- 不動産とは
法律上、財産は動産と不動産にわけられる。
動産というのは自動車や家電みたいなもので、これは今回はどうでもいい。
不動産は、民法の定義では「土地及びその定着物」*1という素敵な表現が使われている。
法律用語はともかくとして、現実的には、「土地と建物」に大別できる。
- 日本の不動産*2
1.地形
国土面積 3,779万ha
山地 | 61% |
低地 | 14% |
丘陵地 | 12% |
台地 | 11% |
内水域 | 2% |
室町時代の宣教師が書いたとおり、山がちな国なのである。
2.所有主体
宅地・農用地、森林・原野(国土面積の85%)について
国公有地 | 37% |
私有地 | 63% |
私有地の内訳
個人 | 86% |
法人 | 14% |
3.利用形態
森林・農用地 | 79% |
宅地(住宅地・工業用地など) | 5% |
・宅地は低地・台地に集中している。
・住宅・道路は増加傾向にあり、森林・農用地の面積は減少傾向
- 不動産の二つの価値
不動産の価値は次の二つに大別できる。
1.使用価値
2.資産価値
1.使用価値
ある不動産(土地と建物)を使用することで生まれる価値。
住宅を建てたり、工場でモノつくったり、マンションに人住ませたり……
これは「賃料」(家賃、地代)という形で算定することが可能。
所有者と消費者を分けて考えなければいけないことに注意。
「持ち家」の人間は、自分が所有者で、自分に対して賃料を支払ってると形式上は考えられる。
2.資産価値
使用価値は割とすっきり理解できると思うが、この資産価値はちょっと難しいかもしれない。
銀行預金を考えてみて、年利1%で、一年の利子が100円入るのであれば、預けている預金総額は1万円だと逆算できる。
100÷1%=100÷0.01=100÷1/100=100×100=10,000(円)
という計算になる。
不動産の資産価値も同じように計算する。
ある不動産の賃料が100万円だとしよう。
その不動産の利回りが1%だと考えると、不動産の資産価値が同じように求められる。
100万円÷1%=1億円
となる。
しかし実際には、土地バブルで大きく使用価値から土地価格が乖離したことからも分かる通り、
実際は
土地の価格=(地代÷利子率)+将来の値上がり(値下がり)期待
で算出される。
- 日本の地価
知っての通り、バブル崩壊以降日本の地価は下がり続けている。
経済学的に考えると、土地は供給がほとんど一定と見做せる、特殊な財である。
だから需要が減ってくと、ほぼ確実に地価は下がってく。
基本的なミクロ経済学の需給関数で描くとこんな感じ。
人口減少がはじまればファンデメンタルズも最悪になるので、不動産業の未来は明るくない。
- 放射線状に分布する地価
バブル崩壊が叫ばれて久しいけれど、東京都心の地価はそれでもまだ結構高い。
バブル期から比べれば下がってはいるんだろうけども。
この価格分布を見ると、首都圏の地価というのは、
1.基本は皇居を中心とした同心円状(距離)
2.鉄道沿線は高く、駅から離れると安い(交通)
というほぼ二つの要素で決まっていると単純化して考えられる。
基本は「皇居からの距離」でほぼ説明できるんだけど、たとえば吉祥寺-立川間は距離に比べてやや高い。
これは明らかに「中央線が通ってるから」だろう。
むしろ地価下落が凄まじいのは東京よりも周辺のベッドタウン、埼玉千葉神奈川であるように思う。
僕の親が住んでいるベッドタウンにある実家は、
確か4000万ほどで購入した分譲住宅であるが、いまや2000万を割り込んでいるそうだ。
「失われた二十年」の中にいるからこそ、橘玲や金持ち父さんみたいな「持ち家は資産ではない」という人がそこそこいるけど、
80年代にそんなこと言った奴って果たしているか?
ちなみにバブル、バブルと言っても、それは都市とその周辺部だけの話で、田舎は大して地価の上昇もなかった。
しかしそのおかげで、暴落するということもなく、割と平穏に推移していたようだ。
参考までに、島根県の住宅・土地価格。
青が全国、赤が島根県だが、ほぼほぼ横ばいで推移してるのがわかる。(了)
- 参考文献
日本不動産研究所 「不動産入門<第4版>」
- 参考サイト
新小岩駅が自殺の名所になっているようだ
住宅ローンによる含み損が家計圧迫してんじゃないかなあっつーのは僕も感じるところですね