四十三庵

蔀の雑記帳

「若者は投票率が低いから意見が届かない」のウソ

あまり政治ネタは書かないようにしていますが、本日は扱おうと思います。
大阪府知事大阪市知事が決まりました。
橋下徹が当選したようで、なかなか話題になっています。*1

  • 名ばかりの平等選挙

市長選は「橋下効果」もあって、投票率は60%を超えたそうです。
それはそうと、若者が選挙に行かない、というのは昔からのことです。
どんな統計を持ってきたとしても、それはあるでしょう。
それは否定しません。
ただそれをもって「若者はけしからん」と言えるのかどうか。

実は今の日本ではもう一人一票式の選挙は、平等選挙の原則に完全に反しています。
議員定数不均衡問題は高校の政経ですら扱っている問題ですが、未だ対策されていません。
この「一票の格差」はまたどっか別の人に議論してもらうとして、平等選挙に反している点はもう一つあります。
むしろ僕はこちらの方が重要だと思っているんですが、
それは若年層と中高年層が選挙に与える影響の格差です。

  • 大阪府のケースで見る若年層と中高年層の票数の差

ご存知の通り、日本というのは少子高齢化が進んでいます。
そんな国で、一人一票の選挙を行えば、当然中高年層の影響力が大きくなるのは火を見るより明らかというものです。

では大阪府のケースで、どんな状況になってるのか見てみましょう。
*2
こちらが大阪府の年齢別人口。*3
ざーっと見た感じでもやばそうなにおいはしますが、
選挙というテーマのために、少し編集したグラフを見れば、僕の言わんとしてたことはわかってもらえると思います。
*4
大阪府には800万人ちょいの人口がいます。
選挙権が与えられるのは二十歳からなんで、二十歳未満のガキども150万人*5いても
選挙結果に与える影響はゼロです。
二十歳になって選挙権がもらえたら、その後死ぬまでその権利は失われません。
このグラフは便宜上、

〜20歳まで(選挙権ナシ組)
20〜29歳(若年層)
30〜39歳(若年層と中年層の間)
40〜49歳(中年層)
50〜59歳(中年層)
60歳〜(定年以降。高齢者層)

という風に分けています。

見て分かる通り、二十代は100万人しかいないのに、高齢者層は250万人いるんですよね。
仮に投票率が100%だとしましょう。
そして「50歳以上の中高年層全員が得して、49歳未満の若年層が損する」ような政策を提唱する政治家を選挙したとしましょう。
この人口構成では、「50歳以上」vs「20〜49歳」だと、「50歳以上」の方が多いので、その政治家は当選します。
おめでとうございます。

  • 日本全体で見ても同じ

さて、大阪府のケースでみましたが、日本全体でも状況はかわりません。

仮に投票率が100%でも若者の意見が政治に反映されることはありません。
80年代くらいの人口構成で若者が選挙に行かなかったっていう状況は、
「だから若者はけしからん」と言ってもある程度根拠はあったんでしょうが、
今、こういう状況で「若者はけしからん」と言われても……
勝ちの決まったゲームをする年寄りに付き合う若者がいるんでしょうか?
もしかして「けしからん」のは高齢者なのかもしれませんね。*6

もちろん若者の投票率が低いせいで、このただでさえ世代で不均衡があるものが、
更に助長されている面はあるので、行きたい人は行けばいいと思いますが、
それを他人に強要したり、あまつさえ「そういう態度を日本を悪くしている」と言い出すのは勘弁して欲しいものです。

  • まとめ

選挙行くくらいなら家で寝てましょう。

  • 出典

グラフに使用したデータは全て「II. 各年10月1日現在人口(平成22年)」より。

*1:その流れに乗ろうという訳です

*2:タイトル横の2011年は2010の誤りです

*3:出典は最後に

*4:同じく2011は2010の誤り

*5:これが実はかなり少ないというのに気づいてもらえると時間がこの問題を解決してくれるどころか深刻化させるだけというのもわかってくれるでしょう

*6:「もしかして」ではないですが