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四十三庵

蔀の雑記帳

浅野いにお「うみべの女の子」

ライフ

浅野いにお作品は「おやすみプンプン」にせよ本作にせよメンヘラの男女がセックスするだけのストーリーで、
登場人物全員自意識過剰で読んでてムカつくし、こんな喋り方する奴いねーよって思うんだけど、「うみべの女の子」はその極地みたいな漫画だった。*1

新年早々から(いい意味で)最悪の気分にさせてくれた「うみべの女の子」という漫画を、今回は紹介したいと思う。

  • そもそも僕はなぜこの漫画を手にとったのか

ネット上に出回っていたこの画像がすごく気に入った。

元ネタを調べたら、この「うみべの女の子」だったわけだ。

ブックオフに行ってかるーく探してみるが、どこにも見当たらない。
動揺を隠しつつ、「あっれ〜?青年誌だと思うんだけどナ〜?」と思いながら立ち読みしてるオタクのリュックをかきわけてみるが、やはりない。
スマホで急いで出版社を調べてみると、太田出版とある。
聞いたことがない。
もちろんブックオフにもそんな棚はなかった。

更に調べてみると、「マンガ・エロティクス・エフ」という聞いたことのない漫画雑誌で連載されていて、そもそもあんまり流通量がなく、古本が出回っていないっぽい。
僕の探し方が悪かった可能性もあるが、ブックオフには置いてない場合が多そうだ。

ちなみにこの「マンガ・エロティクス・エフ」は「ライチ☆光クラブ」なんかも掲載されていたらしい。
サブカル方面では結構有力な雑誌なのかもしれない。

結局僕はAmazonで頼むことにした。
 
定価700円くらいだが、マーケットプレイスで買うと送料込みで200〜500円で買えた。
Kindle版(電子書籍)がなぜか500円ポッキリになっているのが腹立たしい。
(なんで流通コスト削って安くなったはずの電子書籍が送料かかってる古本より高いのか)

  • あらすじ

話は主人公の女の子佐藤小梅が、イケメンの三崎先輩とデートして、無理やりフェラさせられたショックで、
中1のときに告白された好きでもない磯辺(目立たない男子)とセックスした後に二人で海を見に行ったシーンからはじまる。
(もうこの始まり方の時点で人間不信膨らみまくってる最悪な話だということがわかる)
中の上の女子という感じの小梅と、学校に友達が全然いない中の下未満の磯辺の、恋愛とも言えないような関係。
何回もセックスするけれど、結局気持ちが通じ合うことは作中一回もないのがすごい。


一巻では傷心の慰めに使われる磯辺がすげーかわいそうだけど、


段々磯辺の方の心の闇が描かれるようになってた中盤


最後には関係が逆転する


↑浜辺に落ちていたSDカードの中に入っていたうみべの女の子。

最近リアルなスクールカーストとかをはっきり書くマンガが多いなあって思うんだけど、
おやすみプンプン」も「うみべの女の子」もルサンチマンの極地みたいなストーリーで、
声の大きい「リア充」「DQN」に対して、音楽やマンガが好きなクラスの隅で息を潜めている友達の少ない地味な生徒の抱くドロドロした感情が、浅野いにおの漫画の根底に流れている。

自意識過剰で、自分勝手で、コミュニケーションが下手な人間しか出てこない。
もっと上手くやる方法はいくらでもあるのに、一番下手な方法を選ぶから、結局失敗する。
そんな中学生の日々。

僕は浅野いにお嫌いなんだけど、やっぱ面白いと思った。
おやすみプンプン」の終わり方は美しくなかったけど、「うみべの女の子」は2巻っていう簡潔さもあって、
すごい綺麗に終わっていると思う。*2

【一巻】

【二巻】

(了)

*1:ソラニン」は毒にも薬にもならないような漫画で、更にカス

*2:人によっては「え?これで終わり?」となるらしいけども…