四十三庵

蔀の雑記帳

FacebookのIPO(株式公開)

みい 2012/06/14 05:17
シトミ様、フェースブックIPOをお話聞かせてください。

珍しくリクエストを頂いたので、FacebookIPO(新規株式公開)について記事を書こうと思う。

  • 基本的に上場したての会社の株は上場したときの株価より下がる


Facebook株は5月18日に上場して、最高値45ドルをつけた後にずるずる下がっていって、
25ドルまで落ちて、今やや持ち直してる感がある。

なんかFacebookに期待しまくってた人達は、この値下がりが信じられなかったようだし、
熱烈なFacebookアンチは「ざまあみろクソども」と思ったようだ。
けどそんなに驚くことはなくて、基本的に上場したばっかの企業は9割以上が上場した最初の株価よりも下落する
優良企業に成長していくのは、上場してからも利益上げ続けて、その下落を跳ね返して、株価を上げていく。

数少ない大成功した企業の例ばかりとりあげられるので、ここを勘違いする人が多い。
株価を見る時も専門家か余程の暇人*1でもない限り、まずは有名企業のモノを見る。
企業のビジネスにおいて、「知名度」というのは非常に重要な要素で、
「有名である」というだけで、そのビジネスはもう60%以上成功すると言っていい。

株を考えるときも、我々には知名度バイアスがかかっている。
DeNAGREEなんかの株であれば、割と上場してすぐ株価が下げ止まって、
ソーシャルゲームスマートフォンの流行に乗って株価も上昇していった。


Facebookのビジネスモデル云々の話の前に、まずこの点について詳述しよう。

  • 「上場ゴール」

上場ゴールという言葉がある。
上場したその日に最高値をつけて、その後猛烈に売り浴びせられて、2,3年株価が地を這うような動きをする株だ。
9割以上の会社が、「上場したその日が最高値」という流れになる。
知名度のない会社であれば尚更で、仮に事業そのものは上手くいっていても、
知名度がないために投資家から期待が集まらず、買いが集まらない。
そうなると事業が上手くいってることを知っている投資家も買い控えてしまうので、
結果からすると買わないのが賢明ということになる。*2

具体的に上場ゴールの例をあげると、
ドリコム(3793)

モバイル/PC 向けのエンタメコンテンツの企画・提供やマーケティングソリューションの開発・提供を行うIT企業

だそうだが、正直よく知らない。
典型的な「上場ゴール」のチャートだ。

(元ネタ)
岡三フェイスブック指数の17銘柄にIPOバブルの申し子ドリコム

もっと上場ゴールの例が欲しければ、市況かぶ全力2階建で「上場ゴール」と検索していただければ、
クソ企業がざくざく出てくると思う。

  • 上場のメリット

「上場ゴール」は結構会社の運命としては悲しい展開であるけれども、会社の経営者から見るとメリットはある。
そもそも株式の発行というのは企業の資金調達のためにある。
「上場ゴール」だろうがなんだろうが、何万株という単位で株式が発行できれば、
後に公募価格が下がったとしても、企業には多額のキャッシュが入ってくる。

後給料にストック・オプションが入ってたりすると*3これも経営者の利益になる。

とにかく、経営者(所謂社長)にとっては、株式上場は仮に上場ゴールになっても儲かる。

日本では最近ライフネット生命IPOが話題になった。
ライフネット生命という会社は岩瀬大輔という一種のカリスマ的人気のある経営者が副取締役を務める会社だ。
(取締役は出口なんとかという人)
経歴見ると大したモンで、イギリスに子供の頃滞在経験がる帰国子女で、
開成高校に入って東大法学部に進学し、在学中に司法試験合格。
卒業後、ハーバードビジネススクールに留学してMBAとったり、とまあ、履歴書見せたら相手が失禁しそうな経歴になってる。
「金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記」を読んだことがあるが、とにかく嫌味ったらしい野郎である。

で、ライフネット生命は「ネットを利用した格安生命保険」という触れ込みで、
契約件数自体は堅調に伸びていて、認知度も上がってきている。
株価がどうなってるかというと、こんな感じ。

上場した後も、世間の期待感は大きく、
公募価格を上回る場面もあったが、結局はずるずる下がってきている。

僕は割とライフネット生命の将来に対しては楽観的なので、どっかで反発するんじゃないかなあと思ってる。
「知名度」「期待感」は十分岩瀬さんがメディア使って上手いこと煽ってるので、本業の黒字化が鍵だろう。

個人的には「SNSが世の中を変える」っていうのは強調されすぎじゃないかなあと思わんでもないけど、
実際Facebookの利用者数は億単位になっているし、日本でもどんどん広まっていく。
Facebookは特に外国人とカラミ持ちたいときはクッソ便利なツールなので、
色んな批判はあると思うが、基本的には今後数年間は利用者拡大が続くと思う。

むしろ懸念すべきは「どうやって収益を出すか?」の方だと思う。
収益というのは売上からコストを引いて出てくるわけだけども、
フェイスブクーの場合、コストはサーバー管理とエンジニアの人件費くらいなもんで、他業種に比べて著しくコストが安い。
それが営業利益率47.3%という割とすさまじい数字を達成するのにつながってる。
(参考)
Facebook社の連結財務諸表を読む

フェイスブクーは御存知の通り、利用者から金をとっているわけではない。
彼らの収益源は広告収入である。
2011年は31億5,400万ドルだったらしい。
フェイスブクーの売上高の80%以上が広告収入である。
(出典)
「フェイスブック」の収益力と財務力を分析。やっぱりすごいのか、それとも・・・?
コストはもう十分低いんで、いかにして売上(広告料)を増やすかが、
今後フェイスブクーが成長していけるかどうかの鍵になるんだけども、これが結構難しい問題になる。
ITベンチャーで成功した企業はいくつかあるが、
どれも広告戦略における成功モデルを確立するまでには至っていない。
強いて言えば、Googleの広告戦略が一番成功しているのだろう。
最近ではYoutube見るときは、ほぼすべての動画にウザい広告が入るようになった。
Youtubeくらい動画サイトとしての覇権を確立すると、
多少ウザイ広告入れたぐらいじゃあもう牙城は揺るがないが、さてフェイスブクーはどうだろうか。

多分広告入れまくっても、Facebook利用者は増え続けるが、
長期的に考えると、あまり広告だらけになるのは印象がよくない。
そもそもなぜFacebookが広まったかというと、一つはFacebookの「Coolなイメージ」戦略が奏功している。
ロゴといい、サイトデザインといい、結構スタイリッシュでカッコいい。
それが結果的にリア充どもが遊び行った笑顔の写真をぺたぺた上げるツールとしては最適になったので、
日本でもmixiを駆逐しつつある訳だ。
広告入れちゃうと、確実にイメージダウンにつながる。

その辺りを上手いこと折り合いつけて、広告収入増やしていけるといいですね。

*1:わたくし

*2:これは個人的には市場の機能不全だと思う

*3:スティーブ・ジョブズさんは現金は年に1ドルしかもらってない話をきいたことがあるかもしれないが、アレは実際多額のストック・オプションがあったので、Apple株の値上がりで彼は多額の値上がり益を得ている