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四十三庵

蔀の雑記帳

酒鬼薔薇聖斗の自伝を叩く人と「自分が正しい」という感覚

酒鬼薔薇聖斗の自伝を太田出版が出して、物議を醸し出している。
Amazonレビューのすげえ星1つ評価の数を見ても、すごい叩かれ方だ。
(このリンクもアフィリエイト入ってるので、もしかしたら僕にも飛び火するかもしれない)

「自分が正しい」という感覚

どういう言葉で当てたらいいのかよくわからないので、
「自己正当感」という言葉がよく当てはまるんじゃないかと思う。
とにかく「自分が正しい」という感覚。
自尊心とかSelf-confidenceとかに意味は近いが、ちょっと違う。
プライドはあくまで自分が自分をどう評価するかだが、
自己正当感はまず外部が与えて、それを内面化するものだ。
ボランティア活動に参加したり、電車で席を譲ったり、そんな瞬間に人は自己正当感を高める。
個人的な価値観の中の正しさと、倫理的・社会的な正しさが一致していなければならない。

この自己正当感というのは、人間にとって思った以上に大事なものなんだなあと最近思うようになった。
「自分は間違ったことをしている」という自覚を持ちながら、
何年も暮らしていると、自己認識自体が歪んでしまう。

自己正当感の厄介なのは、あくまで感覚だということだ。
個人の価値観によっても変わる。
人によっては部活のキャプテンじゃない自分は許せないだろうし、
逆に縁の下の力持ちみたいなポディションに居る自分に意味を見出す人もいるだろう。

自己正当感を持ちづらい時代

今の日本というのは自己正当感が持ちづらい構造になっている。
年齢、性別、職業、外見、性格、思想、趣味、住所、ありとあらゆる点で自己批判を迫られている。

僕の場合、就職活動してた頃は働きたくてしょうがなかったけど、
実際働いてみるとこんなことを定年まで続けんのかっていう気持ちでいっぱいで、
あのまま無職で居たら今以上に辛いことは間違えないんだけど……

同年代くらいの奴が、やたらと起業したがったり、転職したがったりしてんのは、
金があっても自己正当感が持てないからだろう、という気がする。
そこそこの企業でそこそこの仕事してるだけじゃダメで、
泣く子も黙るような大手企業に所属して、ビッグビジネスに関わっていないとダメとか、
起業してイノベーション起こさないとダメとか、有名にならないとダメとか、
自己正当感を得るのは、理想が高ければ高い程難しくなる。

そんな僕らが簡単に自己正当感を得る方法

安保闘争とかベトナム戦争反対とかやってた頃と違い、今の世界にはわかりやすい悪が居ない。
だから、ネトウヨが韓国や中国叩いたり、ネット上の老害批判だったり、
ロスチャイルドの陰謀説だったり、小さいところではTwitterの未成年飲酒だったり、
何かしらの絶対悪を求めている。
あらゆる観点から見て、肯定しようのない絶対悪ならなおよい。

酒鬼薔薇聖斗の自伝は、叩かれながらも10万部以上売れたらしい。
絶対悪に対して、全身の血が沸騰しそうなくらい怒りに駆られて、
思わずインターネットで感情的な批判を書いちゃうときに、自己正当感は高まる。

(関連)
st43.hatenadiary.jp
(了)