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四十三庵

蔀の雑記帳

IT技術者たちの待遇がイマイチ悪い理由

仕事 IT

Twitter上で文理論争がやかましいので、昨日あたりに思いついた「IT技術者の待遇」の記事を書く。

  • IT技術者の待遇は悪いか?

IT技術者の待遇が悪いかどうかという点について、
僕は「当然悪い」と思っていたのだけども、労働経済学やってる教授にそのことを尋ねっと、
「いやそんなに悪くはないよ。もっと悪い職業いくらでもあるよ」みたいなことを言ってたんで、
もしかすっと「IT技術者の待遇が悪い」という僕の認識そのものが間違ってるかもしれない。

しかしいずれにせよ、プログラミングなどの高度な知的作業を行なっているのに報いる程の給料・待遇が得られているかというと、
「得られていない」のではないかな。
ネット上では「IT土方」と呼ばれるほど、SEの悲惨な勤務状況は有名だし、
ブラック企業につとめているが俺はもう限界かもしれない」の舞台も、システム開発の会社だった。
GoogleFacebookみたいな大手だとまた事情が違うのかも知れないが、中小・ベンチャーだとかなり悲惨な勤務実態があるように思われる。
僕が出会った元SE(システム・エンジニア。ソフトウェアのプログラムを書く人達)の塾講師は、
「SEは奴隷」
と言っていた。

  • 技術者の待遇は悪いか?

IT技術者から一歩引いて、技術者全体の給与・待遇について。

基本的に賃金・福利厚生は、会社が

1)売上を伸ばして
2)人件費以外の費用を抑える

ことで増加・改善することになる。
影響をあたえるのは、この二つであって、「技術力」ではないのだ。
「日本企業には優秀な技術者がいる」と言っても、別に学術論文書いてノーベル賞もらうような素晴らしい科学者であったとしても、
企業で好待遇受けたければ、その素晴らしい技術とやらを金に換えなければいけない。

Appleにせよ、Facebookにせよ、莫大な収益あげてるけど、この二社と同じことは、
「日本の優秀な技術者」さんたちであれば、技術的にはすぐに出来るだろう。
Mac book air」もどきのUltrabookも作れるだろうし、「Facebookもどき」*1も作れるだろう。
場合によっては、もっとすごいものが作れるかもしれない。
Mac book air」より薄い、東芝「UltraDynabook」も作れるだろう。
確かに、技術的に見れば、東芝Appleに勝るものが作れる。
けどそんなこたあ消費者から見れば意味ないのだ。

「技術力」がストレートに「利潤」に反映されないから、
卓越した技術を持ちながらも、低賃金低待遇を受けるIT土方が産まれる。
なんのスキルもなく、「仕事は脚で稼げ!」とか言ってるアホ営業に給料で負ける場合すらあるのは、
理不尽といえば理不尽だけども、しかしまあ金儲けの世界というのは得てしてそういうもので、
それが嫌なら大学に残り、「学問の世界」で研究を続けるべきなのだ。

  • なぜ「IT土方」が産まれるのか

技術者全体に、「技術力のわりには報われない」職種であるのは言える。
しかし技術者の中でも、SEは特にその度合いが強い。

これは

コードは書いた人間が区別できない

ものだから、というのが一番デカいと僕は思う。
その辺の学生バイトが参考書読みながら必死こいてつくったコードと、
ザッカーバーグが入力したコードを見分けることは、末尾に名前でも書いてもらわない限り我々一般人には不可能だ*2*3

たとえば「アルバイトの申し込みシステム」のプログラムを書くチームを考えよう。
「このコードは私が書きました!」
「この都道府県を郵便番号入れれば自動的に検出できるコードは私が!」
なんていう風に、いちいち差別化して評価するだろうか?
しないだろう。
完成したシステム全体、完成させたチーム全体で評価されるだけだ。
となると仕事が差別化できない労働者の賃金を、差別化するのはこれまた難しい。

SE同士の間では、「あの人はすごい」「あいつはホントにチームに迷惑かけてるだけだ」という風に、
仕事への貢献具合がある程度把握できているにせよ、給与を決めるのは経営・人事であって、
そいつらが把握できない情報なので、貢献具合が賃金に十分反映されないのだ。

  • まとめ

1.技術力が高くても、収益に結びつかない
2.コードが差別化されていないため、誰の作業か判別できない

この二つが悪い方向に結びつくとき、つまり

1.複雑なプログラム書いてるけど、収益は全然上がってない
2.足を引っ張ってる同僚がいても、「チーム全体」で評価される

という状況になったとき、IT土方が産まれる。(了)

*1:mixiとかいう終わコン

*2:コードの綺麗さ・特徴などで「分かる人」には分かるのかもしれないけど、かなり難しい判別作業になる

*3:ただだからこそ、入社20年目のベテランと入社2年目の下っ端の書いたコードでも同じだから、IT企業はフラットな組織が多いといういいトコもある