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四十三庵

蔀の雑記帳

大学一年生のためのアルバイトガイド

マネー 仕事

この記事は昔そこそこの人気記事だったんですが、思うところあって非公開にしといたんですが、ちょっと書きなおしてまた再投稿しようということで、やや加筆訂正した記事となります。

  • わたくしの経験

僕が今までやってきたバイトはこの通りです。

1.首都圏に30校くらいある塾の個別指導 時給1200円
2.物流センターA 時給1000円
3.野球場A 時給850円
4.野球場B 時給950円
5.公文 時給1500円
6.試験監督(不定期) 日給7〜8000円
7.TOMASの個別指導 1コマ(90分) 1950円
8.携帯販売の派遣 時給1400円
9.物流センターB(夜勤) 時給1000円

  • 「仕事の過酷さ」と時給

 世の中いろんなバイトがあるんですが、一つ確実に言えることは、「仕事の過酷さ」と時給は何ら相関関係がないということです。ここは大事なトコなので、これからバイトを始める人はしっかり覚えておきましょう。時給は「仕事の過酷さ」で決まるのではありません。払う企業が「どの程度支払ってもいいと判断するか」で決まるのです。
 スキルや人間関係を度外視するのであれば、アルバイトは「いかに少ない労働力の提供で、いかに多くの給料をもらうか」を考えるべきです。

  • 「仕事の過酷さ」と生産性

 変に経営者目線になっている人は、「バイトに楽させる会社はダメだ」と勘違いしがちですが、「バイトの仕事の過酷さ」と「生産性」にも相関関係はありません。生産性というのは、簡単に言えば、「一時間にいくら投入資本・投入労働力以上の余剰金を生み出せるか」という概念です。バブル崩壊以降、日本企業は経営合理化に腐心していますが、中には「生産性を高める」ことと「ムダ働きを増やす」こととを混同している経営者も多いように見受けられます。特に外食産業の新規参入勢は、そういう傾向が強いような感じがします。居酒屋チェーンとか、焼肉屋とか。なんか部活の延長線上で指導してんじゃねーかこいつと思うことが多々あります。
その昔日本は太平洋戦争で本土空襲受けてる中竹槍訓練に勤しんだ伝説がありますが、どうも生産性の低いことに身を粉にして安心する傾向が強いようで、「こんなに頑張ってる我々が物質文明の中で堕落してるアメ公に負けるハズないよな」と竹槍訓練で汗を流した後に話し合ってたのかと思うと涙が出ますが、現代においてもその精神性は失われていないようで、「こんなにがんばってる我々が利潤出せないはずはないよな」と思いたがるようです。その辺りはもはやビジネスじゃなくて、趣味の世界でして、何も貴重な時間を部活嗜好の経営陣と共有しなくてもいいと思います。
 「努力すれば報われる」というのは、中学校の通信簿の世界であって、「間違った努力」を常人の100倍やろうと、残念ながら社会的評価はゼロなのです。

  • 塾講師はやめろ

 まず後輩に僕が絶対にする、バイトに関するアドバイスは、
「塾講師はするな」
(特に個別指導)
です。(河合塾駿台SAPIX日能研辺りを除く。特にこの辺りに通塾経験がある人は、多分優先的にとってると思われるので、是非母校に帰るといいことがあると思います)
 僕がやっていた個別指導は、時給1200円と言ってますが、付随業務がありまして、生徒の出迎え・見送りがあって、授業三十分前くらいに行って、塾に来る生徒に挨拶したり、自転車整理したりという仕事がありました。当然無給です。月末になると生徒の親あてに、「指導報告書」みたいなのを書かされますが、これも当然無給。正確に時給換算すれば、恐らく600〜700円くらいだったのではないでしょうか。しかし正社員の方はもっとえげつない搾取を……おっとこれは言ってはいけないか。別に僕のいた塾が格別クソという訳でもなく学習塾は大体こんなもんです。明光義塾やITTO個別やTOMAS辺りは、基本的には同じ構造です。塾講師バイトで「人に教えるという行為が自分の勉強になる」みたいな、コンサル業界目指してたりする意識高い学生が焦点の合わない目で語ってるのを見ますが、1)知的ぶりたいただのアホ 2)中学受験向けの塾、河合駿台など比較的レベルの高い生徒に対して教える恵まれた環境 のどちらかです。例外としてカッコ書きした塾は確かに得るものがなくはないでしょうが、採用は結構厳しいことになってます。チューターなんかは比較的楽に採用されると思いますが。
 家庭教師は、トライ以外なら割といい条件で働けているみたいです。でもそう言うのは大抵女生徒で、そう言ってる男とまだ会ったことがないので、男だと東京一工早慶辺りのブランド大くらいじゃないと「いい思い」するのは厳しいのかもしれませんね。いや僕はやったことないので詳しくは知りませんので、知ってる方いたら是非。
 学習塾の経済的問題については、あらためて一つ記事を書こうと思います。

