四十三庵

蔀の雑記帳

会社を辞めるときにすべきではないたったひとつのこと

目次

はじめに

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(画像出典: マンガ!「うっかり会社を辞めた」30代の苦悩 | 読書 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
皆さんは会社を辞めたことがありますか?
僕は一度だけあります。
僕の場合円満退社でしたが、そうでない人もいるかと。

会社を辞めるときに気をつけるべきことは、細かくあげていけばたくさんあるんですが、
今回はその中で絶対にやるべきではない、けれど多くの人がやってしまいがち、けれどあまり指摘がないある行動について書いていこうと思います。

会社を辞めるときにすべきではないたったひとつのこと

引っ張ってもしょうがないので、タイトルの「たったひとつのこと」 の中身を先に書いてしまいます。
それは「退職するときに会社の悪口を言わない」ことです。

会社を辞めたことがない人は、「は? 何言ってんだ? そりゃそうだろ?」と思うかもしれません。
辞めたことがある人は「あ〜」と思うかもしれません。
詳しく書いていきます。

会社の辞め方

退職代行なんていうサービスもできていますが、会社の辞め方について書かれた本は、僕の知る限りあまり多くないと思います。
たまたま下記の本に、一章丸々使って「会社の辞め方」が書いてありました。

CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド

CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド

第16章の「会社の辞め方」。
この作者は「自分の知っていることは全部言いたい」タイプの本の書き方をする人っぽいです。
前作「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル」でも、突然資産運用や筋トレについて長々書き始める章があって、面食らいました。
個人的には冗長だと思うんですが、そのおかげであまり普通の人は長々書かないことがちゃんと明文化してあって、いいところもあります。

で、「Career Skill」第16章の「会社の辞め方」は、全編引用したいくらい、退職のときのべからず集というか、アンチパターンが色々書かれています。
辞める会社の批判をしないというのは、誰も書いてないけどすごい大事な話です。
経験則として知ってる人は知ってますが、ちゃんと本で書いてあるのを見たのははじめてでした。
引用します。

退職者面接で悪口を言ってはならない

私ならこんなことはしない。
あなたは会社を出ていこうとしているのだ。
上司が暴君だろうが、同僚が野宿してきたような臭いを漂わせていようが、あなたは自由に向かって進もうとしているのだから、もう関係はない。
だから、退職者面接で悪いことや批判的なこと、その他自分を傷つけるようになるかもしれないことを言う必要がどこにあるだろうか。
絶対に、そんなことをしてはならない。してしまうと、いいことは何も起きないのに、悪いことはたくさん起きる可能性がある。
あなたにいくら思いやりの心があったとしても、退職者面接は辞めていこうとしている職場環境のあらゆる問題を解決すべき場ではないことを認識しなければならない。
ただ単に遅すぎるだけではなく、もう関係ないのだ。
あなたは辞めていくのである。
だから、改善できることはないか、どんな問題があるか、なぜ辞めていくのか、
仕事のどういうところがいやだったかといったことを尋ねられても、気持ちよく聞けることを言えばいい。
本当に思っていることを言ってはならない。言いたい気持ちをぐっとこらえよう。
お願いだ。そんなことを言っても何もいいことはない。
会社を改善するために役立ってくれたからとメダルやら1万ドル分の小切手やらをくれるとでも思っているのだろうか。
いや、そんなことは絶対に起きない。
確かに、退職者面接は、会社と職場環境を改善しようという善意の試みだが、会社を辞めていこうとしている元従業員の嘆きを聞いたからといって企業文化が改善されるわけではない。
どんな形でも自分のためになるわけでなく、自分を後戻りできない状況に追い込み、自分の評価を地に落とし、魔女狩りに遭う危険が非常に高いゲームには参加しないことだ。
死んだ馬を叩き続けたくないので、この章はここで終わりとするが、私が言いたいことは伝わっただろう。

大事なポイントはここです。

仕事のどういうところがいやだったかといったことを尋ねられても、気持ちよく聞けることを言えばいい。

会社を辞めるときのテンション

会社を辞めるというのは、何かしら現状に不満があるから辞めるわけです。
ポジティブな理由もあるかもしれません。
たとえば現状よりもチャレンジングな仕事がしたいとか、待遇が上がるとか、より多くの人の役に立てるとか。
ただそういうポジティブな理由も、裏を返せば、現状の仕事は相対的にチャレンジングでなく、待遇が悪く、ユーザーが少なくて影響力が少ない、など、
言い方によっては現状の悪口になりえます。

会社を辞めるシチュエーションは、人生でそう何度もあることではありません。
特に会社を辞めることが確定した後は、人間ちょっと変なテンションになっています。
働いているときはフタをしていたネガティブな感情に、もうフタをする必要はない。
そういうとき人間はつい退職面談で感情的に積もり積もった恨みをぶちまけてしまいます。

