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四十三庵

蔀の雑記帳

監督の力で野球チームの勝率にどれだけ変わるか計量分析してみた

監督能力とチーム戦力の視点から考えるプロ野球

僕がやったわけではないけど、片岡剛士さんというエコノミストが、
2000年から2013年のデータで勝率と監督の能力とチームの能力の計量分析を行っている。
今回の記事はその紹介。

野球と統計の親和性というのは他のスポーツと比べて高い。
元々バッターの良し悪しを「打率」という数字で測ったり、ピッチャーを「防御率」という指標で測ったり、
数字で評価する習慣があるからだろうか。
マネーボール」という映画もちょい前に上映されて、
セイバーメトリクス」という統計分析を野球にとりいれたものも、メジャーリーグでは影響を与えている。

さて、今回紹介するのは、監督の力でどのぐらいチームの勝率が変わるのか、というのを統計的に出したものだ。
監督というのは、単にグラウンドで指揮をとるだけでなく、
シーズン前の選手の獲得・フロントとの交渉力などにも影響してくる。
今年日本一になった楽天星野監督も、選手の起用には僕も見てて納得出来ない場面*1があったが、
若手の育成と大物メジャーリーガーの獲得など、グラウンド内外での活躍があったからチームがここまで強くなった。

逆にパ・リーグ最下位になった日ハムは、二年目の栗山監督が、大谷翔平を使いたかったためなのか、糸井を放出して、結果として大幅な戦力の弱体化を招いた。
シーズン3位でCSはファイナルステージまで来たロッテの伊東監督は、戦力的には劣るロッテを、
しかもエース成瀬や唐川が不調・正捕手里崎が長期離脱という悪条件にも関わらず、
上手く今いる選手でやりくりして、シーズン中は長く一位を保った。

そんなわけで、今シーズンは監督がチームに与える影響の大きさを改めて感じるシーズンだった。

  • 定式化

勝率を被説明変数にして、

チーム勝率=a+b (平均打率)+c (本塁打数)+d (防御率)+e (監督効果)

という割とシンプルな定式化を行っている。
両辺対数をとって、

ln(チーム勝率)
=α+β×ln(チーム平均打率のリーグ平均からの相対値)+γ×ln(チーム本塁打数のリーグ平均から
の相対値)+δ×ln(チーム平均防御率のリーグ平均からの相対値)+(監督効果)

データからこの式を推定する。
その後一番監督効果が低かった「ダメ監督」が勝率5割を達成するために必要なチームの能力を弾く。
そのチーム能力において、監督効果上位の監督がどのぐらいの勝率を残せるかを出したのが今回の分析の趣旨だ。

  • 注意

データはあくまで2000年〜2013年のものである。
分析対象になっている監督は合計37人にのぼるが、その中の15人は2000年以前にも采配をとっている。
その2000年以前の監督成績は今回の分析の対象外となっている。

また、2シーズン以上采配を振るった監督が分析対象となっている。
2シーズン未満しか指揮をとってない監督、たとえば楽天初代田尾監督とかは対象外。

  • 結果

下の表が分析結果。
左側が「ダメ監督が5割勝てるチームを率いた勝率ランキング」で、右側が現実の勝率ランキング。

順位 監督名 勝率 監督名 実際の勝率
1 落合博満 0.674 原辰徳 0.577
2 高木守道 0.667 落合博満 0.562
3 渡辺久信 0.664 長嶋茂雄 0.561
4 岡田彰布 0.656 王貞治 0.558
5 長嶋茂雄 0.649 秋山幸二 0.552
6 伊東勤 0.646 岡田彰布 0.543
7 東尾修 0.645 伊東勤 0.527
8 星野仙一 0.645 伊原春樹 0.526
9 高田繁 0.645 東尾修 0.526
10 山本功児 0.644 渡辺久信 0.526

わりと中日ファンが喜ぶ結果となった。
一位は落合。
これこそ勝つことが最大のファンサービス。
統計的にも落合が大正義であることが判明してしまった。
二位が高木なのが不可解っちゃ不可解なんだけど、まあ今シーズンこそ4位だったけど、
荒木井端和田が不調だったり、ブランコ抜けたり、吉見浅尾がケガで離脱して、その戦力で四位っていうのは大したもんだということなのだろうか。
3位は今年監督辞任した元西武監督の渡辺。
右側の実際の勝率と比較してみると結構面白い。

●論文
「プロ野球監督の能力」大竹文雄・安井健悟
監督能力とチーム戦力の視点から考えるプロ野球
(了)

*1:日本シリーズ最終戦で9回田中を使ったり、日本シリーズ第四戦で勝ち越してる場面で辛島を降ろして宮川を起用したり