四十三庵

蔀の雑記帳

2017年、刺さったマンガの感想を真剣に書く

心、死んでませんか?
心、死んでますよね?
そんな死んだ心に刺さる五作のマンガを紹介していきます。

※2017年といっても、僕が2017年に読んだというだけで、
 必ずしも2017年に発売されてるとは限りません。

東京五輪前の東京で、家を買うということ。---池辺葵「プリンセスメゾン」

未曾有の低金利政策により、歴史的な低金利となった日本。
住宅ローンの金利は、たとえばふらっと35なら1%前後。
マンションの価格は高騰を続け、一等地の高層階は一部屋億を超えることも珍しくない。

マンションの説明会には、将来の暖かい家族生活への夢でいっぱいになった、
小金持ちの若い夫婦がたくさん参加していた。
そんな幸せオーラに包まれた雰囲気の中で、主人公の沼越幸26歳は、一人で説明会に参加して、積極的に質問し続ける。
年収270万円で、居酒屋勤務。
彼女はなぜマンションを買おうとしているのか?
生活とは? 幸福とは? 家族とは? 人生とは?
衣食住の「住」という切り口から、もっと何か深いものを書こうとしている。
その深いものを、はっきりと言葉にはせず、あくまでマンガという表現の中で、淡く描いている。

「いつくるかわからない日を待つよりは、今のベストをつかみたいんです。」
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浅野いにおのリアルと自己愛 ---浅野いにお「零落」

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昨日読んだばっかなんですが、エグってくるなあと思った。
主人公は青年誌で15巻くらいのマンガをスマッシュヒットさせた、三十後半くらいの漫画家。
(大ヒットではなさそう)
「おやすみプンプン」くらいの長さ。
てゆうかまあ「おやすみプンプン」。

次回作のアイディアはまとまらず、妻とも離婚寸前、アシスタントからは罵詈雑言を浴び、
編集者に相談しようとしても体よく断られてしまう。
そんな中風俗で、猫のような目をした、不思議な雰囲気の女子大生と出会う---

風俗嬢と主人公のやりとりが完全に村上春樹だったりするのはさておき、
ラストシーンで昔の彼女に罵倒されるところが好き。
漫画家というか、創作に人生を捧げた人間の深い業、終わることない孤独を感じた。


「私はいつも少し取り分がすくない方にいる」---鳥飼茜「先生の白い嘘」

ガンガンにジェンダーの話とスクールカーストの話が混ぜられて、
それが途中破綻すれすれになって、最後なんかきれいにまとまった感じだった。

blog.stm43.com
前に「地獄のガールフレンド」は記事書いたんだけども、
「おんなのいえ」と「先生の白い嘘」も書く!って息巻いてたが、結局一年たっても書かなかった。
やっぱこのレベルの連載を三つ同時並行はキツかったのか、「おんなのいえ」は結構ぐだぐだな終わり方だった気がする。
「先生の白い嘘」も途中でめちゃくちゃ危なかったが、最後盛り返した。
(玄関先で美鈴と新妻君が絡み合ってるのをミサカナが、
隠れて撮るとかいうレベルじゃなくて、普通にスマホで撮ってるシーンとか。「気づくだろ!」みたいな)

現実にいそうなキャラの妙なリアル感。
(最初の方は緑川椿っていうイケイケの女の子がいたが、現実感がなさすぎたため、作者の中でいなかったことになったらしい)

他のマンガはあらすじみたいなの書いてるんですが、
このマンガに関してはKindle版が一巻無料らしいので、それ読んでください。
リアルかどうかはともかくとして、美鈴と美奈子の歪んだ友情が好き。


河原で大阪の高校生がダベるだけのマンガ……と思っていた---此元和津也「セトウツミ」

あらすじとかは映画にもなったしドラマとかもやってるしいいですか?
皆知ってるよね?

このほど八巻が出て完結したんですけど、最終巻読んで完全に圧倒されてしまった。
伏線の張り方がエグすぎる。
瀬戸は間違いなくスーパースター。
部活で全国大会出たとか、バンドでなんかするとか、クリティティブなことするだけじゃなくて、
こういう風に何気ない会話を通じて、人を救っていく人間って稀にいるんだろうなあ。
あと登場人物のクセがすごい。


ムダにかわいい女の子の不条理ギャグマンガ---栗井茶「+チック姉さん」

今まで紹介した四作は「深い……」みたいな感想だったけど、
このマンガに関してはマジでただただギャグとして面白いので読んでほしい。

模型部(模型部ってなんだ……)の女の子三人を中心に繰り広げられる学園日常モノなんだけど、とにかくギャグセンスがいい。
ポプテピピックみたいな、かわいいいキャラがひたすらキレてるのがツボな人ならまずハマる。
メンヘラの佐々木さんとか、ホモで最強キャラの国木とか、美しさの人とか、みんなキャラが立っている。
このマンガの存在、面白いわりに、全然知らなかったんだけど、ヤングガンガンとかで連載されてるせいなのだろうか?

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あとタイトルだけ列挙

最近仕事のメールくらいで、あんまり自分の考えたことで文章書かないので、
(仕事はなんか「無」から何かを書いている)
このぐらいの長さの感想でも結構辛くなってきた。
最後に、感想なしで、読んだマンガをタイトルだけ列挙して終わろうと思う。
感想を書いてないからつまらなかったというわけではないです。
もっと暇だったらもっと色々書いていたと思います。
もしかしたら読んだの2017年じゃないかも
「ぼくは麻理のなか」
「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
「いいよね!米澤先生」
「1日外出録ハンチョウ」
「インベスターZ」
「事件屋家業」
「かぐや様は告らせたい」
「課長島耕作」
「神々の山嶺」
「クズの本懐」
「食の軍師」
「東京喰種」
「東京喰種 :re」
「東京タラレバ娘」
「東京都北区赤羽」
「私の少年」
「闇金ウシジマくん」

最近思うんですけど、ある作品を誰よりも深く解釈したとか、
誰よりもたくさん作品を読んでるとか、そういうのを誇るんじゃなくて、
普通に自分が好きなものを好きなだけ、好きなペースで、好きな浅さ/深さで読むのが、一番楽しい気がしてきました。
それが人から見て浅いこともあり、人と同じこともあり、深いこともあり。
(了)