その結果何が起きるか

人事に向けて、いかに会社が悪い組織か、退職に値するクソだったからを大演説したあなたは、一瞬スカッとするかもしれません。
けどその後「よく言ってくれた! 君に意見は然るべきルートで、建設的に反映させてもらうよ!」なんてことになるでしょうか?
なりませんよね。

上司がひどい→でもその組織には上司の代わりにできる人間がいない、など何らか上司を代えられない原因がある
会社の経営方針がおかしい→経営陣にそれを言えたらそんな経営方針になってない

などなど、明らかに悪いことが起きているのに変えられないのには、何か根深い原因があります。
もしあなたがその会社で働き続けるのであれば、その悪しき文化を変えるために戦いましょう。
でも辞めるんなら?
そんな責任はありません。

もしパワハラ上司みたいな人がいて、その人が野放しになっていることは道義的に許せない、
自分が退職のときに言うことで、少しでもダメージを与えたい、と思うのであれば、なるべく聞きやすいように言葉を選びましょう。
ただ、ここで認識しておかなければならないことがあります。
退職者の言葉をフィードバックして活かせる組織なんて、ほとんどないです。
もしあなたが自分の所属していた組織がそこまで信頼できるなら、言ってみていいと思います。

大人になりましょう

あなたがとれる選択肢は、ざっくり三つあります。

  1. 何もかも不満をぶちまける
  2. 言葉を選んで退職に至った不満を客観的事実として伝える
  3. 不満を押し殺して、何もかも素晴らしかったけど、もっといい仕事に出会ったストーリーを語る

「1. 何もかも不満をぶちまける」を選んでも、会社に残るのは「なんか退職面談ですげー悪口言って去っていったクソ社員」という印象だけです。
会社辞めてしまうから、その会社の人とは確率的には二度と会うこともないし、別に構わないじゃないかと考えるなら、かなり要注意です。
評判というのはついてまわるもので、転職したからといってゼロリセットされるわけではありません。
「人間性を疑われる」というのは、どんな仕事するにしても致命的で、
退職面談で口汚く会社の悪口言って去る、というのはそのきっかけにもなります。
「Career Skill」の文中では「魔女狩り」と書かれていますが、最悪人から恨みを買う可能性すらあります。
つまり、「1. 何もかも不満をぶちまける」という選択肢は、リターンとしては一瞬すっきりするだけで、
リスクとしては実はめちゃくちゃ高いreputation riskを孕んでいて、非常に危ない、
けれど退職時の異様なテンション(特に喧嘩別れした退職者にとっては)によって、みんなやってしまいがち、なんですね。

というわけで、
「2. 言葉を選んで退職に至った不満を客観的事実として伝える」
または
「3. 不満を押し殺して、何もかも素晴らしかったけど、もっといい仕事に出会ったストーリーを語る」
がオススメです。
ちなみに1<2<3の順で大人度が高いです。

僕も昔は明らかに企業がダメなのに、「すばらしい会社でした。何の不満もありませんでした」とまっすぐ言える人間を見て、
「何言ってんだこいつ」と思っていたのですが、今はそういう人を見ると、「あ、立派な人だな」と思うようになりました。
辞める会社の悪口ずっと言ってる奴なんて、ろくな奴じゃないですからね。

言葉の選び方

「Career Skill」は作者がアメリカ人なので、本の内容もちょっとアメリカンで、日本とは違う部分が若干あります。
「2. 言葉を選んで退職に至った不満を客観的事実として伝える」の選択肢をとる際に、いい感じの言葉のチョイス例を、日本人的に考えてみます。

例1)

(言いたいこと): 上司が責任を全部部下に押し付けてくる

(清書)
組織の中で最終的に誰が責任をとるべきなのかが曖昧だったように思います。
私としては上司の承認をとった上で進めたつもりの案件が、結果が悪かった場合はすべて私の単独行動として叱責を受けました。
私の仕事の進め方で、上司とのすり合わせが足りなかった点があったのは反省しておりますが、
上司の承認を頂いた案件である以上、責任はとって頂きたかったというのが部下の私の正直な思いでした。

例2)

(言いたいこと): 上司がパワハラ気質

(清書)
上司は仕事のできる方で、尊敬はしていたんですが、部下から見ると、たとえ上司が間違っていてもそれを指摘しづらい雰囲気がありました。
指導が厳しすぎるのではないか、と感じた場面もあります。

僕の場合

ちなみに僕は前職を辞めるときは、選択肢2を選んでいます。
「システム開発方式が古い」とか「ツールの導入に消極的で開発効率が悪い」とかを穏当な表現で言った気がします。
また「業界の要求として、その文化を変えられない事情も理解しており、
自分の目指す方向性と会社の方向性がズレていたので、より自分の目指す方向性にフィットする会社に行きます」ということも言ったかと。

人によって感じ方は違うと思いますので、上記の言い方でも強すぎると思う人もいれば、逆に弱すぎると思う人もいると思います。
ただ大事なのは、発言の中に、去る会社の人へのリスペクトがあるかないかだと思います。

まとめ

そんな訳で、退職するときには会社の悪口を言わないように気をつけましょう!
(了)