読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

四十三庵

蔀の雑記帳

ノート;ミクロ経済学4(家計;所得効果と代替効果)

ノート;ミクロ経済学1(ミクロ経済学の設定)
ノート;ミクロ経済学2(家計の効用最大化問題1)
ノート;ミクロ経済学3(家計の効用最大化問題2)
の続きです。

労多くして実り少ない記事なので、あんまりモチベーション上がらないんですが、
たま〜に読んでくれてる人がいるようなので、続きを書こうと思いまして。

  • 需要関数

前回まででシコシコ家計の効用最大化問題を解いた訳なんですが、
そこで最後出てきたx1*が、
Iとpだけで表現された式は、財x1の需要関数と考えられます。

  • 内生変数と外生変数

1〜3を読んでくれればすぐわかると思いますが、
I(所得)やp(財価格)については、効用最大化問題を解くことで数値が明らかになる訳ではなくて、
最初っからI=100万円、のような形で与えられています。
このように、モデルの外から値が与えられているものを外生変数と言います。

反対に、x1やx2のように、
モデルの枠組みの中で数値が決定できるようなものを内生変数と言います。

  • 所得効果と代替効果

学部のミクロ経済学で一番重要なのが、所得効果と代替効果に分解するトコ、と言っても過言ではありません。
ミクロモデル立てて、その中の外生変数が動いたとき、内生変数にどのような影響があると理論的に言えるのか。
そこがミクロ・マクロのキモの部分です。
結論を先取りすると、理論的に断言できるものと、断言できないものにわかれます。
「そうなれば、こうなる」と言えるものと、「Aならば、上がるし、Bならば下がる」という具合に、
ちょっと弱い結論しか出ないものとにわかれるのです。

ここでは、財価格p1が上昇した場合に、
財需要x1、x2がどうなるかを考えます。
複雑な話になるので、頭を柔らかくして考えてください。

●所得制約式
最初に効用関数と所得制約式を再確認しましょう。

効用関数は無差別曲線という書き方してましたね。
所得制約式は

p1X1+p2x2=I

という式でした。
わかりやすく、x2=……の形にすると、

x2=I/p2-(p1/p2)x1

となりますね。
中学の数学っぽい記号で書けば、

Y=c/a-(a/b)X

っていうのとほとんど変わらない一次方程式です。
で、X1X2平面に書くと、傾きが−p1/p2となります。

傾きにp1が入ってるので、p1が上がる、つまり財X1の価格が上がると、予算制約式の傾きは変わります
具体的には、傾きがゼロに近づくほど水平に近く、大きくなると垂直に近くなるため、
「X1上昇→傾き大きくなる→予算制約式垂直に近く」という変化が起きます。

しかし変化するのはこれだけではありません。
p1は上昇したのに、所得Iは変わってませんから、家計が消費できる財の総量は下がってしまいます。

抽象論だとわかりにくいので、例を出して考えましょう。
今まで六万円の可処分所得を、二万円食費、四万円遊興費という風に割り振っていった家計があったとしましょう。
全国的な異常気象の影響で、スーパーの食材価格が上がったせいで、
今までと同じ量の食事をしていたら、食費が三万円かかるようになってしまった、と想定します。
するとまず、

1.食事の量を減らす。

ことになります。
けれども、食事の量を減らしても、食材価格が上がってるので、前と同じ6万円の所得でも、
得られる食事・遊びの量は全体として減っている訳です。
所得の名目額は変わってないのに、貧しくなってる訳ですね。*1
消費量が減ると、効用も減ります。*2
いくら食事の量を減らしたりしたところで、

2.効用水準の低下

は避けられないのです。

実はこれが、代替効果・所得効果の直感的な理解です。
ミクロ経済学では、p1の上昇による、財需要の変化を、二つに分解して考えます。

●代替効果
p1の上昇によって、予算制約式の傾きが変化します。
効用水準はそのままで、最初に(X1,X2)の組み合わせの変化だけを考えます。

最初①の状態にあった財需要が、p1の上昇で②に変化します。
これが代替効果です。
代替効果によれば間違いなくX1は減少、X2は増加します。

●所得効果
話はこれだけで終わらず、財価格の上昇で、効用水準が下がりますから、このようになります。

片方の財価格上昇によって、全体としての消費量が下がることになります。
これが所得効果です。
所得効果では、X1、X2ともに減少することになります。

●結局どうなるか
以上の議論をすべて結合するとこうなります。

p1の上昇に対して、X1は必ず減少します。
しかしX2に関しては、

代替効果>所得効果のとき 増加
代替効果=所得効果のとき プラマイ0
代替効果<所得効果のとき 減少

と、ケース・バイ・ケースとなって、確定することができません。
このグラフでは増加ということになってますが、減少するグラフも書けます。

  • 代替効果・所得効果を算出する?

勘のいい方なら、「なんで効用最大化のときはゴリゴリ数式で押してたのに、
所得効果・代替効果の話はグラフ中心で議論してるんだろう?」と思ったことでしょう。

実は代替効果・所得効果の「量」も、算出する方法はあるんですが、
スルツキー方程式というのを使うので、かなり難しいのです。
武隈ミクロの2.6に出てるので、興味があれば参照していただければ。

●次回予告
次回やるとしたら、財に関する諸々のアレをやりたいと思います。
補完財・代替財や奢侈品、価格弾力性などをやりたいな、と。
それで家計部門を終わらせたいです。(了)

*1:これ結構深い話で、所得が6万でも、食材の価格が上がっていけば、相対的に貧しくなる。急速なインフレが起こると、家計のやりくりはたとえ名目所得が落ち込んでなくても苦しくなる。中国などで実際に起きている状況です。日本で二十年生きてるとあまりインフレってリアルに感じられませんが……

*2:モノが減っても楽しく幸せに生きるブータン式生活術とかなんかそういうのは、まあ置いとくとして