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四十三庵

蔀の雑記帳

一連の経済政策の評価について

論考

この4月から消費税が8%になった。
半年くらい前に決定されて、色々議論もし尽くされたような気がしていたが、いざ実際に上がると突然不満があがりはじめた。

クラスの文化祭の出し物決めるときにも、アイディアが三つくらいあがって、
「じゃあこれにしましょう!」と決めて、いざ当日になってから
「やっぱり別の出し物がやりたかった…」
とか言い出す奴が結構居たが、案外日本というのは学校にいるときとさほど変わらない形で世論形成がなされているのだと最近感じる。

アベノミクスをあらためて整理すると、「三本の矢」という戦略のことを指している。
つまり、

1.金融政策
2.財政政策
3.民間の力の活用
内閣府の使っている正確な用語ではない)

日銀のリフレ政策によってデフレを解消(一本目の矢)して、かつ財政政策によって民間需要を生み出す(二本目の矢)。
そして規制緩和イノベーションの促進によって、日本経済の2%成長を実現する(三本目の矢)。

  • リフレに反対する理由の階層

リフレ政策については長年議論があって、僕自身はどちらかというと反対派だった。
リフレに反対する理由としては、「階層」があった。

階層1.リフレ政策は効かない
僕はこの立場だった。
日銀が量的緩和政策をとったとしても、デフレ圧力は実物経済から生まれているもので、金融政策では解消できないと考えていた。
日銀がいくら「物価2%にします!」とコミットメントしても、金融市場はそう思い通りに動かないだろう、とタカをくくっていた。
しかしながら、この階層のリフレ政策批判は、実際に日銀のコミットメントで日経平均・為替が大きく好転したことで、否定されてしまった。

階層2.一時的には効くだろうが、長期的には無意味
今の僕はこの立場になっている。
数年のスパンでは金融緩和で市場は好転するだろうが、結局のところ実物経済の動きではないから、
またずるずると物価低下圧力がかかってくるだろう。
そしたら今度はリフレ政策という最後の頼みの綱すらなくなって、本当に絶望的な状況になる。

といっても、失われた20年の経済に戻るだけなので、絶望的といっても、ちょっと前みたいな感じがまた続くモンだと思ってもらえれば良い。

階層3.物価の上昇には成功するが、実物経済に波及しない
物価を上げることには成功。
ところが経済成長、所得向上には失敗する、としたら、モノの値段は上がったのに、我々の財布の中身は変わらない。
生活は当然苦しくなる。
現状起こっているのは、それに近い。
物価上昇というよりも円安によるガソリン価格の上昇と、消費増税のダブルパンチを食らっているので、
会社がベースアップしてくれなかった会社員は、アベノミクス以前よりも貧乏になったはずだ。

階層4.経済成長に結びつくとしても政府債務が更に膨れ上がる
リフレ政策が経済成長に結びつくことは認めましょう。
しかしそのメリットよりも、政府債務が膨れ上がるデメリットの方が大きい。
だからリフレ政策はダメなのだ、という立場。

ただこの批判には、リフレ賛成派から、
「日本政府の国債は日本人が買っていて、仮にデフォルトになったとしても
日本の中で借り手と貸し手が完結するので問題ない」という反論が来る、というところまでがテンプレートになっている。

階層5.ハイパーインフレになったら手がつけられない
金融緩和が「効きすぎた」ときのリスクを心配する階層。
ハイパーインフレになるくらいならば、マイルドなデフレの方がマシ、ということだ。
ただ、僕はあまり現実的な批判ではないのかな、と思う。

そもそもなんで物価をあげなきゃいけないのか、というと、

物価があがる
→企業はモノを高く売れる
 →前よりも利益が出る
  →給料をあげられる
給料があがる
→人々はよりたくさんのモノを買うようになる
 →企業は更に儲かる
  →GDPが上昇
経済成長につながる

という風なマクロ経済のつながりを前提としている。*1
日銀の異次元緩和によって、2013年の物価上昇率は0.4%となった。
速報によれば、一月は1.4%、二月は1.5%なので、このままいけば2014年度にはインフレ率2%という目標が達成できるかもしれない。

ところが家計消費と所得はさほど順調に向上していない。
一月は(実質)消費・(名目)収入ともに1.1%上昇したが、
二月は家計消費が2.5%の減少、収入が0.6%の上昇となった。
物価上昇が二月に1.5%なのに収入は0.6%の上昇と、名目所得の上昇率が低いので、物価上昇の影響は我々の財布に波及していないようだ。

ニュースでもトヨタがベースアップを決めただのローソンがボーナス払っただの報道されているが、
アベノミクスでさほど業績が改善できなかった企業はまだ給与をあげていないはずだ。

アベノミクスは確かに円安株高を創り出すことに成功した。
何より失われた20年で過度に悲観的になった日本人のマインドを改善できた点は大きい。

株と為替は高位で安定している。
物価上昇率もなかなか好調だ。
「リフレ政策をとっても物価はあがらない」という批判はもはや現実を見ていない。

今後アベノミクスの評価を決める指標は、「家計消費」と「家計所得」の二つの数字だ。
三月は消費増税前の駆け込み需要で改善すると思うが、四月にその反動が来るだろう。
2014年の日本経済がどうなるか。
大学生で時間持て余してた頃のようには追えないだろうけども、チェックしていきたい。
(了。53:28)

*1:話を単純にするために、株や為替などの金融市場の存在は無視しているけど、実際は株価の上昇や円安で企業の収益が改善する効果もある