。子連れ車両はまず朝夕の2時間くらいで始めて、車両にはオムツを替える台もつけてはどうでしょう」

 ――ほかにもいろいろアイデアをお持ちとか。

 「3世代が住める大型住宅の建設を促進し、国や自治体が家賃補助や税金を安くするなどの優遇措置をとったらどうか。2005年の国勢調査によると、全国平均の8.6%に対して東京3.1%、大阪4.5%と地方に比べ都市部は3世代同居率が低いが、親と同居すれば共働きの若夫婦も安心して子育てができる。子ども手当や農家の戸別所得補償に税金を使うより生産的だと思いますよ」

――企業もワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進が大切ですね。

 「在宅勤務や男性の育児休業取得など、できることはすべてやるくらいの覚悟が必要です。我が社でも男性が育児休業を取れるよう後押しし、数週間から3カ月くらい休む例がふえてきた」

 「でも、残念ながら在宅勤務はまだ制度化できていない。給与や休暇をどうするかなど難しい問題があるというのですが、私はごちゃごちゃ言わずにやってみろと言っているんですよ。知恵を絞れば企業にももっとやれることはあるはずです」

◇            ◇

もうひと言

保育所が足りない。待機児童解消のために国は速やかな対策を。

◇            ◇

聞き手から
 「本音ですか」。女性活用を力説する社長に失礼を承知で、聞いてみた。間髪を入れず「もちろんです」の答え。数年前まで総論賛成、各論反対の経営者も少なくなかったが、少子高齢社会を眼前に本気モードに切り替わっている。20年近く前、男性研究員の育児休業申請に絶句したという社長も、今は当然と笑って答える。(編集委員 岩田三代)

これ自体はいい視点だと思うし、実際オリンパスの社員待遇は非常にいいらしい。
今回の事件で日本のマスメディアの報道がイマイチ手ぬるいのは、
この辺りの「白菊川」のイメージが拭い切れないせいなのでしょうか。

(追記2 11/8)
本日オリンパスが遂に不正会計を認めました。
オリンパスがギブアップ宣言、20年来の粉飾決算をカミングアウト
ウッドフォード氏の完全勝利。
てっきり幹部が不正流用したかなんかだと思っていたら、
90年代の財テクの失敗で抱え込んだ1000億円規模の赤字補填であった、ということを告白。

*1:今確認してみたらパナソニックでした。申し訳ない

*2:M&Aのときにアドバイスしてくれる金融のプロ