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四十三庵

蔀の雑記帳

佐藤優「国家の罠」は鈴木宗男=後醍醐天皇の「神皇正統記」か?

鈴木宗男元議員を仮釈放へ 収監1年、6日にも


 鈴木宗男衆院議員

 受託収賄やあっせん収賄など四つの罪で懲役2年、追徴金1100万円の刑が確定し服役中の新党大地の代表鈴木宗男衆院議員が、12月6日にも仮釈放されることが、複数の関係者への取材で分かった。

 鈴木代表の服役期間は、捜査や公判段階での勾留日数が差し引かれ、満期だと昨年12月の収監から約1年5カ月後の来年4月の見通しだった。

 最高裁は昨年9月、一、二審の有罪判決を不服とした鈴木代表側の上告、異議申し立てを相次いで棄却。鈴木代表は10月に食道がんの手術を受けた後、12月に収監され、喜連川社会復帰促進センター(栃木県さくら市)で服役していた。

という訳で、鈴木宗男元議員が仮釈放となりました。
あまりニュースでは(逮捕の時と比べると)大きく取り上げられませんでしたが、
佐藤優国家の罠」をつい最近読んで僕にとっては引っかかるニュースとなりました。

僕が今持っている疑問は、幼稚な言い方で率直に表現すると、

鈴木宗男は正義か悪か?

ということです。

彼の逮捕された、2000年前半の時期というのは、小泉総理のもと、
政治がワイドショーで大きく取り上げられていた時期でしたが、
僕自身は政治にさほど興味がなく(今でもないですが)、小学生か中学生くらいの時期だったので、
鈴木宗男の印象というのは、非常に断片的に、「ムネオハウス」だの辻元清美議員に「疑惑の総合商社」などと揶揄されていた、
ネガティブなイメージが植えつけられています。
恐らくそれが多くの日本人に植えつけられたイメージであって、
「影響装置」*1としてのマスメディアの本領発揮というところでしょう。

佐藤優の「国家の罠」を読む限り、この鈴木宗男像は完全な誤解ということになります。
佐藤優の著述によれば、外交というのは深謀遠慮にもとづくもので、また接待や食事というのも重要な「外交」の一つで、
その辺りの外交の論理がわかっていないマスコミが、「外交費の不正流用」として糾弾した、
というのが鈴木宗男事件の構図です。

彼の本に出てくる鈴木宗男像は、恐ろしく美化されていて、
「人への嫉妬心というものを持たないので、人から自分が嫉妬されてもわからない」
「真に日本の国益を考えている数少ない政治家」
として描かれています。

メディアの提示する典型的汚職政治家である鈴木宗男
佐藤優の描く北方領土奪還にむけて尽力している鈴木宗男
180度対立する、悪の鈴木宗男像と、正義の鈴木宗男像が僕の中に並立する状態になっています。

南北朝時代南朝北畠親房が「神皇正統記」という歴史書を書きました。
これは北朝に軍事的・政治的には完全に敗北した南朝が、その歴史的正当性を書いた歴史書です。
徹底した自己賛美・自己正当化・自己弁護に溢れた歴史書です。

もし鈴木宗男が悪であり、佐藤優も単なる自らを正当化したいだけの典型的官僚と見做すなら、
国家の罠」はまさしく現代の「神皇正統記」でしょう。
「嘘はすぐばれる」と大人は子供に教えて、「嘘はだめだよ」と諭すものですが、
実際大人も嘘をつきますし、大人の嘘というのは厄介です。
オリンパスの不正会計だって、あれは大人の嘘です。
結局内部の人間(ウッドフォード)が告発しなければ、僕も含めて、
誰もオリンパスが嘘をついているということはわからなかったでしょう。

理路整然としていて、自分の価値観に合致するような文章は、真実に見えてしまいます。
しかし、印象というのはひとつの手がかりではありますが、全く根拠にならないのです。

しかしどうしても僕には「国家の罠」が嘘を書いているようには読めません。
たしかに自分を美化しすぎている傾向はあるが、
それはむしろ佐藤優本人の率直な認識を反映しているだけで、けして虚偽を書いているのではない風に見えます。

鈴木宗男本人と会ったことのない、会うことのできない僕としては、
今後の彼の挙動を注意深く見るしか、真実を知る方法はありません。


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