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四十三庵

蔀の雑記帳

発展途上国全てに喧嘩を売ろう

論考

先進国と発展途上国の経済のなにが違うのかは昔から僕のおおきな疑問だった。
最近僕のなかで一定の知見が固まったので、それを書く。

  • はじめに

以前「ギリシャ人勤勉説への反論」という記事を書いたところ、これがなぜか知らないが30はてぶくらいついた。
大体が批判的なコメントつきだった。
はてブの内容は大別すると二通りの批判点にわけられて、

1.証拠がない。
2.「労働時間が長い=勤勉」ではない、等
(アスペ気味に言葉尻を捉えて批判するコメント)

証拠がないというのは、OECDの労働時間調査の結果に対して、それが間違っている証拠が示せていないということで、
反論になっていないということであった。

あの記事の趣旨としては、明らかにOECDの元の調査結果がおかしかったから、
その統計が間違ってるとしたらこれが原因だ、という思いつく限りの仮説を並べた記事出あって、
それは流石に注釈がなくても読めばただ推測が並んでるだけの記事だとわかると思っていたが、
どうもはてブユーザーの方々はそこから書かないとダメだったらしい。

また勤勉という言葉、反論という言葉に引っかかってブコメ書いている人が結構な数いて、
「労働時間が長いことが勤勉とは言えない」というブコメをわざわざつけてくれた方がいた。
きっと彼らは「今日八時間勉強しました!」という記事を書いた受験生ブログのコメント欄にも、
「勉強時間が長いことが受験でいい結果をもたらすとは限りませんが、お疲れ様でした^^」と書いてまわっているのだろう。

あの記事読めばわかると思うが、別に勤勉という言葉を使ったのは、労働時間の長さを賛美している意図ではないし、
別にギリシャ人勤勉説だろうとギリシャ人長時間労働説だろうと、言葉はなんでも構わなかった。

とにかく意図としては、
ギリシャ人が韓国人につぐ長時間労働を行なっているとは考えがたい」
ということが言えればよかっただけだったのだが、アスペ気味のはてブ民には意図を汲み取るのは難しかったようだ。

さて、そのブコメの中に、このようなコメントがあった。

sea_side
!エントリー, 労働者, これはひどい
生産性が低い=怠け者って、発展途上国全てに喧嘩売ってるよね(´・ω・`) 2012/07/05

そんなことを言ったつもりはなかったが、蔀とかいうブロガーはそんな主張をしたらしい。
seasideとかいう方は、どうやら発展途上国の国民の民族感情には同情するけれども、同じ日本国のブロガーの文意は汲めない方らしい。
できれば発展途上国に向けた思いやりをすこしぐらい僕にわけてくれてもよさそうなものだが、
発展途上国を思いやる先進国の国民」の例によって、その思いやりは遠い異国のやせ細った子どもたちのみにしか喚起されないようだ。
大学4年の7月になっても就職先の決まらない大学生もそれなりに同情を惹ける存在だとは思うのだが。

そんな訳で、今回はなんで発展途上国が経済発展に失敗してるのかを書こうと思う。

  • GDPを押し上げる源泉

その国の経済的な豊かさは、通常GDPで測られる。
で、GDPはなにで決まるかというと、通常の経済学では、たった三つの要素で説明できる。

1.資本
2.労働
3.技術力

資本は生産のための工場設備や機械設備など、財をつくるために必要なモノ。
労働は生産に必要なヒト。
そして技術力はモノでもヒトでもなく、どのぐらい効率的に生産活動行えるかといういわばノウハウである。

上述の、GDPを規定する三つの要素は、更に簡単に書くと

1.モノ
2.ヒト
3.ノウハウ

と書ける。これだと簡単すぎてかえってわかりづらいくらいかもしれない。

基本的には、どんな国・民族であっても、この三つの条件さえそろえばそれなりの経済成長が実現できる。
19世紀に、先進国と呼べたのは、欧米の国だけだった。
白人だけが豊かになっていた時代だったが、20世紀になって、第二次世界大戦が終わると、
アジアの中で、日本が高度経済成長を実現した。
その後、アフリカでは南アフリカやケニア、ラテンアメリカではブラジル、中東ではドバイ、その他ロシア、オーストラリア、中国、東南アジア諸国など、
人種・環境に関係なく経済成長が実現することが確認された。

さてここで本題に入る。
なぜたった三つの生産要素さえそろえば経済成長は実現可能なのにもかかわらず、世界では未だに「貧しい国」が存在するのだろうか?