  • 物流センターと野球場

 物流センターAのバイトを説明しづらいのは、物流センターAはかなりマイナー企業で、仕事内容もほとんどクローズアップされないような仕事だからです。物流センターの仕分けバイトといっても実際の内容は、コンベアの上を流れてくるダンボール箱をカテゴリーごとにひたすら隣のカゴに詰んでいくバイトです。「なんでこんなバイトしたんだお前」と言われそうな感じですが、運動不足だったから肉体労働のバイトしようと思って見つけたバイトだったんです。僕の大学の合説にこの会社の人事の方も来られていて、思わぬ再開をすることになりました。「おたくでバイトしてましたよ〜ええ〜」なんて言わず、紳士的にスルーしましたが。こちらが時給1000円。
 一方野球場Bのバイトですが、物流センターの仕事に比べれば、段違いに楽です。レジ売ったり、掃除や準備したり、ごく簡単なお仕事です。(むしろ人間関係の方がめんどくさいくらいで)野球場は慢性的な人不足状態なので、シフトに入れる人であれば、採用されると思いますので、バイト落ちまくってる人は、どうぞ。それで時給950円もらっています。
 僕の体感では、物流センターAでのバイトの方が三倍ぐらい過酷ですが、その差は時給にしてほんの50円。

 これを経済学的に正当化するなら、「情報」で、一応の正当化はできると思うんですよ。つまり、「能力の有無」以前に、「おいしいバイト」があるのを知っているか、知っていないか、その「情報の有無」のせいで、損する奴、得する奴が出てくる。
 世の中平等でも公平でもない。その不平等の中で、得する奴、損する奴が出てくるのは当然で、そこから「この不平等を是正しよう」と思うか、「この不平等を利用して得するポディションをとろう」と思うかのどちらかで、立場は決定的に分岐します。僕はどちらかと言えば後者の立場です。ちょっと前までミスチルの歌詞ばりに「妙に器用に立ち振る舞う自分はそれ以上に嫌い」みたいな所があったんですが、段々どうでもよくなってきましたね。

  • 携帯販売の派遣

これは思った以上に楽で、儲かりました。
面接も大変なのかな―と思ってたけど、いざ行ってみるとすげー簡単に採用されます。
料金プランや割引施策を覚えなければいけないので大変ですが、覚えてしまえば後はスーツ着て立ってるだけです。
僕の派遣会社はノルマ全然厳しくないトコで、担当社員の人も携帯好きのいい人だったので、楽しくやってたんですが、
自分でゴミだと思ってる端末を売りつけるのが嫌になりはじめたのと、派遣会社の方もあんま仕事を回してくれなくなったので今はあんまやってません。

  • 夜勤は最後の選択肢

留年して暇だったので、夜勤のバイトをはじめてみたんですが、これは大学一年二年で授業と平行では絶対にやらないほうがいいです。
確かに同じ仕事内容で、昼間より時給200〜300円上乗せになるけれど、正直生活リズムズタズタにされて一回あたり2000円、3000円多く稼いでるのは不条理です。
昼と夜で同じ仕事をするから、同じ仕事して高い給料もらえるなら〜と思いがちですが、深夜に働くのは明らかに昼同じ仕事するよりも多い労働力を提供していると僕は体感で思います。

  • 試験監督について

試験監督勤務マニュアル    
は、こちら。

  • 「縁故」(コネ)の大切さ

社会学マーク・グラノヴェッター)で、「Weak Tie(弱い紐帯)」と言われる、家族や友人ではなく、仕事上の知人や学生時代のたまに会う同級生のような「たまに会う程度の知り合い」をたくさん持っている人間のほうが、転職する際にはやく次の転職先がみつかりやすいというふうな研究があるそうです(詳しくは知らん)。
 これは言われてみるとご尤もな学説でして、友人が多いリア充気質なのに転職に苦しむ人、非リアっぽいのにすぐ転職できる人といるそうですが、「Weak Tie」の多寡が両者をわけていると考えると、なかなか納得できます。実際転職の統計なんかを見ても、日本で転職者の21%くらいは「縁故」で転職してます。(2009年「雇用動向調査」

 バイトも、コネが使えるのであれば是非とも使いましょう。僕の場合、公文式の丸付けバイトでした。僕もビビったんですが、1500円という破格の時給をくださっています。これは昔僕がそこに通ってて、先生も僕のことをよく知ってくれていまして、丸付けバイトは昔からやってるスタッフか、そこの元生徒で信頼できる人しか雇わないという方針で、時給に関しては「奨学金がわり」なんて言ってました。

