四十三庵

蔀の雑記帳

最近読んだ小説の感想

働きはじめてから、本を読んだり、漫画読んだりといった、
創作の世界に遊ぶ経験を全然しなくなった。
仕事はそれなりにしているけれど、死ぬほど忙しいというワケでもない。
けれども、やはり残業して疲れて家に帰ると、疲れていて、小説読むために頭切り替えようという感じにはならないで、
風呂入って、飯食って、さっさと寝てしまう日々が続いていた。

そんなわけで、大学時代にはあれほど熱心に更新していたブログも、全然更新するネタがなくなって、放置していた。
結局、人間はインプットがなくなると、アウトプットもなくなってしまうものらしい。

10月くらいから、(けして仕事が楽になった訳ではないのだが)もうちょっと仕事以外の諸々を充実させたい気持ちが高まってきて、本を読み始めた。
できれば一つずつ感想を書きたかったけども、なんかそれもできなかったので、まとめて簡単な感想を書く。

  • 黒木亮「エネルギー」

今でこそコモディティ価格は悲惨なことになっているが、
リーマンショック後から2014年あたりまでは金価格や原油価格がすさまじく上がっていた。

三井物産をモデルにしてるっぽい小説で、商社ビジネスのリアリティを感じる。
「商社の仕事は泥臭い」とよく商社マンは言うが、その泥臭さをすごく感じる。

リアリティがある分、小説的な面白味は削がれている気がした。


又吉直樹西加奈子大絶賛!」という帯が最高に購買意欲を下げる小説。
最初の方はちょっと軽すぎる新興宗教のジジイが理想論を述べる展開なのだが、
中盤ではただひたすらセックス描写が続き、
終盤ではトラウマがある大人達がテロ起こす感じの話になり、そのトラウマの発露合戦みたいになった。
正義とは何か、神とは何かという読者の考えを揺さぶってくる作品であるので、
読んでて色々衝撃は受けるけれども、セックスで人が救われるっていう思想に対してウッってなってしまった。

  • 新庄 耕「狭小邸宅」


kabumatome.doorblog.jp
↑この記事を見て読み始めた小説だったが、とにかくよかった。
僕の中で、確実に2015年読んだなかでベストな小説な気がする。
不動産営業に就職した、高学歴な若者が苦しむ話なのだが、
不動産業界の上司の詰め方が、本当にキレキレの詰め方で、読んでるこっちまで胃が痛くなってくる。
最初の営業店では主人公は辞職寸前なのだが、移動後は優秀な課長のもとで、
不動産営業マンとして主人公が覚醒する展開なのだが、それでも主人公が全く幸せになれそうにないのがよい。


kabumatome.doorblog.jp
↑これも株まとめ二階建を見て、読み始めた。

ニュータウンの団地を高値づかみしてしまった主婦、
古いシステム会社がイケイケのIT企業に買収されて平社員になった技術者タイプの父、
就職に失敗して、駅前の寿司屋でバイトして生計を立てる美大卒の娘という暗澹たる家族。

団地の自治会の描写とか、狭小邸宅に比べると、もっとマクロに日本の暗澹たる未来を考えさせられる感じがする。
(了)