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四十三庵

蔀の雑記帳

大森靖子「TOKYO BLACK HOLE」

音楽


2016/3/23に発売した、大森靖子のメジャー2ndアルバム、「TOKYO BLCK HOLE」。
フルアルバムは4枚目くらいかな〜と思って公式サイト見たら、
2ndアルバムって書かれてて違和感あったんだけど、
メジャーアルバムとしては2枚目。
最近インディーズとメジャーに境目がわかりづらい。

ちょっと思うところがあったので、感想を書いてみたい。

出産復帰後の大森靖子の音楽

メジャー1stアルバムは、インディーズ時代のアコギジャカジャカやりながら叫ぶ曲がなくなって、
「絶対絶望絶好調」とか「きゅるきゅる」とか電子音中心のアッパーでキャッチーな曲で、
「ああこれは完全に売れるやつだ」って感じでかなかった。
今どのぐらい売れてんのかオリコンとか追ってないから知らないけども、
アニメの主題歌とかやってるくらいだから、今の若手ミュージシャンの中では相当売れてる部類なんだろう。

わりとこれからグイグイ来るぞ、っていうところで結婚→出産に入ってしまった。
時系列が曖昧だけど、確か「マジックミラー」出して産休に入って、
「愛してる.com」を出して、ニューアルバムリリースっていう流れだったはず。
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結婚・出産を期に音楽性がだいぶ変わったなあという気がしている。
昔の大森靖子が好きだった人はアレなのかもしれないけど、僕は「さっちゃんのセクシーカレー」の優しい曲調とか大好きです。
「子供ができて母性が云々」なんていうつもりはないけれども、やっぱ幸せなんだろうなという感じがする。
「魔法が使えないなら死にたい」あたりの「自分の才能認めない奴全員殺す」ぐらいの攻撃性はなくなっている。

で、シングルで出す曲、出す曲すごいよかったので、
この「TOKYO BLACK HOLE」どんな感じになるんだろうとワクワクしながら聴いた。

ブレイク後の大森靖子と、椎名林檎っぽさ

アルバムジャケットからして、結構ビックリした。

マスカラがっつり塗った感じとか、アルバム名が「TOKYO」って入ってるとか、
アンダーグラウンド性を捨てて、メジャーシーンでバンバン売ってこう感を感じた。
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大森靖子みたいな路線の女性シンガーがブレイクするロールモデルとして、椎名林檎は絶対に出てくる。
圧倒的な個性と、高い音楽性を持っていれば、絶対に。

デビュー時から椎名林檎とは比較されてたっぽくて、本人としてはそれが嫌だったので、
「魔法が使えないなら死にたい」のジャケットは椎名林檎の「勝訴ストリップ」のパロディにして、
自分と椎名林檎を比べる奴らを皮肉った。

けど今回の「TOKYO BLACK HOLE」の「無修正ロマンティック〜延長戦〜」とか、
完全に東京事変後のソロ椎名林檎の曲にしか聴こえない。
ビジュアル戦略といい、音楽性といい、だんだん椎名林檎っぽさは増してくのかな。
売れ線に走ること自体はいいんだけど、どんどん椎名林檎っぽくなってしまうことが、少し悲しかった。

暗い過去と折り合いをつける

「魔法が使えないなら死にたい」とか「絶対少女」とかは、
大森靖子自身が学校でいじめられたとか、個性的過ぎて世の中に馴染めなかったとか、顔をブスと言われたとか、
そういう暗い気持ちが攻撃的に歌われてる曲が多かった。

身体検査の前の日に
下剤を呑んで軽くなって
ピョンピョン跳ねたらイジメにあった
たのしそうなやつムカつくんやって
(「音楽を捨てよ、そして音楽へ」)

ディズニーランドに住もうとおもうの
ふつうの幸せにケチつけるのが仕事
まずずっと愛してるなんて嘘じゃない
若いこのとこにいくのをみてたよ
(「絶対彼女」)

大森靖子自身は、臆面もなく売れたい・目立ちたいって気持ち全開で活動してたけど、なかなか有名になれずに、燻っていた。
彼女はきっと、松山市に居た頃の後ろ暗い青春時代とか、
東京出てきてからの思うようにならない日々とか、そういうものを清算するために、
有名にならなければいけなかったんだと思う。

漸く世間が大森靖子の才能に気づいて、雑誌で特集が組まれて、ファンも増えた。
結婚もして、子供も生まれて、満ち足りてしまった。
アンダーグラウンドで足掻いていた大森靖子を、上手く生きられない自分と重ね合わせていたファンにとっては、
もしかしたら今の状態は裏切り行為なのかもしれない。

だから、大森靖子は「マジックミラー」という曲を作らざるを得なかった。

あたしの有名は君の孤独のためにだけ光るよ
君がつくった美しい君に会いたいの
あたしのゆめは君が蹴散らしたブサイクでボロボロのLIFEを
掻き集めて大きな鏡をつくること
(「マジックミラー」)

そんなわけで、今までと全然違うアルバムだったので、びっくりしたという話でした。

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(了)