四十三庵

蔀の雑記帳

すき家(ゼンショー)の思い出から人間を無視した利益至上主義経営に資本主義の本質を見るか

なぜ、牛丼「すき家」は強盗被害がダントツに多いのか?

ニュースを見ていたら、また「すき家」店舗に強盗が入ったようだ。警察庁などによると、「すき家」の強盗被害は一昨年24件で飲食店トップ。昨年は57件と倍以上に増加。しかも、飲食店を狙った昨年の総数は121件で、その半数近くが「すき家」だった。2位の吉野家(7件)、松屋(0件)を引き離してダントツ。さすが、外食の雄である(←もちろん皮肉)。

一年(365日)で57件あるということは、単純計算で、一週間に一度くらい強盗に入られている計算になる。
もうネット上ではかなり有名だけども、すき家は強盗が異常に多い。
ニュースを見てれば、「またか……」という思いがする。
なぜこんなに多いのかというと、理由は簡単で、すき家は深夜に店員が一人で勤務しているからだ。

僕は大学二年の春学期に、半年ほど一人暮らしをしていた。
親からの仕送りは二万で、家賃生活費は自分で捻出することになっていたから、とにかく金がなかった。
そこでバイトをしないといけなかったので、とりあえずすき家の深夜バイトに応募した。

面接会場は池袋のすき家の二階か三階。
船橋あたりの店を希望していた人も池袋で面接ということになったらしい。
一人の面接官に対して、面接者が四人。
僕と、太った男と、演劇かなんかやってる割とかわいい女の子と、後もう一人いた。
提出する書類には、希望シフト時間も記入するように言われていて、僕は全部深夜シフトにした。
結果から言うと落ちたんだけど、今思うと全部深夜にしたのがいけなかったんだと思う。

面接官は太った女だった。
言葉遣いや説明は丁寧だったが、どこか機械的な印象を与えた。
今思うと彼女も社員とはいえ、ろくな待遇を受けていなかったのではないか。
志望動機と希望勤務地・時間などを順番に訊ねていくと、そのあと面接の時点で軽く仕事内容について説明した。
その説明のなかに、深夜の一人体制の説明もあった。
すき家の深夜シフトは全て一人でお店をまわして頂きます。
注文、調理、掃除、レジ、準備、全てを一人でやっていただかなければいけません。
強盗が入ってきた時は、抵抗しなくていいので、すぐにお金を渡してしまってください。皆様の命が一番大事なので」
そんな説明だった。

だからまあ、すき家のバイト教育というのは、
「強盗がきたら金渡せ」
と指導している訳で、そら強盗に優しいイメージがつくのも当然の話。

そんなに強盗に入られて利益が出るのか、と思う方がいるかもしれないけど、出てるんでしょうがない。
レジの中に入ってる金というのは、せいぜい6万〜10万くらいで、強盗一件で多くても10万円の損失となる。
57件あったとしても、たかだか570万円の損失。
仮に深夜勤務を二人でやらせた場合、深夜バイトは時給1000円以上かかる。
一人のバイトを深夜に8時間毎日雇ったとすると、単純計算で292万円/年*1かかる。
これを全店舗でやるとなると、
すき家 深夜2人体制にしたら38億円も負担増\(^o^)/  利益が8割減っちゃう
38億円という、割と恐ろしい費用になる。

つまり強盗のコストというのは、人件費よりもよほど安い。
「強盗されてもバイトは雇うな」という訳だ。

  • 利益至上主義経営について

企業の利潤というのは、次の式で出せる。

利潤=売上-費用

これがビジネスの基本であって、
今の先進国の企業のように、売上が頭打ちになって、
将来的にあまり劇的な伸びが期待できない(途上国の市場拡大頼み)となると、
いかに費用を削るかが、利潤を伸ばせる企業と伸ばせない企業の差になってくる。

すき家を経営しているのはゼンショーという会社なんだけども、*2
カルロス・ゴーンにせよ、現代の優秀な経営者というのは、得てしてコストカッターである。

折角なので、
吉野家
松屋
すき家ゼンショー
の利益がどうなってるか見てみよう。

吉野家2011年2月期

売上高 171,314百万円
営業利益 5,116百万円
経常利益 5,509百万円
当期利益 382百万円

なんか吉野家経常利益から当期純利益からの減少分が大きすぎるので、
更に詳細なIR情報見てみたら、
やたらごそっと税金とられているよう。
松屋2011年3月期

売上高 70,221百万円
営業利益 4,673百万円
経常利益 4,702百万円
当期利益 2,177百万円

すき家2011年3月期

売上高 370,769百万円
営業利益 17,660百万円
経常利益 15,791百万円
当期利益 4,735百万円

これ見たら分かる通り、売上高では吉野家松屋に去年勝ってたんだけど、結局利益で見ると吉野家は惨敗。

ただこれ見てつくづく思うのは、誰のための利益なのかなあと思ってしまう。
僕は「企業は利潤を稼いでナンボの組織だ」と思ってるので、吉野家はクソだと思うけども、
だからといってすき家みたいな店員を人だと思ってないような経営というのもクソだと思う。

「深夜バイトを一人にするか二人にするか」なんていうと下らないごく瑣末な経営問題だけれども、
意外とこれは資本主義の本質みたいなものに食い込んできていて、
結局資本主義というのは突き詰めていけば非人間的なものなんだと思う。
なんか結論・主張のない記事になったけど、これで終わり。

すき家/深夜の時間帯の1人勤務を解消

*1:=1000円×8時間×365日

*2:店の名前と上場企業名が一致しないのは有名所でも結構ある。ユニクロとファーストリテーリングとか、ディズニーランドとオリエンタルランドとか。すき家もその一例