四十三庵

蔀の雑記帳

日本の電機産業は日本人が期待するほど、競争力はないが、がっかりするほど終わコンではない


ちょっと旬は過ぎてしまったが、電機産業の話を。

日本は「ものづくり大国」などと言われていたわけ。
製造業が強い国であった。
その中でも特に強い分野が、

電気機械(電機)
自動車
建設機械(建機)

の三つであった。
自動車産業は言うまでもなく、売上台数世界一になったこともあるトヨタや、有力企業がたくさんある。
建機に関してはキャタピラー社に次いで世界シェア2位のコマツがある。
(日本の建機が強いっていうよりはコマツが強いって言ったほうが正しいかもしれない)

電機といえば、SONYパナソニック(旧松下電器)、NEC東芝など、
「日本の大企業」という感じの、そうそうたる企業が存在して、世界で「Made in Japan」を広めてきた。
その電機産業に異変が起きている。*1
●業績

電機4社が巨額赤字 日立は過去最高益で明暗

電機大手8社の2012年3月期連結決算が11日、出そろった。パナソニックが製造業で過去最大級となる7721億円の
純損失に陥ったのをはじめ、ソニー、シャープ、NECの計4社が純損益で巨額の赤字を計上。
一方で、日立製作所は過去最高益を更新し、明暗を分けた。

純損失はソニーが4566億円、シャープが3760億円、NECが1102億円。価格下落が激しいテレビなどの事業の不振が大きく響いた。

東芝は純利益が前期比46・5%減の737億円で、富士通三菱電機も黒字を確保したものの前期より減少。
各社とも東日本大震災や円高による打撃を受けた中、インフラ事業などが好調で業績を支えた。

売上高は日立を除く7社が減収となった。日立の純利益はコスト削減や一部事業の売却益も貢献し、45・3%増の3471億円だった。

13年3月期の連結純損益では、シャープを除く7社が黒字を見込む。テレビ事業を中心に工場売却や人員削減を
進めてきたパナソニックは、500億円の黒字に回復するとの見通しを公表した。

シャープは台湾企業の出資を受け入れ、液晶事業などの立て直しを目指すが、300億円の赤字を予想している。

●株価

【相場雑感】電機ボロボロ…
           ITバブル高値 現在値   下落率
6701 NEC        3450     153    -95.57%
6702 富士通      5030     390    -92.25%
6758 ソニー      16950     1343    -92.08%
6752 パナソニック   3320     593    -82.14%
6753 シャープ     2675     533    -80.07%
6501 日立       1709     403    -76.42%
6502 東芝       1280     321    -74.92%
6503 三菱電機     1244     684    -45.02%

直接的な原因はテレビが大コケしたせいっていうのもあるんだろうけども、それにしてもひどい数字である。

で、これを受けて
「電機は終わコンだ」
「もう中国韓国には勝てない」
ソニーは潰れる」
という悲観論一色になっている。
僕も最初このニュース見たときにそう思ったんだけど、ようかんがえるとそれはちょっと過剰反応だった。
実際に製造業が終わコンと化してしまったアメリカでも、ゼネラル・エレクトリックは昔ほどでないにせよ、それなりの業績上げている。
きっとソニーやパナも、そういう感じになってくんじゃないかなあと思う。

  • 日本の電機産業の競争力について

そもそも「電機は終わコン」と単純に語ってしまうが、電機にもパソコンつくったり、テレビつくったり、
洗濯機つくったり、半導体つくったりと、一口に電機と言っても商品ごとに微妙に状況が違う。

※(注)
貿易統計によって(輸出-輸入)/(輸出+輸入)を計算したもの。ただし海外生産に伴う逆輸入などについては補正を行っている。
(分類)
民生用電気電子→冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン、ラジオ・テレビ受信機、ビデオ機器、電気音響機器
重電→発電機、電動機、開閉制御装置及び配電盤、変圧器・変成期
コンピュータ→電子計算機、磁気ディスク、入出力装置などの電子計算機付属装置
通信機器→有線電気通信機器、無線電気通信機器、その他通信機器
半導体半導体素子、集積回路ダイオードトランジスタ
電子部品→電子管、液晶素子、磁気ヘッド、電子回路基板、コンデンサ、抵抗器、スイッチ、音響部品

2005年までの情報しかないのが不満だが、電機の分野ごとの競争力に差があるのは見て取れると思う。
国産コンピューターがクソだというのは体感的にわかると思うが、実際競争力はほとんどない。
NEC東芝のゴミPCは、日本人でもない限り、なかなか買わない。
しかし電子部品のような細かい製品に関しては、まだ若干の優位性が残っているらしい。
エルピーダ破綻を考えると、7年後の今どうなってるのかは疑わしいけども)

  • 電機の進みべき道

電機産業が持ち直すためには、「選択と集中」を行わなければいけない。

1.テレビ事業からとっとと撤退する
2.白モノ家電から撤退する
3.ワクワクするような商品をつくる
Apple的な。ただ多機能なだけではない。
日本の電機産業というのは「とりあえずこの機能はおさえときたいよね」という感じでかなり横並びの製品つくって、
それで「いい商品をつくれば売れる」というスタンスでいる。
しかし東アジアの技術的なキャッチアップで、一通りの機能がそろった商品であれば、もっと安価に提供できる国がある。
完全に労働コストの差なんで、これはもうどうしようもない)

あたりが鍵か。
でもアメリカの企業だったら、1,2は迷わずできるんだけども、
日本の場合解雇規制が厳しいので、一つの事業を潰すと、そこ担当だった社員たちを今後どう配置転換するかっていう問題がでてくる。
経営者がそれを避けるために、不採算部門を切れないっていうの、よくある話っぽいんだけど、
そうなったときが本当に「ソニーが潰れる日」なのではないかなと思う。

  • 参考文献

東アジアエレクトロニクスデータベースの構築と日本企業の国際競争力の分析
競争力云々はこっからとってきました。

*1:経済情報番組っぽい展開