四十三庵

蔀の雑記帳

「日本の技術力」はまだ存在するか

最近、日本メーカーの凋落が激しい

・SHARP→鴻海に買収
・三菱自動車→燃費偽装発覚
・東芝→粉飾決算発覚(実際は巨額赤字)

そんな中で、まだ「日本の技術力で〜」という文言を聞く。
果たしてまだ「日本の技術力」なるものは存在するのだろうか。

手を動かすということ

Made in Japanが、粗悪品の代名詞から高い品質を示す言葉になったのは、戦後の話だ。
1ドル360円の固定相場制や、アメリカとの良好な関係など、
色々要因はあるのだろうけれど、日本は工業国として急成長を遂げた。
ソニーやトヨタなど、世界に名だたる大企業が次々と誕生した。

しかし経済成長が更に続くと、実際に手を動かすより人に作らせることが重要になる。
どんな業界でも、職人としての腕を磨いていってもどこかで給料に限界があって、給料を上げたければ経営サイドに回るしかない。
たとえば美容師、建築、寿司職人、エンジニアなど、現場で圧倒的に優秀であるなら、
独立開業して自分でビジネスをやった方が儲かる。

リーダーが求められる

そんなわけで、経済成長が進むと、求められる人材が変化してくる。
工業国だった頃は、真面目に管理職の指示に従う人間が求められた。
しかし先進国として成熟してくると、「手を動かす」人ではなく、「人を動かす」人間が求められるようになってくる。
就活でよく聞いた「周囲を巻き込み行動する」とか「リーダーシップがある」とか、その類の人間だ。

日本のIT業界(特に業務系)では特に問題になるけど、
コードかける人間が薄給で、それをマネジメントするExcelおじさん達が高給をもらうという構図。
プログラミングに関しては、製造業に比べて製造工程の標準化がそこまで出来てないので、
手を動かせる人間の価値というのはもっと評価されてしかるべき。
しかし製造業とかになると、工場の作業というのはマニュアル化されていて、
現場の職人技はあるっちゃあるんだろうけども、さほど重要ではなくなってきている。
(もしITもそんな風にシステマティックにコードを生成する何かが出来たら、
エンジニアはガチガチの研究職と、マネジメントするだけの総合職と、オフショア開発みたいになるんだろうけども、
幸いにしてそのコード生成する何かというのは、実用的なレベルではまだ出てきていない)

「日本の技術力」はまだ存在するか

日本国内の製造現場は、非正規雇用が多いし、円高が進むにつれて海外移転も進んだ。
たまーにソニー製品とか買ってみると、だいたいMade in 東南アジアのどこかだったりする。
日本国内の工場で、全員日本人の正社員で生産を回していたら、多分今より赤字はもっと酷いことになっていたんだろうけども、
長期的に見ると日本の技術力は着実に落ちていくと思う。

ただじゃあどうしたらいいのかというのは結構辛いところで、
20世紀後半のバンバンいろんな技術革新が起きていた時代とは違うので、
単純に研究開発費増やしても、きっとリターンを得るのはだいぶ後になってからで、
今の四半期に一度は株主に業績を報告する株式会社のシステムの中で、そんな余裕のある金の使い方ができるかというと難しい。

中国・台湾・韓国のメーカーも、サムスンやらなんやら色々大企業でてきたけども、
日本企業を超えることはできても、このまま成長し続けていられるかというと、
そうは思わえず、どこかで壁にぶち当たる気がしている。
(了)