四十三庵

蔀の雑記帳

駄作の価値

僕には、「いいものだけを提供したい」という気持ちが昔からあった。
しかしながら、本にせよ音楽にせよブログにせよ何にせよ、「いいものだけ」というのは不可能なようだ。
一つのいいものを生み出すためには、多数の駄作(ゴミ)を生み出さなければならない。
それが駄作の価値だ。

ここで言う駄作というのは、小説・マンガ・絵・音楽・ブログ記事などなど、敢えてジャンルは特定していない。
というのは、「駄作に価値がある」というのは、一般的になりたつと考えているからだ。
この記事では、あらゆるジャンルの、「クオリティが低く他人から評価を得られないもの」を駄作と呼んでいる。

  • 駄作の価値1 肥やし

創造的な成果物というのは、けして論理的に導かれるものではない。
ものすごい芸術作品を生み出した人間の思考プロセスがどうなっているのかはよくわからない。
きっと本人にもわからないだろう。

しかしながら、その画家が、
「よっしゃ俺いっちょ名作描いたるで!」
と言って、はじめて絵筆をとって描き上げた絵が歴史に残る名作になったとは思えない。
その前に何枚も描いて、箸にも棒にもかからない絵も描いただろうし、
それなりに評価されたけれども後世に残るほど有名にはならなかった絵もあっただろう。

駄作には名作を生み出すための「肥やし」としての価値がある。

  • 駄作の価値2 引き立て役

更に駄作には、名作と並んだ時にクオリティの差を際だたせることで、名作のクオリティの高さを印象付けて、評価を高める役割がある。
たとえば、ミスチルの「Atomic Heart」は馬鹿売れしたアルバムだけども、
それ以前のアルバム(たとえば「kind of love」「Versus」)を聴くと、「Atomic Heart」単体で聴くよりもいいだろう。

この引き立て役効果を上手く活用している例が、アイドルグループだ。
ジャニーズのグループがデビューするときは、必ず複数人で組ませる。
一人や二人でデビューさせるよりも、六人前後でデビューさせた方が不思議と人気がでる。
六人の中で、よく見るとそんなにカッコよくない奴も混じってたりするのだが、それはそれとして意味があるのだ。
恐らくジャニーズのプロデューサーにとって、グループをデビューさせるときに、人気が出て欲しい、本当に売りたいメンバーは一人か二人しかいない。
微妙な奴が混じっているために、その本当に売りたい一人の魅力がより引き立てられる。
それでグループ全体の人気が出れば、微妙な奴もそれにつられてなんだかんだで人気が出てくる。
上手く考えたものだ。

最近ではAKBという、単体では到底アイドルとは呼べないようなルックスな女の子でも、
48人集めてとりあえず売りだしてみれば、その中でなんとなくマシなルックスな女の子を見つけて、人気が出るということが判明した。

  • そんなわけで

僕も駄作を生み出すことを恐れずに、ブログの記事を書いていきたいと思う。

以前、「社会人になって忙しくなるので、量より質を重視する」と書いたのだけれど、
どうも質を重視して書いていこうと意識すると、自分の中でどんどんハードルが上がって、いざ記事を書いてみても、あまり満足できない。
どうも質と量の関係はそんなに単純なものではないらしく、「量を減らして質を求める」というのはなかなか厳しいらしい。
(了 30程度)