先ほど、GDPは三つの要素で規定されることを説明した。
モノ、ヒト、ノウハウの三つだった。
発展途上国で不足しているものはなんだろうか?
ご存知の通り、発展途上国は多産多死の社会であって、人口増加率は高い。
ヒトはたくさんいる。
圧倒的に足らないのはモノとノウハウである。
インフラが整備されていないので、非常にビジネスがしづらい。
上下水道・電気・ガスがなければ、大量生産式のビジネスはできない。
道路がなければ物流が破綻する。

通常のインフラストラクチャーであれば、この程度でよいのだが、
現実の発展途上国はもっと多くのインフラ不足を抱えてる。
たとえば法インフラ不足、金融インフラ不足である。
法律がインフラ不足であれば、刑罰は「犯罪を犯したのが政治家の子供かどうか」で刑罰は決められるだろうし、
金融インフラ不足は儲かるアイデアを持った企業が適切に融資を受けられない事態を齎すだろう。

そして発展途上国には、経済成長に必須のノウハウが欠けている。
同じような労働者、資本設備を持ってしても、生産量に差が出る場合がある。
たとえば、100人の労働者が、同じような工場で働く場合を考えて欲しい。
先進国の工場であれば、自動車が1万個作れて、発展途上国では自動車が1000個しか作れないような状況というのは当然あるわけだ。
その原因は言うまでもない。
ノウハウ(生産性)の違いである。
先進国の自動車会社の社員であれば、エンジニアが難解な自動車の仕組みを解き明かして、
文系社員がそれを営業で売り込むというパターンが確立されている。
発展途上国では、まず高度な知識を持った人材が不足している。
これが教育インフラの不足である。

そう。発展途上国には教育機関が不足している。
労働者はたくさんいるが、高度なビジネスを行うために必要なスキル・知能を持った人材は足りない。
したがって、発展途上国はモノ・ノウハウが圧倒的に足りていない。
労働力は余るほどいるが、高度な知的労働を行う労働者に関しては不足している。

さて、前節では発展途上国が資本・生産性の向上に失敗して、更には高度な知的労働者の育成に失敗するところを見た。
さてさて、一体なぜ発展途上国は資本形成・生産性向上に失敗するのだろうか?
その理由を列挙すると、

・戦争*1
・気候*2
・政治腐敗*3
・国民性*4
・インフラ不足 *5

だいたい発展途上国は、この5つのどれかにあてはまる。
戦争は言うまでもなくその国家の資本ストックをズタボロにする。
気候に関しては、サハラ砂漠東京丸の内のオフィス街を建てるのを考えたら自明だろう、
政治腐敗に関しては、特に独裁は、アフリカで深刻になっている。
ジンバブエではムガベ大統領の独裁体制が経済成長を阻んでいる。
で、国民性というのは、東南アジアみたいなのんびりした国では深刻で、インフラ不足はまあ上下水道電気ガス法律金融あらゆる分野で起こる。

だから、まあ、発展途上国の国民は、怠け者というよりは、愚か者なのだ。

  • 先進国の状況

先進国では、経済成長は実現した。
けれど、
・経済成長の停滞
・資本の限界生産の逓減
・賃金の停滞
・利子の停滞
などにより、1%前後の経済成長、ゼロ近傍の利子、下がる一方の賃金など、
今の日本のような状況が起こることになる。(了)

*1:含む民族紛争

*2:砂漠にニューヨークのビル街を建てるのは不可能である

*3:独裁、植民地支配含む

*4:金よりは楽したい

*5:前述のとおり