四十三庵

蔀の雑記帳

ジョージ・ソロス著「ソロスは警告する」の再帰性理論について


ソロスは経済学を専門に深く学んだ、というよりは、哲学の方に関心が深かったようだ。
数学が苦手なのに経済学部に入ってしまい、均衡理論に強い反発を持った、と正直に書いてある。
結局経済学に関しては家の事情もあり大成しなかったが、むしろ投資の世界で名を上げたソロス。
そんな彼が独自に打ち立てた再帰性理論とは。

  • 前提

人間は、自分自身が世界の一部であるため、世界を完全に理解することはできない。

人間には「認知機能」と「操作機能」という二つの能力が備わっている。
「認知機能」は人間が世界を知識として理解する能力。
「操作機能」はその世界を自分に都合のいいように操作する能力。

ここで以上の話を、関数で表してみよう。
「世界」が独立変数、観察者の世界理解が従属変数としよう。*1
認知機能(Function of CognitionよりFC)FCという関数に、独立変数W(world)をいれる。
すると観察者の世界理解U(Understand)が出る。

FC(W)→U

これが「認知機能」を表す定義となる。
「世界のありよう」がその人間の「認知機能」に解釈されて、ある「理解」が生まれる、という流れ。
これはまあよいだろう。

ところが。
「操作機能」も同じように定義してみると、少々困ったことが起きる。
操作機能では観察者の世界理解が独立変数、「世界」が従属変数となる。
これを関数FM(Function of Manipulation)に挿入すると、

FM(U)→W

となる。
つまり上で生まれた「理解」に基づいて、その人間の「操作機能」で「世界」は操作される、ということだ。
操作された「世界」は当然また上の定義に戻って、「認知機能」で解釈されて……と無限に循環する。
そうなると認知・操作いずれの機能も、確たる結果を生み出せない。
この双方向的な干渉が「再帰性」である。
ここで問題なのは、世界理解と世界の現実が必ず一致しなくなる、ということだ。

ここまでだと単なる哲学なのだけども、ソロスはこれを直接投資に応用する。
つまり、「再帰性」があるから、株価というのは必ず「間違った評価」をされている、
市場は常に誤っている、というのが彼の再帰性理論だ。

よって市場はバブルを産んで、バブルははじけることになる。

株価が評価されはじめる。(1→2)
最初に抵抗にあうが、その後それを克服する。(2→3)
ぐんぐん上がる。(3→4)
やがて天井が来る。(5)
投資家がやがて自らの過ちに気づき、株価は急落する。(4→6)
急落もやがて底を打って、安定した推移となる。(6→8)

以上がソロスの再帰性理論の解説。

*1:中学で習った一次関数y=axを思い浮かべて、独立変数というのはx、従属変数というのはyのことだと思ってください