読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

四十三庵

蔀の雑記帳

ガンダムからエヴァへ・昭和から平成へ

ガンダムが初放映されたのが1979年らしい。
エヴァンゲリオンが1995年。

両作品とも、放送時は視聴率が低かったが、その後1〜2年たって大ヒットして、
国民的アニメになったという経緯がある。
このアニメは、同じようにロボットでの戦いを描きながらも、全然違う雰囲気の作品となっている。
僕は両作品の違いが、昭和と平成の空気の違いを表しているのではないかと思うようになった。

 
ガンダムアムロ・レイは「オタク少年」という設定だった。
今オタクと言えばパソコンを一日中弄ってて、アニメばっか見てるというのが典型的なイメージだが、
当時のオタク少年というのは、家で機械いじりをしている少年を指した。

ガンダムのコクピットは、スイッチがいっぱいあって、
パイロットもヘルメットをかぶり、モビルスーツを操縦する。

それに対して、エヴァは搭乗者がエヴァとシンクロして操縦する。
エントリープラグの中には、ゴテゴテしたスイッチは一切ない。
そもそもエヴァンゲリオンというのは、正確に言うとロボットではない。
人間がつくった機械ではなくて、正確には
「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン
であって、使徒の一種ということになる。

高度経済成長によって工業国となった日本。
ガンダムが放映された1979年には、自動車・家電の部門で世界を圧倒していた。
一方世界ではアメリカとソ連の核戦争が本気で心配されていた。
「モノづくりの力」というのが信じられていた。
また、アムロたちが戦う相手も、ジオン公国という国で、まだ「人対人」という構図だった。

しかし、それまでのロボットアニメのような、
「正義の主人公と悪の敵が戦う」という単純な勧善懲悪の構図から、
「主人公サイドもけして正義ではないし、敵にもそれなりの大義名分がある」という、
より複雑で、現実の戦争に近い構図になっている。

  • 平成

エヴァがつくられた95年。
ノストラダムスの大予言オウム真理教阪神淡路大震災……
バブル崩壊の経済的不況をベースとして、終末感が漂った。
またWindows95が誕生して、パソコンやインターネットが普及しはじめた。
また1986年には男女雇用機会均等法が成立している。

ガンダムではテクノロジーは人間の武器だった。
けれども、エヴァではテクノロジーは、人間の知恵を超えた、時にコントロール不能になるものとして扱われる。
アニメをもう一度よく見てみると、ネルフの優秀っぽい雰囲気を出した職員たちは、エヴァの制御に二回に一回は失敗している。
すぐ暴走するし、ラストでは仲間割れしてネルフ自体が崩壊する。
しかしこれはこれで、平成のリアルなのだ。

ガンダムに比べると、

宗教
バイオ
IT
心理学

といった要素が濃厚に入ってくる。

  • モノからサービスへ

ポール・ウィリス(Paul Willis)「ハマータウンの野郎ども」(Learning to Labour)と所謂DQN文化

でも書いたが、経済的に成功した先進国は工業からサービス業へとシフトする。
なぜかというと、経済成長によって賃金と生活水準が上がり、
工場のようなマンパワーがたくさん必要な施設は、労働者の人件費的にキツくなり、
発展途上国に建てられることとなる。

アムロ・レイのような、偏屈で職人気質な男は、平成に入ると非正規雇用や無職へと駆逐されていく。
碇シンジはナヨナヨしてるけど、育ちのいい優等生だ。
成長したら黒縁メガネかけた、私立の大学生みたいな感じになるのだろう。

碇シンジの同級生の鈴原トウジというキャラが、
ダミープラグに制御された初号機にボコボコにされて殺されることになるが、あれも「男らしさ」の敗北だろう。
(了)