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四十三庵

蔀の雑記帳

なぜ日本はギリシャにならないか

マネー

最近テレビでギリシャ問題がとりあげられることが多くなっています。*1
テレビで扱われると当然コメンテーターはろくでもない人で固めてる訳でして、このギリシャ問題なんかが扱われると、

「日本もひとごとではないですよね。いつ日本もこうなるかわからない」

などと抜かしています。
(僕なんかはそういうのが見たくないからテレビをあんまり見ない所があるくらいなんですけども)
はっきり断言できますが、日本はギリシャにはなりません。
財政危機は遠からず起きますが、ギリシャとは全然違う状況になります。
ギリシャのあの連日アテネでデモが起きてるような世紀末的状況にはけしてなりません。



なぜでしょうか。

ギリシャと日本で一番違うのは民間部門です。
政府はどっちの国もろくでもない*2ですが、
日本企業とギリシャ企業は全然レベルが違います。

日本企業はいろんな面で散々馬鹿にされてますけど、それでも世界で戦ってる企業は何個かあるし、
日本国内だけの内弁慶な有名企業でも、日本経済は腐っても現状名目GDPランキング世界三位の大市場ですので、
実は結構すごい額の利益出してるんですね。

ところがギリシャの企業の名前って、一つでも浮かびますでしょうか?
浮かばないですよね。僕も知りません。
ギリシャの製造業というのはほとんど発展していなくて、国の中心産業は農業と観光です。
有名企業はほぼ皆無といっていいでしょう。

そういう状況なので、日本人とギリシャ人の所得には大きな開きがあります。
統計局の「国民経済計算 3-9 国民総所得(名目GNI,米ドル表示)」によれば、

日本 2006 2007 2008 2009
総所得 4,486,036 4,529,236 5,053,343 5,179,781
ギリシャ 2006 2007 2008 2009
総所得 257,623 299,295 333,919 314,852

(※単位百万ドル。一年で国民全員あわせた所得の合計額)

人口の差を考えないと10倍以上日本が勝ってるんですよ。*3
名目GDP規模が違うっていうのは、当然所得もそれに比例してる訳なので、こうなる訳です。*4

  • 国民負担率


(出典はここね)
消費税増税が話題になっています。
財務相としては明日にでも増税したいでしょうから、こんなグラフもシコシコ公開してる訳です。*5
これ見るとわかる通り、日本の租税負担はそんなに重くないんですね。
下の水色が租税負担率を表していて、それだけであれば日本はアメリカよりも低いです。
ただ国民皆保険で国民皆年金ということで、社会保障費はまあまあの金額になっています。*6

この二つの情報から、日本が「ギリシャにならない理由」がわかります。

詳細は
いまさらきけない欧州債務問題
の前半部分を読んで、いかにパパンドレウ首相が最初から詰んでたかを確認して欲しいんですが、
とにかく財政赤字が危険視されてしまい、
IMFやEU、ECB(欧州中央銀行)から資金援助を受けることになったギリシャ
そこで融資する交換条件として、緊縮財政を求められた訳です。
つまり財政健全化のために、歳出を減らして、歳入を増やせ、と。

そのためパパンドレウ首相は一月ほど前に不動産への増税を敢行しました。*7
これがまた世論の反発がすさまじく、更なるデモの火種となりました。
しかし増税は決まったんですが、税務署の公務員がストライキ起こしていて、徴税ができません。
仕方なく今のギリシャがどうしてるかというと、電力会社に徴税を依頼しています。
どういうことかというと、本来税務署が徴収するところを、電力会社が電気代と一緒に税を徴収しているのです。
「税金払わないなら、電気とめるぞオラ」という訳です。

上に出した国民負担率を見ても、別にギリシャはそんなに高くないんですが、
どうもギリシャ人の国民性というのはよくよく腐っているらしいです。
「俺達のせいじゃない。国が悪い」と本気で思っているのかもしれません。

  • もし日本に財政危機が起きたら

もし日本にギリシャと同じように財政危機が起こったらどうなるでしょうか?
国債デフォルトのリスクが現実味を帯び始めて、日本国債の利回りが10%以上*8になってしまったとしたら?

まず日本の場合、ギリシャと違って緊急融資を受ける前に増税をするという選択肢があります。
反対運動はそれなりに起こると思いますが、租税負担率もそんなに重くないということを考えれば、
渋々受け入れることになると思います。

現実的には消費税が上がることになるでしょう。
そうなれば先ほど国民総所得の差が効いてきます。
給料が入れば人間なんかものを買います。
消費税が上がると、結構な額歳入が増えます。

極論を言ってしまうと、
ホントに日本で財政危機が起こったら消費税率50%にして、
国債デフォルトはありえません」という姿勢を政府が示せば、恐らくそれで沈静化するでしょう。
日本人の生活水準はかなり下がることになりますが、消費税50%でも生活できないほどではないでしょう。*9

  • 他の説明

「日本国債危なくないよ」説のもう一つの有力な根拠として、
外国人保有率が異常に低い、というのもあげられます。
この記事では詳しく触れませんが、それも日本国債のポジティブな要因の一つです。
(関連)
これについて後日記事を書きました。
日本国債(10年物)の利回りが1%ないというパズル
興味があれば。

また「民間資産が債務残高上回ってるからセーフ」という説明もあります。
これはこの記事の主張と結論は同じで、「いざとなれば(増税その他の手段によって)国内で処理できる」ということです。

  • また

ギリシャは日本とは全然違いますが、イタリアの財政危機はかなり参考になるかもしれません。

  • 結論

日本はギリシャにはなりません。
増税できるからです。

  • 関連

Streets of Athens | Reuters.com
暴動になると必ず姿を現すという喧嘩好きの謎の犬がギリシャで話題に(画像+動画)
世紀末国家ギリシャの画像集。
上は少々ショッキングかもしれません。
下はほのぼのです。

*1:逆になんで今まで扱いがあんなに小さかったのかは疑問ですが

*2:民主主義政治である以上、政治家がろくでもないってことは国民もろくでもないってことです。これも一緒ですね

*3:「一人あたりの所得」では日:希=4万ドル:2万8000ドルと一気に差が縮まる

*4:三面等価の原則。そういえば「デフレの正体」の人は三面等価の原則は教科書の理論で現実には成り立たないとか謎の著述を残してたけど・・・

*5:あ、僕も増税賛成派ですよ

*6:本論とずれますが、オーストラリアが社会保障費ほぼゼロになっています。これは社会保障制度がないということじゃなくて、「財源は税金による一般財源と利用料で賄い、かつ、国による社会保障で不足する部分は民間サービスを利用するという方針」ということのようです。http://www.dcnet.gr.jp/retrieve/kaigai/pdf/au09_care_04.pdf。多分ニュージーランドとかも同じでしょう

*7:増税は融資をもらうための条件でした

*8:現在1%。いやまあそもそもこれがおかしいんですが

*9:ただそうなる前にちょっとずつ増税して財政健全化した方が利口だし、被害は少なくてすみますよね