 一度講義で一緒だった先輩から新聞だったか出版社だったかの下読みみたいな仕事を、「サークル内部で代々受け継がれてるバイト」として、紹介してもらったことがあります。(授業日程と業務時間があわなくて断りましたが)サークルやゼミでも、こうしたコネクションは隠然と存在しています。これだけITが進んだ時代になっても、こうした人的ネットワークが残っているのは、「人の営み」というのに、デジタル化できないものが存在するということなのでしょうか。

  • バイトしたくない大学生

少数派だとは思うんですが、「どうしてもバイトしたくない」人もいるようです。
大学時代の重要性〜「大学生はバイトをするもの」あたりまえをもう一度考えてみよう〜
別に間違いではないと思いますよ?
親が金持ってて小遣いくれるんなら。

いや小遣いくれなくても、上記の記事みたいな、
「学生時代の貴重な時間を最大限使いたい!」*1
のであれば、奨学金を借りてですね、バイト一切しないという手もあります。学生支援機構は「奨学金」と考えるとクソみたいなもんですが、「超低金利の学生ローン」と考えれば超優良金融事業なので、破産寸前まで借りましょう。僕も確か180万円くらい借りてたような気がします。

最近はマスコミの「格差社会バッシング」を受けて、どこの大学も奨学金はやってますんで、自分の大学の奨学金制度を使ってもいいと思いますね。でも僕の大学は結構な人数落としてるそうで。「バイトしたくないでござる!」ぐらいの家計状態だと落とされるんでないでしょうか。

バイトの話を長々と書いてきましたが、「パパママ銀行」からの無償贈与ほどの「タダ儲け」はないと思いますので、存分にご活用ください。人によっては最強のバイト先が実家ですからね。

いやなんか金持ちへの皮肉になってしまいましたが、割と「バイトしないで勉強・学外活動に専念にする」という方針はアリだと僕も思いますよ。これは皮肉じゃなしにね。そこまでの価値がある勉強・活動かどうかが問題で、バイトした方がいいかどうかはケースバイケースで、学生一般に言えた話じゃないでしょうが。僕の場合は完全にバイトした方がマシでしたけどね。家で退屈を持て余すんだったらそのクソみたいな時間を賃金に換えた方がいいでしょう。

  • 「スキルが身につくバイト」という選択肢

僕自身はその手のバイトは一つもやってないんで恐縮ですが、「スキルが身につくバイト」という選択肢もあります。具体的には、
「通訳や翻訳などの英語関連」
「簿記二級以上などが要件になっている経理バイト」
(司法試験を目指す人なら)「弁護士事務所・司法書士行政書士のバイト」
「プログラミング系のバイト」
(国1とか受けたいんなら)「官公庁バイト」
などですね。
 ちょっと敷居が高いモノが多いですが、バイトによっては新入社員にさせるような訪問営業とか、テレアポ営業とかやらせるバイトもあって、それもまあ一応「スキルが身につく」といえば、身につくバイトなのかもしれません。。。

 この手のバイトは時給的にもさほど悪くないし、何より金をもらって勉強になるという所がいいと思います。ていっても、「できる人」は限られてますけど。

 後「スキルが身につく」という点では、バイトじゃないんですが、ベンチャー企業のインターンとか見てみましょう。
キャリアバイト

ただ安い給料で単に労働力を搾取することを「インターン」と称して、学生に何の学びもないものも結構あるので、そこは自分で見極められる人じゃないとオススメしません。
ベンチャー企業での搾取系インターンシップに注意

  • バイト先のコミュニティー

 お金以上のモノを得られる、というと、スキルだけでなくて、人間関係もそうです。バイト先の人間関係なんて大抵は「浅い探り合い
」程度で終わりますが、中には休みの日一緒に遊び行くレベルの交友関係を築く方もおられます。彼氏/彼女がつくれると尚更素晴らしい。
 塾講師なんか特に、このタテヨコつながりが生まれないんですね。だからこの意味でも塾講師はやめた方がいいんですけど。

 意外とバイト先のコミュニティーに加われるかどうかは大きい要素だと思いますね。バイト先のコミュニティーで選ぶなら、居酒屋やカフェのバイトがオススメです。

  • まとめ

まとまりのない記事になってしまいましたが、論旨はこういうことです。
・時給に対して仕事内容が楽なバイトは確実に存在する
・塾講師(一部除く)はやめとけ
・使えるコネは使え
・時給以外にも、スキル・友人恋人などが得られるバイトも

なんか久しぶりに「学生らしい」記事になった気がしますね

(関連記事)
適切な賃金・価格設定は適切なインセンティブを実現できるか?
昔書いた記事。
タイトルが疑問形なのに本文はそれに答えないという素敵な記事。
好き勝手書き散らしてたんだなあと今見ると改めて思う。

*1:僕は学生時代なんかどういう観点から見てもクソみたいな時間だと思うんだけど